牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングス<7550>、「吉野家」を運営する吉野家ホールディングス<9861>、「松屋」を運営する社松屋フーズホールディングス<9887>の牛丼大手3社がそろって業績予想を上方修正した。
ゼンショーは売上高を6.8%、営業利益を27.2%引き上げ、吉野家は売上高を2.8%増、営業利益を47.8%増、松屋は売上高を8.6%増、営業利益を3.5倍とした。いずれも売上高は1ケタ台だが、営業利益は大幅な上積みとなる。
3社ともに既存店の売り上げが好調に推移し、固定費率が低下したところに、コスト削減効果などが加わったのが要因だ。
ゼンショーは回転ずしの「はま寿司」などの他の外食チェーンを、吉野家もうどんの「はなまる」を、松屋もとんかつの「松のや」などを運営しており、牛丼はもとよりすしやうどんなどの国民食ともいえるこれら商品の健闘も加わった。
買収したロッテリアも寄与
ゼンショーは2024年3月期の売上高を615億3300万円引き上げ9600億円(前年度比23.1%増)に、営業利益を109億900万円引き上げ510 億円(同2.34倍)とした。
売上高はコロナ禍の影響の少なかった2020年3月期の1.52倍に達し、営業利益は同2.43倍になる。
主力の「すき家」のほか「はま寿司」やファミリーレストランの「ココス」などのレストラン事業、2023年4月に子会社化したハンバーガーチェーン「ロッテリア」などのファストフード事業がいずれも好調に推移しているという。
値上げやコスト削減などの効果が現れ営業利益をはじめ、経常利益(前年度比70.9%増)、当期利益(同2.26倍)も大幅な増益となる。
M&Aに対する姿勢の違いも
吉野家は2024年2月期の売上高を50億円引き上げ1810億円(前年度比7.7%増)に、営業利益を22億円引き上げ68億円(同98.0%増)にした。
2021年に持ち帰りずしの京樽を、2022年にファストフードのグリーンズプラネットオペレーションズを売却したことなどから、売上高は2020年2月期(2162億100万円)には及ばないものの、営業利益は同1.73倍に膨む。
松屋は2024年3月期の売上高を98億円引き上げ1234億円(前年度比15.8%増)に、営業利益を25億円引き上げ35億円(同2.38倍)にした。
こちらは、売上高は2020年2月期(1065億1100万円)を上回るものの、営業利益は70%弱に留まる。
3社の売上高と営業損益の推移を表したグラフを見ると、ゼンショーの傾きが最も大きく、急速に売り上げと利益を伸ばしていることが分かる。
この差の一因は、各社の販促やコスト削減の取り組みとともに、ロッテリアをはじめとする企業買収に積極的なゼンショーに対し、コロナ禍の中、子会社の売却を進めた吉野家、M&Aに消極的な松屋という、姿勢の違いにありそうだ。
文:M&A Online