セルフ式うどん店「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングス<3397>の2024年3月期の事業利益(売上高から売上原価と販管費を引いた額)が、前年度比96.2%増とほぼ倍増する。

主力の丸亀製麺が好調に推移しているところに、2023年7月に子会社化したピザ店やギリシャ料理店を運営する英国のFulhamの業績が、2024年3月期第2四半期から加わったためだ。

すでに、その第2四半期ではFulhamを含む海外事業の事業利益が18億2100万円(前年同期比90.7%増)となり、全体(80億7300万円)の22%を稼ぎ出した。

同社は2028年3月期を最終年とする中長期目標を策定しており、新たな業態獲得のために企業買収に取り組む姿勢を示している。Fulhamの効果が見えてきた第3四半期以降は、新たなM&Aが俎上に上がりそうだ。

Fulham効果で急伸

Fulhamはピザ店のFranco Manca(直営店72店舗、2023年6月末時点)、ギリシャ料理店のThe Real Greek(直営店27店舗、同)の二つの外食事業を展開しており、2022年3月期の売上高は134億8200万円(前年度比2.05倍)、事業利益は10億7100万円(前年度は20億2500万円の赤字)だった。

この数字が2024年3月期第2四半期から加わっているもので、海外事業の売上高は第2四半期で過去最高の404億7700万円(前年同期比42.1%増)と大幅に増加し、これに伴って事業利益も2倍近くにまで伸びた。

同期の丸亀製麺事業は、売上高が第2四半期では過去最高の583億7800万円(同13.2%増)となり、事業利益も第2四半期では過去最高の96億9000円(同43.9%増)といずれも大幅な増収増益となった。

ただ丸亀製麺事業の伸び率を海外事業と比べると、売上高は3分の1ほどに、事業利益は半分ほどに留まっている。この差には既存の海外事業が好調に推移したことや為替の影響などもあるが、Fulhamの影響は決して小さくはない。

新業態獲得に1000億円のM&A枠

2024年3月期通期では売上高2310億円(前年度は1883億2000万円)、事業利益137億円(同69億8400万円)を見込む。

当初の予想は売上高2120億円(前年度比12.6%増)、事業利益96億5000万円(同38.2%増)だったため、売上高で190億円(増加率9.0%)、事業利益で40億5000万円(同42.0%)の増加となる。

同社は中長期経営目標として、2028年3月期に売上高4200億円、事業利益420億円を掲げており、これを実現する一つの手法としてM&Aに1000億円の枠を設けている。

この目標達成のために欧米、中華圏、東南アジアで新たな業態の獲得を目指す方針で、Fulhamに続くM&Aが実現するのは確実で、実現の時期もそう遠くはなさそう。どのタイミングでどのような新業態の企業を傘下に収めるのかだろうか。

M&A Online
(画像=2024/3は予想、「M&A Online」より引用)
M&A Online
(画像=単位:億円、「M&A Online」より引用)

文:M&A Online