初めて資産運用を行う場合、やみくもに行うより勉強して基本的な知識を得たほうが有利なのはいうまでもありません。では、どのような方法で勉強すれば良いのでしょうか。資産運用の勉強で押さえておくべきポイントや注意点、成功するためのコツを解説します。
目次
1.資産運用の勉強前に理解しておきたいこと
2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしたことをきっかけに、資産運用を始める人が増えています。資産運用の勉強を始める前に、資産運用を行う目的とメリットについて確認しておきましょう。
1-1.そもそも資産運用とは
資産運用とは、所有している預貯金などで不動産や株式、投資信託などの金融商品を購入し、運用して収益を得ることをいいます。運用益の種類には家賃収入や配当金など定期的に入るインカムゲインと、物件や値上がりした株式などを売って入るキャピタルゲイン(売却益)があります。
1-2.資産運用に取り組むメリット
資産運用を行う大きなメリットは、インフレ対策になることです。預貯金は安全である代わりに金利が低く、銀行に預けているだけではインフレの進行によってお金の価値が目減りしていきます。インフレが進行すると、一般的には株式や不動産、金なども連動して上がるので、投資することで資産価値の目減りを防ぐことができます。
2.資産運用の勉強方法
資産運用には色々な勉強方法があります。無料でできるものもあれば、コストがかかるものもあるので、自分がやりやすい勉強方法を選ぶと良いでしょう。
2-1.資格取得を通じて学ぶ
確実に資産運用の知識を得たいなら、資格を取得するのが最適です。資産運用に関する資格で最も役に立つのがファイナンシャルプランナーです。この資格を持つと、金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などについて、相談者の夢が叶うようにサポートする専門家になれます。合格できれば資産運用についてかなりの知識がついていることでしょう。
2-2.書籍やネット検索、YouTube動画で学ぶ
資産運用に関する書籍を読むことも有意義です。経済学の専門書は難しいので、初心者には資産運用のノウハウ本のほうが面白く読めるかもしれません。
また、資産運用に関するインターネット記事やYouTube動画を通じて学ぶのも良いでしょう。ただし、おすすめされている商品や銘柄は投稿者の個人的見解なので、実際に投資する場合は金融機関の公式サイトで各種指標を確認して判断することが大事です。
2-3.セミナーに参加して学ぶ
自分で勉強するだけでなく、資産運用セミナーや不動産投資セミナーに参加するのもモチベーションのアップにつながります。講演のほかに個別相談を受け付けているセミナーもあるので、気になる点を質問することで勉強になります。
1つ注意しなければいけないのは、信頼のおける主催者が行うセミナーであるかどうかです。物販目的のものもあるので注意しましょう。
3.資産運用は何から勉強すればいいの?
資産運用といってもいろいろな種類があります。そのときの経済状況によって選ぶべき投資先も変わってきます。また、商品ごとの特徴を知ってから投資することが大事です。
3-1.まずは経済動向を知る
資産運用を行う際は経済動向を知ることが極めて重要です。例えば、外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)、外国株を組み入れた株式投資信託で運用するなら、為替相場の動向によって収益に大きな差が生じます。
3-2.金融商品ごとの特徴も理解する
金融商品にはそれぞれの特徴があります。長期投資に向いている商品や逆に短期で利益を上げやすい商品、値動きのある商品やない商品、高利回りだがリスクが高い商品と低利回りだが比較的リスクの低い商品など、自分が目標とする運用成果に合わせて選ぶ必要があります。
4.資産運用を勉強する際に押さえておくべきポイント
資産運用を勉強する際には、以下の7つのポイントを押さえておくことが大事です。
4-1.投資先の選び方とリスク管理
投資先によってリスクは大きく異なります。以下のようなリスクとリターンの組み合わせがあるので、目標利回りに合った投資先を選び、リスクを適切に管理することが求められます。
・ローリスクローリターン
定期預金、個人向け国債、地方債、社債、個人年金保険など。
・ミドルリスクミドルリターン
株式、不動産、投資信託、外国債券、J-REIT(上場不動産投資信託)、金など。
・ハイリスクハイリターン
FX(外国為替証拠金取引)、仮想通貨(暗号資産)、株式信用取引、商品先物取引など。
4-2.分散投資
資産運用の基本は分散投資です。カテゴリーの分散(株式、不動産、債券など)、銘柄の分散、地域の分散(国内株と米国株、欧州株など)、時間の分散(200株投資する場合100株ずつ時期を分ける、投資信託を毎月積み立てるなど)といった分散方法があります。
4-3.元本割れと損切り
金融商品の中で元本が保証されているのは国債のみです。それ以外の金融商品に投資している場合は元本割れのリスクが常にあります。元本を割ったときに判断を迫られるのが損切りです。
価格が下落したとき、そのうち回復するだろうと損切りしないでいると、いずれもっと大きく下落して損失が膨らむ可能性があります。買値から10%以上値下がりしたら損切りするなど、自分でルールを作ることが有効です。
4-4.複利効果
資産運用の効果を高めるには複利運用が最適です。保有している株式の配当を受け取ったら、また同じ銘柄を配当金の範囲で再投資します。すると次の配当は増えた株数に応じて増えるので、雪だるま式に資産が増加していきます。
最近は証券会社によっては1株から購入できるので、再投資しやすくなっているのも追い風です。
4-5.長期運用の重要さ
資産運用は長期的に運用することで効果が高まります。先に述べた複利効果も1年や2年ではそれほど効果は期待できません。20年、30年と長期間複利運用することで、初期投資の数倍にできる可能があるのです。世界的に有名な投資家のウォーレン・バフェット氏も、基本的に長期投資で資産を増やしました。
4-6.余剰資金の準備
資産運用は余剰資金で行うのが鉄則です。借金をして投資するのは絶対避けなければいけません。したがって、「この商品に投資するにはいくらの資金が必要であるか」または「100万円などの予算で投資できる商品は何があるか」などを勉強して資金を準備することが大事です。
4-7.資産運用における節税効果
節税のために資産運用をする人もいます。例えば、生前贈与で「相続時精算課税」を利用すると、株式を贈与した場合、贈与時の株価が相続時もそのまま適用されます。
したがって、株価1,000円の銘柄を贈与して、相続が発生したときに3,000円に値上がりしていても1,000円で相続することができるのです。将来確実に値上がりが予想される成長株に投資するときに有効な方法です。
5.資産運用を勉強する際の注意点と成功のコツ
資産運用は注意点を守り、運用のコツを掴むことでかなりリスクを減らすことができます。
5-1.資産運用を勉強する際の注意点
資産運用を勉強するうえで大事なのは、勉強方法の選択と有益な情報の選別です。
5-1-1.知識レベルに合った勉強方法を選択する
勉強が大事といっても、自分のレベルに合わない方法でやっても長続きせず、教材が無駄になる可能性があります。自分に適した勉強方法を選択することで学習効果が上がります。
5-1-2.情報を全て鵜呑みにしない
資産運用に関する情報は100%正確とは限りません。参考にしても良いのは、金融庁や銀行・証券会社・保険会社などの公式サイトやNHK・日本経済新聞など信用の高いマスコミです。
それ以外の情報源を利用する場合は、確かな情報かどうか前出した公式サイトで確認することが大事です。特に最近は著名人の名前や画像を利用して投資を呼びかけるSNSの詐欺広告も多いので、注意する必要があります。何の努力もせずに大金を得られる方法などないことを心得ておきましょう。
5-2.資産運用を成功させるコツ
資産運用を成功させるコツとして以下の3点が挙げられます。
5-2-1.少額から始める
初心者がいきなり大金を投資するのは危険です。最初に大きく損すると、二度と資産運用などしたくないと思うでしょう。少額から始めれば損失が出てもダメージが少ないです。
5-2-2.分散投資を行う
1つの資産カテゴリーに全ての資金を注ぎ込むのは危険です。カテゴリー、銘柄、地域、時間などを分散して投資することでリスクを抑えた資産運用ができます。
5-2-3.長期目線で取り組む
資産運用は短期目線で取り組むとリスクが高くなります。その日のうちに結果を出すデイトレードは資産運用とは呼びません。長期運用することによって複利効果で資産が着実に増えていくので、年を追うごとに元本を割るリスクが低くなっていきます。
6.初心者におすすめの資産運用法
資産運用には初心者でも投資できる商品と、ある程度の投資経験が必要な商品があります。ここでは初心者でもやりやすい運用先を紹介します。
6-1.NISAやiDeCo
非課税で資産運用する方法として欠かせないのがNISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)です。
NISAは年間360万円の非課税投資枠があり、枠の範囲で購入した商品から生じる売却益、配当金、分配金などが全て非課税となります。
一方の個人年金制度であるiDeCoは、自分で拠出した掛金を指定された金融商品の中から選択して運用します。掛金を所得控除でき、運用中の売却益、満期以降に受け取る給付金のいずれも非課税となります。
6-2.投資信託
投資信託は株式などの資産運用をプロに任せる人気が高い金融商品です。株式投資信託は大きく分けて、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数と連動して価格が動く「インデックス型」と、株価指数以上の運用成果を目指す「アクティブ型」の2種類があります。
NISAで年間120万円ある「つみたて投資枠」は投資信託のみ運用できるので、給与から毎月一定の金額を積立投資するのに向いています。
6-3.不動産投資
不動産投資は家賃収入で不動産投資ローンを返済できるので、毎月の収支が若干の黒字かトントンであれば持ち出しなしで、ローン完済後に大きな資産を得られる大変有利な投資方法です。特に都心の新築ワンルームマンションは需要が高いので、安定して入居者を確保できます。
ローン完済後も売却せずにそのまま保有すれば、家賃収入の多くが手元に残るので、年金に加えて豊かな老後を送ることができ、老後資金対策としても有効です。
7.資産運用は勉強と実践の両方が大事
長期化している物価高によって、生活を圧迫されるだけでなく、預貯金の価値が目減りするという問題も生じています。預貯金の目減りを補うためにも、資産運用が必要な時代になりました。
成功するために資産運用の勉強をすることは大事ですが、実践しなければ運用効果は得られません。記事中で紹介した勉強方法や運用商品を参考にしながら、少額から始めてみてはいかがでしょうか。
※記事中で紹介した運用方法や運用商品は一例です。参考までにご覧ください。
(提供:Dear Reicious Online)
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