地の利を生かし、「法個一体営業」に取り組む

プロジェクトファイナンスで攻勢をかける背景には、秋田県の“地の利”がある。日本海側の秋田・山形両県にまたがる、いわゆる出羽国の沿岸は風の強い地域として有名で、風力発電に適した地とされている。また秋田杉に代表されるように、林業・木材加工業も盛んな地だ。

こうした地の利を活かしつつ、かつ日本海の表玄関・臨海工業都市としての発展を目指してきた秋田市。能代市をはじめとする県北地域では、近年、工業誘致も盛んに行われている。県北地域はかつての鉱業のまちから工業の集積地として変貌を遂げている。

この地域振興に一役買ってきたのがフィデアHD傘下の北都銀行だ。北都銀行では荘内銀行とともに、法人・個人を一人の行員がワンストップで対応する「法個一体営業」に取り組んできた。県内中小企業との絆を強め、その融資額を増やしてきた。その甲斐あって、2010年3月にフィデアH Dを通じて受けた100億円の公的資金も、2023年2月に完済している。

北都銀行、フィデアHDの経営理念には、東北を「幸せと希望の産地」としたいという言葉がある。その言葉には、東日本大震災を、さらにこの7月に秋田県内を襲った豪雨災害を乗り越えていく強い思いも盛り込まれている。

 文・菱田秀則(ライター)