家電量販店大手のビックカメラ<3048>は2024年8月期に、2ケタの増収増益となる見込みだ。携帯電話販売を手がけるTDモバイル(東京都港区)から譲り受けた携帯販売事業などがプラスとなり、営業利益は3期ぶりの増益となる。
業界最大手のヤマダホールディングス<9831>も、2024年3月期はインバウンド(訪日客)による家電販売が回復しているのに加え、企業買収を進めている環境事業が順調に推移していることなどから、3期ぶりに営業増益となる。
家電量販店はコロナ禍後の巣ごもり需要の減少や、物価高による消費者の買い控えなどから業績が今一つだが、企業買収などによって事業を多角化することでコロナ禍後の成長を確保しようとしているようだ。
買収で携帯電話販売事業が一気に拡大
ビックカメラの2024年8月期の売上高は8975億円(前年度比10.0%増)、営業利益は158億円(同11.1%増)と2ケタアップの増収増益を見込む。
この増収増益には2023年10月にデンソー<6902>子会社のTDモバイルから取得した携帯電話販売・代理店事業(一部店舗を除く)の影響が大きい。
TDモバイルは全国に約300の携帯電話販売店を展開しており、法人事業に強みを持つ。2023年3月期の売上高は768億1900万円で、営業利益は31億1800万円だった。
同事業を取り込むことでビックカメラの2024年8月期は、携帯電話販売事業が一気に拡大することになる。
前年度の2023年8月期は、粗利益率の低い商品の売上構成比が高まったことや、人件費や販管費が増加したため、営業利益は20.4%もの減益となっていた。
環境事業で企業買収
ヤマダの2024年3月期の売上高は1兆6860億円(前年度比5.3%増)、営業利益は505億円(同14.6%増)の増収増益見込み。営業利益の増益は3期ぶりだ。
2024年3月期第2四半期の状況では、主力の家電販売事業で積極的な店舗開発に取り組んだほかEC(電子商取引)事業やリフォーム、家具、インテリアなどが順調に推移している。さらに環境事業も好調で、同第2半期では1.4%の増収、4.7%の営業増益となった。
環境事業では2023年2月に産業廃棄物処理を手がけるあいづダストセンター(福島県会津若松市)を子会社化した。使用済み家電の買い取りから再利用、再資源化、廃棄物焼却、埋め立て処分までのシステムを構築するのが目的で、こうした取り組みで環境事業を拡大し、企業成長を持続させる計画だ。
家電量販店は、インバウンド需要が戻りつつあるものの、コロナ前の状態には届いていない。物価高による消費の低迷も危惧されており、大きな伸びが見込めない状況にある。こうしたことを踏まえ、非家電を強化する動きが広まっているもので、企業買収がコロナ禍後の成長を左右する一つの要因になる可能性は低くはなさそうだ。
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