40代の単身世帯や二人以上世帯は、平均でどれくらいの貯蓄を保有しているのでしょうか。また、65歳までに老後資金を貯めたい場合、月にいくらを貯蓄に回せばよいでしょうか。
本記事では40代の平均貯蓄額や老後に困らないための資産形成についてご紹介します。
40代単身世帯の貯蓄平均額と中央値
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(※)」によると、40代単身世帯の貯蓄平均額は275万円です。預貯金以外の資産(株式や保険など)も含めた金融資産保有額は平均559万円、中央値は47万円とされています。
(※)2023年6月~7月に調査された令和5年版の調査結果。調査対象は全国2,500の単身世帯。
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和5年調査結果|知るぽると」
同調査によると、生活費以外の金融資産を保有している40代単身世帯は59.6%で、種類別では預貯金(92.3%)が最も多い結果となりました。金融資産保有世帯のみに限定すると、預貯金の平均額は473万円とされています。
仮に22歳(大卒後)から預貯金を始めた場合、毎月いくらを貯蓄すれば平均額に達するのでしょうか。以下では40歳をゴールとして、毎月の貯蓄額をシミュレーションしました。
目標の貯蓄額÷{(目標の年齢-開始時の年齢)×12ヵ月}=毎月の貯蓄額
<40代の貯蓄平均額を目指す場合>
275万円÷{(40歳-22歳)×12ヵ月}=1万2,731円
(※小数点以下は切り捨て、以下同様。)
<40代の中央値(金融資産保有額)を目指す場合>
47万円÷{(40歳-22歳)×12ヵ月}=2,175円
40代二人以上世帯の貯蓄平均額と中央値
同じく金融広報中央委員会の調査(※)によると、40代二人以上世帯の貯蓄平均額は361万円です。金融資産保有額の平均額は889万円、中央値は220万円となりました。
(※)2023年6月~7月に調査された令和5年版の調査結果。調査対象は全国5,000の二人以上世帯。
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和5年調査結果|知るぽると」
また、生活費以外の金融資産を保有している割合は73.2%、種類別では預貯金(94.8%)が最も多くなりました。金融資産保有世帯のみに限定すると、預貯金の平均額は501万円です。
二人以上世帯についても、単身世帯と同じ条件でシミュレーションを行ってみます。
<40代の貯蓄平均額を目指す場合>
361万円÷{(40歳-22歳)×12ヵ月}=1万6,712円
<40代の中央値(金融資産保有額)を目指す場合>
220万円÷{(40歳-22歳)×12ヵ月}=1万185円
40代は老後のためにいくら貯蓄すればいいか
老後生活を見据えた場合、40代の人は毎月いくら貯蓄すればよいでしょうか。老後生活に必要な貯蓄額は、次の式で大まかに計算できます。
老後の生活費-現在の資産額-老後に入ってくるお金=必要な貯蓄額
2023年の家計調査によると、世帯主が60歳以上の世帯における平均消費支出は月22万6,966円です。この金額を基準にした場合、老後の生活費は年間272万3,592円になります。
参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2023年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口」
また、「老後に入ってくるお金」としては老齢基礎年金や退職金があります。支給額は人によって変わるため、必要な貯蓄額はご自身のケースに当てはめて計算することが重要です。
どのように計算すればよいのか、以下では簡単な例でシミュレーションをしてみます。
<シミュレーションの前提条件>
現在の年齢:40歳
老後生活が始まる年齢:65歳
老後の生活費:前述の平均消費支出を基準に、85歳までの総額を計算
現在の資産額:300万円
老齢基礎年金:月10万円(65歳から)
退職金:500万円
(想定の寿命年齢-老後生活が始まる年齢)×年間の生活費=老後の生活費(総額)
(85歳-65歳)×272万3,592円=5,447万1,840円
老齢基礎年金の合計額+退職金=老後に入ってくるお金
(10万円×12ヵ月×20年間)+500万円=2,900万円
老後の生活費-現在の資産額-老後に入ってくるお金=必要な貯蓄額
5,447万1,840円-300万円-2,900万円=2,247万1,840円
平均的な老後生活を想定すると、必要な貯蓄額は2,247万1,840円になりました。この金額を40歳~65歳の期間で貯める場合、1ヵ月あたりの貯蓄額は約7万4,906円になります。
老後資金が足りない40代の貯蓄方法
老後に向けて十分な貯蓄ができない場合は、どのような選択肢があるでしょうか。
わかりやすい方法としては、副業や節約などがあります。収入を増やしつつ支出を減らせば、毎月の貯蓄に回すお金を増やせるでしょう。
また、まとまった資産を保有している人は、金融商品の購入も選択肢になります。たとえば、40歳から毎月数万円ずつを積立投資すると、預貯金より効率的な資産形成ができるかもしれません。代表的な金融商品としては、株式や投資信託、定期預金などがあります。
ただし、金融商品の種類や相場状況によっては損失が生じることもあるので、投資判断は慎重に行ってください。
平均貯蓄額に満たない世帯は資産運用も考えよう
40代の平均貯蓄額に満たない世帯は、理想の暮らしを実現できなかったり、老後生活で苦労したりするかもしれません。特に老後資金が不足している場合は、早めに資産形成を考えることが重要です。
貯蓄のペースを上げることが難しい場合は、金融商品での資産運用も考えてみましょう。
※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。
(提供:Wealth Road)