これまでの事業変遷について
ーーこれまでの事業の変遷についてお話いただけますか?
ライク株式会社代表取締役会長兼社長 グループCEO・岡本 泰彦氏(以下、社名・氏名略) :1993年に創業した時はお金も何もない状況でゼロからスタートしたので、資金がそれほど必要のない旅行企画の会社からスタートしました。当初は旅行代理店にダイビングツアーやホノルルマラソンをトレーナーとともに走るパッケージを提供していました。当時の大手航空会社の支店長が私たちのような小さな会社を応援してくれていて、携帯電話の販売を勧めてくれました。そこで、旅行の企画をやりながら携帯電話の販売も始めました。
ーーその後の成長はどのように進んでいったのですか?
岡本:当初は携帯電話の販売が主力でしたが、次第に携帯電話業界に特化した人材派遣や業務請負の部署を立ち上げ、その事業が好調に推移しました。その後、人材派遣スタッフの退職理由の中に育児が多くあったので、子育て支援や保育事業にも進出しました。さらに、私の母親が認知症になった際の経験をきっかけに、介護関連サービス事業も始めることになりました。
ーーそれぞれの事業の現状はどのような状況ですか?
岡本:総合人材サービス事業では現在、210億円ほどの売上があり、毎日8,000人ほどの方に働いていただいています。子育て支援サービス事業では、410ヶ所以上の保育施設を運営し、学童クラブ等の利用者を含めると毎日約15,000人の方に利用されており、304億円ほどの売上です。介護関連サービス事業では、東京都、神奈川県、埼玉県で25ヶ所の有料老人ホームを運営し、売上は81億円ほどです。
ーーこれまでの事業展開を振り返って、どのように感じていますか?
岡本:当初の携帯電話の販売だけでなく、いろいろな事業を展開してきたことで、安定的に成長させていただいていると感じています。今後も事業を拡大していくことで、さらなる成長を目指していきたいと思っています。
社長と会長の役割の違い
ーー社長と会長という役割の違いについて、また会長として社長とは異なる視点で意思決定の際に大切にされている点をお伺いしたいと思います。
岡本:実際の事業会社では、人材などは社長が別にいますが、持ち株会社ではまだ会長兼社長ということで、経営をしています。私は創業して30年で63歳になりましたが、企業の継続性を考えれば後継者の育成が重要なミッションだと理解しています。ここ5年は悩みながら、後継者がいないため両方の役割をこなしています。
保育や介護の事業では、私自身が社長を兼任していますが、営業本部と統括の本部長以下が全てやってくれています。
私は実質会長のような立場ですが、創業者であることから、見たくなるし、聞かれてしまうと言いたくなることがあります。しかし、育成していくためには、許せる範囲のミスやジャッジも経験してもらわないと、指示してばかりでは育たないと考えています。そのため、一歩引いて見守ることが大切だと思います。
また、幹部社員を抜擢するのは創業者であるため、人事の最終的な決断権は私にあります。公平で透明である人事を行い、社員が納得できるようにすることが、会長職を務める上で大切だと考えています。
会長として意思決定の際に重要視していること
ーー岡本代表が社長を抜擢される時に重視されているのは、どういったポイントを見て決められているのでしょうか?
岡本:何かを判断する時に全体最適化を考えることや、当社だけではなくて、それが世の中にとって正しいのかどうかをもう一度考えることが大事です。利益が出るからやるという判断軸は良くないですし、当社がそれをやる価値があるのか、それをやることによって社会に何か良い影響を与えられるのかということを判断基準にすることを大切にしています。次の社長になる人も、ビジネスの展開として利益が出そうだからといって何でもかんでも手を出すような人は問題外だと思っています。
また、次期後継者が人事権を全て持っている場合でも、極論を言えば仲がいいからといった理由で抜擢するようになると、絶対に会社がおかしくなり、最終的には潰れてしまうと思っています。
思い描いている未来構想
ーーそれでは、今後の御社の成長戦略についてお聞かせください。具体的にどのような未来の構想を描いていらっしゃるのでしょうか。
岡本:この国の大きな課題は、少子化や人口減少ですね。特に各企業が人材の取り合いになってきています。今後20年近くで生産人口は確実に減り続けると思います。
そんな中、コロナ前から外国人材に注力しています。ベトナムでナンバー2の財閥であるソビコグループと提携して、同グループが運営する大学を卒業した日本で働きたい人をサポートし、ベトナムでの保育園の展開や将来的な介護施設の展開を考えています。また、インドネシアでもパートナーがほぼ決まっており、ベトナムと同じような形で展開したいと考えています。
私たちの目標は、日本の保育や介護のクオリティをアジアに展開し、人口が多い国と提携することで日本に来て頑張ってもらえる人材のサポートを行い、第四の事業の柱にしていくことです。
ーー成長の未来図を達成するために、どのようなファイナンス戦略を考えていますか?例えばM&Aなどの活用があるのでしょうか。
岡本:当社は過去から積極的にM&Aを行っており、保育や介護の分野で小さな会社を買い、大きく育てるノウハウを持っていると考えています。ただ、過去10年間、保育業界は好景気でしたが、最近は普通の業界になってきたと感じています。異業種から参入した保育事業者などが当社に売却を申し込んでくることも多いので、適切な案件があれば保育や介護など、当社のノウハウが生かせる同業他社の買収を積極的に考えていきたいと思っています。
ファイナンスについては、これまでは低金利時代で銀行からの借入にこだわっていましたが、最近は状況が変わりつつあるので、今後は他の調達手段も検討していく時期が来ていると考えています。
ーー人材は貴社にとって非常に重要な要素だと思いますが、今後の人材育成において重要となるテーマや課題は何でしょうか。
岡本:グループとして最も人材が重要ですね。もっときちんと人材を育成し、シナジー効果が出るような人材を増やしていきたいと考えています。しかし、自社の人材育成には苦労しており、大きな課題だと思っています。
ーーそういった課題に対して、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
岡本:創業して30年経っていますが、私自身はまだまだベンチャー企業だと思っています。当社の人事制度では、年齢や性別、入社歴などの属性に関わらず、やる気があり適性がある、チャレンジしたい人には、どんどん重要なポジションを任せ、チャンスを提供していくことで人材の育成に努めています。
ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言
ーー今後貴社の成長にあたって、特に注目すべき点や、まだ認知されていない強みなどがあればお聞かせいただけると嬉しいです。
岡本:当社のビジネスモデルは、私自身よく「超労働集約型産業」と言っています。逆に言えば、今保育園を410か所以上運営しているわけですが、保育士の確保や教育面を考えると、競合他社が一年間に100や200の保育園を開設することは絶対にできないビジネスモデルです。こうなっているのは、毎年コツコツと10や20の保育園を増やし続けた結果です。
経営の安定度や継続的な成長が見込めるビジネスだと思います。新たな外国人材の活用やM&Aをプラスすることで、さらなる成長が期待できます。そのため、投資先としてリスクが少ないのではないかと考えていますので、ご注目いただければ幸いです。
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
- 氏名
- 岡本 泰彦(おかもと やすひこ)
- 社名
- ライク株式会社
- 役職
- 代表取締役会長兼社長 グループCEO