M&A仲介会社のジャパンM&Aソリューションが10月24日に東証グロース市場に上場した。M&A仲介の上場は2年連続で、7社目となる。中小企業庁が受け付けているM&A支援機関の登録件数は専門業者だけで1000件を超えるが、上場までたどりついたのはほんの一握り。どんなプレーヤーがいるのか、その顔ぶれを改めて点検する。
M&A仲介で7番目の上場企業
ジャパンM&Aソリューションは2019年11月の設立から4年でのスピード上場を果たした。社長・創業者の三橋透氏は三和銀行(現三菱UFJ銀行)出身で、投資事業のフィンテックグローバルなどを経て、独立・開業した。案件規模の大小や業績内容などにかかわらず、「相談されたら断らない」を基本方針とする。
同社の説明資料によると、2023年10月期業績見込みは売上高62.8%増の7億600万円、営業利益2.5倍の1億5000万円。M&Aの成約件数は64組(前期は59組)。
10月24日に新規上場したジャパンM&A株式の初値は2250円で、公開価格の1340円を910円(67.9%)上回った。終値は2649円とさらに上伸し、上々の滑り出しを見せた。
M&A専門業者の形態は仲介とFA(フィナンシャルアドバイザー)に大別される。中堅・中小企業のM&Aの大半は仲介会社によって進められ、買い手と売り手の双方と契約を結び、両者の間に立って交渉を進める。
これに対し、売り手、買い手のいずれか一方の側に立つのがFA会社で、メガバンクや大手証券系が中心的なプレーヤーとなっている。大手企業や海外のM&A案件では買い手側のFAと売り手側のFAが交渉を仕切る。
M&A仲介では、日本M&Aセンターホールディングス、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライクが“御三家”とされ、いずれも東証プライム市場に上場する。
上位3社に続くのがM&A総研ホールディングス(東証プライム)、オンデック(東証マザーズ)、名南M&A(名証メイン)。ここに今回、ジャパンM&Aソリューションが加わった。
御三家を猛追するM&A総研
トップの座を不動にしているのが日本M&Aセンター。1991年に設立し、30年を超える業歴を持ち、売上高(2023年3月期は413億円)は2位のM&Aキャピタルパートナーズにほぼ倍の差をつける。成約件数は年間500組を超え、抜きんでている。株式上場も2006年(東証マザーズ、翌年東証1部)と先行した。
M&Aキャピタルパートナーズは2005年に設立し、2013年に東証マザーズに上場(翌年、東証1部)した。オリックスが今年2月、3000億円を投じて通販化粧品大手のDHCを買収した巨額案件はM&Aキャピタルパートナーズが仲介したとされ、業界に衝撃を与えた。
ストライクは1997年設立。1998年にインターネット上に国内初のM&A市場「SMART」を開設し、ネット活用に先べんをつけた。上場は2016年(東証マザーズ、翌年東証1部)。事業承継系を中心とした従来型の仲介業務にとどまらず、スタートアップ企業と大手企業との交流イベントを通じた案件発掘など新機軸の展開に定評がある。
上位3社を猛追しているのがM&A総研だ。2018年設立だが、昨年6月に東証グロースに上場後、今年8月に東証プライムに移ったばかり。足元の2023年9月期売上高見込みは80億円と前期(39億円)比倍増。倍々ゲームの勢いはさらに続き、2024年9月期も150億円の線を想定する。