中小企業庁は9月15日、中小企業生産性革命推進事業「事業承継・引継ぎ補助金」(7次締め切り)の公募を開始した。11月17日まで申請を受け付ける予定。

同一法人内の後継者候補の経営革新も対象に

事業承継やM&Aを機に経営、事業を引き継いだ(または引き継ぐ予定の)中小企業者を支援する「経営革新事業」の枠は、同一法人内で承継予定の後継者候補による取り組みも補助対象となる。

同補助金の事業枠は「経営革新事業」のほか、M&Aのニーズを持つ中小企業者が経営資源の引き継ぎに際して活用する専門家の費用などを補助する「専門家活用事業」、M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者などの株主や個人事業主が新たな需要や雇用を創出に向けて既存事業を廃業する際の経費を賄う「廃業・再チャレンジ事業」の3つ。

事業承継・引継ぎ補助金の事業枠

事業枠 支援対象者
経営革新事業 事業承継やM&A(経営資源を引き継いで行う創業を含む)を契機として、経営革新等に挑戦する中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)が対象。さらに、「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3類型に分かれる
専門家活用事業 M&Aにより経営資源を他者から引き継ぐ、あるいは他者に引き継ぐ予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)が対象。さらに、「買い手支援型」と「売り手支援型」の2類型に分かれる
廃業・再チャレンジ事業 事業承継やM&Aに伴い既存の事業を廃業し、新たな取り組みにチャレンジする予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)が対象

補助上限は「経営革新事業」と「専門家活用事業」が各600万円。「経営革新事業」は一定の賃上げを実施する場合、800万円まで認める。「廃業・再チャレンジ事業」は150万円で、他の2事業と併用できる。補助率はいずれも2分の1または3分の2で、「経営革新事業」は600万円超~800万円で、補助率が2分の1となる。

なお、過去に経営資源の引き継ぎが実現したか否かを問わず、同補助金の交付実績がある事業者は申請できない。また、M&A支援機関登録制度に登録された支援機関の代表者と補助対象者が同一の場合も申請できない。

交付決定日は12月下旬を予定

同補助金は 原則、電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用して行う。

7次公募の交付決定日は12月下旬の予定で、事業実施期間は交付決定日から2024年6月30日まで。2024年3月下旬~7月10日を見込む実績報告期間を経た補助金交付手続きは、2024年7月上旬以降のスケジュールを想定している。

6月16日から8月10日まで申請を受け付けた6次公募の採択件数は523件(経営革新事業218件、専門家活用事業282件、廃業・再チャレンジ事業23件)と5次公募(3月20~5月12日)の478件(経営革新事業186件、専門家活用事業275件、廃業・再チャレンジ事業17件)を45件上回った。7次公募に対する反応が注目される。

文:M&A Online