M&A支援機関登録制度 開始から2年経過

中小企業庁が公募している2023年度(8月分まで)のM&A支援機関登録制度の実績は、前月比36件増の2969件だった。毎月の登録数の伸びはやや鈍化しているが、2023年5月分まで以来の3000件台回復は目前に迫る状況。2021年8月の運用開始から丸2年が経過した登録制度は、M&A専門業者を中心に着実な浸透ぶりを見せている。

M&A専門業者が1037件

8月分までの登録機関は法人2189件、個人事業主780件。種類別はM&A専門業者が1037件(仲介649件、ファイナンシャルアドバイザー388件)と最多で、税理士553件、コンサルティング会社(経営コンサル)442件、公認会計士288件、中小企業診断士237件と続く。中小企業などと関わりの深い地方銀行(81件)、信用金庫・信用組合(67件)も一定数に上る。

M&A Online

(画像=©M&A Online、「M&A Online」より引用)

専従者数「1~2人」、設立「2020年代」が最多

登録機関のM&A支援業務専従者数は「1~2人」が1485件と圧倒的で「0人」も654件。10人以上は131件に過ぎない。また、設立年代も「2010年代」が1082件、「2020年代」が1539件を占め、1980年代から2000年代は348件にとどまっている。

専従者数が少なく業務経験も浅い登録機関が大多数という傾向は制度開始時から変わらないものの、国の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)の対象となるM&A仲介手数料などへの補助は、登録機関によるサービスのみが認められる。国のお墨付きを得た登録機関が増えれば、中小企業がM&Aに安心して取り組める基盤の強化につながるのは確かだ。

過去最多の3133件を超えるかが焦点に

M&A支援登録機関の2023年度公募期間は2024年2月13日まで。制度開始から登録数が最多だったのは2023年5月分までの3133件で、3000件台の回復後は過去の記録更新が焦点となる。一方、2897件に落ち込んだ6月は実績報告などの未提出・不備で登録継続が認められなかったケースも多いとみられる。今後は制度からの離脱を食い止める手立ても求められそうだ。

文:M&A Online