イオン、ガスト、元気寿司が2023年11月にそれぞれ値下げを発表した。

スーパー事業を展開するイオン<8267>は、全国1万店舗でカフェラテビターなどのPB(プライベートブランド)商品31品目を増量し、実質値下げした。

すかいらーくホールディングス<3197>も、運営するファミリーレストランのガスト全店で、たっぷりマヨコーンピザなど30品目を50-200円値下げした。

元気寿司<9828>は二段重のおせち料理を、当初の販売価格から6600円引き下げた。予約済み分についても値下げの対象にする。

為替の円安やウクライナ問題などによって、原材料価格やエネルギー価格、物流費などが上昇しており、食料品や外食などで値上げが相次いでいる。こうした中、あえて値下げに踏み切る3社の狙いは何なのか。

値下げで競争力を高め集客に

イオンのPB商品の増量は、カフェラテビター280ミリリットル入りを20ミリリットル増やし300ミリリットルに、キッチン用アルコールクリーナーシート20枚入りを22枚入りにするといった具合。

ガストはたっぷりマヨコーンピザを700円から500円に、チーズINハンバーグを800円から750円に引き下げた。ビールやワインなども50円から200円値下げした。

元気寿司は今年初めておせち料理の販売に乗り出した。イセエビやアワビなどの食材44品目を詰め合わせたもので、当初2万1600円だった予約価格を1万5000円に引き下げた。

こうした値下げの理由について、イオンではPB商品であるトップバリュを「もっと知ってもらいたい、もっと好きになってもらいたいという思いを込めた」としており、PB商品の競争力を高め顧客を囲い込む戦略が見えてくる。

他の2社は値下げの理由を明らかにしていないが、イオン同様、値下げで競争力を高め集客につなげるのが狙いであることが想像できる。

M&A Online

(画像=値下げしたガストのたっぷりマヨコーンピザ(ニュースリリースより)、「M&A Online」より引用)

2024年に再び大規模な値上げの波も

東京商工リサーチが国内の主要飲食料品メーカー200社を対象に行った調査によると、2023年1月以降の出荷、納品分の値上げ(見込みを含む)を公表したのは167社で、2023年の値上げ商品は3万1848品に達した。

2023年11月に値上げした商品は75品で、2023年1月以降初めて2ケタ台になり、値上げのペースが鈍化する傾向にある。

それでも、すでに2024年に値上げする商品が476品に達しているうえ、円安による輸入食材の価格上昇などが見込まれるため、東京商工リサーチでは「再び大規模な値上げの波も起きかねない」と警鐘を鳴らす。

外食の企業では、回転ずしの「スシロー」を運営するFOOD & LIFE CONPANIES<3563>が2022年10月に、一皿110円の商品を120円に値上げ(店舗によって121円が130円に、132円が150円にアップ)したほか、ハンバーガー大手の日本マクドナルドホールディングス<2702>も、2022年から2023年初めにかけ1年ほどの間に3度の値上げを実施した。両社ともに値上げのマイナス影響は少なく、業績は好調に推移している。

値上げの理由は原材料価格やエネルギーコストの上昇などで、こうした要因はイオン、ガスト、元気寿司も同じだ。値下げは3社の業績に好影響を与えてくれるだろうか。

文:M&A Online