不動産担保ローンのおまとめローンは、複数の借り入れを1つにまとめることで、返済を簡素化し、金利負担を軽減する手段です。しかし、初めてこの仕組みを利用する方にとっては、具体的なメリットやデメリットなどがわかりにくいと感じるかもしれません。そこで本コラムでは、不動産担保ローンのおまとめローンの基本を解説し、どのような人に向いているのか、借り換え時の注意点についても詳しく紹介します。
不動産担保ローンのおまとめローンとは?
不動産担保ローンのおまとめローンとは、不動産を担保にして複数の借り入れを1つの借入先にまとめることで、金利の低減や返済の簡素化を図るためのローン商品です。不動産担保ローンの融資金を過去の借り入れの返済に充てることで、ローンを一本化します。例えば、カードローンや消費者金融からの高金利の借り入れを、より低金利の不動産担保ローンに統合することで、毎月の返済負担を大幅に軽減できます。
具体的には、最長30年の返済期間で最大1億円までの融資が可能なローンや、住宅ローンが残っているマンションでも第二抵当権での融資が可能なローンもあります。このように、不動産担保ローンのおまとめローンは、借り入れの効率化と返済負担の軽減を同時に実現する、現代の金融ニーズに適した商品と言えるでしょう。
不動産担保ローンのおまとめローンのメリット
不動産担保ローンのおまとめローンには、借り手にとって以下のような魅力的なメリットがあります。
- 低金利での借り換えが可能になる
- 月々の返済額を抑えられる
- 返済先を1つに絞ることで管理が楽になる
低金利での借り換えが可能になる
不動産担保ローンのおまとめローンの最大のメリットは、低金利での借り換えが可能になることです。不動産を担保として提供することで、通常の無担保ローンよりも低い金利で借り入れることができます。例えば、カードローンや消費者金融からの借り入れを不動産担保ローンに借り換えることで、年利15%程度の高金利ローンから、年利3%程度の低金利ローンへの移行が可能になる場合があります。
また、多くの金融機関では、借入額や返済期間に応じて金利が変動する仕組みを採用しています。そのため、より大きな金額を長期間借り入れる場合、さらに有利な金利条件を得られる可能性があります。
月々の返済額を抑えられる
不動産担保ローンのおまとめローンでは、低金利での借り換えに加え、返済期間を長く設定することで、月々の返済額を大幅に抑えることができます。多くの金融機関では、最長30年程度の長期返済期間を設定しています。これにより、借入金額が大きくても、月々の返済額を比較的小さく抑えることが可能です。月々の返済額が減少することで、日々の生活にゆとりが生まれます。ただし返済期間は長くなります。
返済先を1つに絞ることで管理が楽になる
返済先が1つになることで、複数あった返済日や返済額の管理が一元化されます。毎月異なる日に複数の返済をする必要がなくなり、一度の手続きですべての返済が完了するため、残高不足など返済漏れのリスクを大幅に減少させ、延滞などのトラブルを防ぐことができます。
また、家計管理の観点からも大きなメリットがあります。毎月の返済額が一本化されることで、全体的な金銭管理がしやすくなります。そのため、将来の資金計画も立てやすくなり、貯蓄や投資などの長期的な資産形成にも取り組みやすくなります。心理的な面でも、複数の借り入れがあることによる精神的なストレスが軽減されます。
不動産担保ローンのおまとめローンのデメリット
不動産担保ローンのおまとめローンには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。以下の3つのデメリットについて詳しく説明します。
- 原則として追加借入はできない
- 不動産を失うリスクがある
- 長期間の借り入れになるため返済総額が増える可能性がある
原則として追加借入はできない
不動産担保ローンのおまとめローンを利用した場合は、原則として追加の借入はできません。そのため、予期せぬ投資機会が生じた際に、迅速な資金調達が困難になる可能性があります。
例えば、事業拡大のチャンスや有利な不動産投資の機会があっても、追加の資金調達ができないため、その機会を逃してしまう可能性もあります。さらに、新たな資金需要が発生した場合、別のローンを組む必要が生じ、再び複数のローンを抱える状況になることもあります。これによって、おまとめローンの本来の目的である借り入れの一本化というメリットを損なう結果となります。
おまとめローンを利用する際は、将来的な資金需要も見据えた上で慎重に判断することが重要です。
不動産を失うリスクがある
不動産担保ローンのおまとめローンでは、借り入れの担保として不動産を提供するため、返済が滞った場合には担保物件を失うリスクがあります。このリスクは借り手の生活や将来計画に重大な影響を与える可能性があり、十分な注意が必要です。
特に自宅を担保にしている場合、返済不能に陥ると住居を失う可能性があります。投資用不動産を担保にしている場合も、その物件からの収入源を失うことになり、長期的な収入計画や資産形成戦略に大きな打撃を与える可能性があります。
このように不動産を失うリスクは、おまとめローンのデメリットの1つであり、おまとめローンを検討する際には十分な注意と慎重な判断が求められます。
長期間の借り入れになるため返済総額が増える可能性がある
不動産担保ローンのおまとめローンは、長期での返済計画を立てることができますが、これには返済総額が増加するという大きなデメリットが伴います。例えば、借入額1,000万円、金利3%の場合、10年返済と30年返済では利息総額に約360万円もの大きな差が生じます。この利息総額の増加に伴い返済総額も増加するため、月々の返済額は減少しても長期的には多額の支払いを行うことになる可能性があります。
また、数十年にわたる返済となると、退職後の収入が減少した際にも高額の返済が続く可能性があるほか、資金を他の投資や資産形成に充てる機会を失う可能性もあります。長期的な財務計画に大きな影響を与える可能性があるため、おまとめローンを検討する際は十分な注意が必要です。
不動産担保ローンのおまとめローンがおすすめの人
ここまで不動産担保ローンのおまとめローンのメリットやデメリットについて解説しましたが、実際どんな人におすすめなのでしょうか。ここでは不動産担保ローンのおまとめローンをおすすめできる人として、以下の3つのケースを解説します。
- 高金利の借り入れが複数ある人
- 返済管理が煩雑になっている人
- 家計の負担を軽減したい人
高金利の借り入れが複数ある人
クレジットカードのリボ払い、消費者金融からの借り入れなど、高金利の借り入れが複数ある人は、おまとめローンを利用することで、金利負担を大幅に減らすことができます。
例えば、消費者金融の金利は年15%〜20%程度であることが多いのに対し、不動産担保ローンの金利は通常これよりもかなり低くなります。高金利の借り入れを低金利の不動産担保ローンに一本化することで、毎月の利息負担が大幅に軽減され、より多くの返済額を元本の返済に充てることができるようになります。これにより、借入金の早期返済にもつながる可能性があります。
返済管理が煩雑になっている人
複数の借り入れ先があると、それぞれに対して異なる返済スケジュールを管理する必要があり、返済日を忘れてしまうリスクも高まります。おまとめローンを利用することによって、1つの借り入れ先に対してのみ返済を行うので、返済管理の手間が軽減します。
さらに、随時返済が可能なサービスを提供している金融機関もあるため、余裕資金ができた際に追加返済を行うなど、より柔軟な返済計画を立てることができます。
家計の負担を軽減したい人
毎月の返済額が多く、家計の負担が大きくなっている人にもおすすめです。低金利での借り換えにより、月々の返済額を抑え、家計の負担を軽減することができます。
月々の返済額を抑えることで、減少した返済額の一部を貯蓄に回したり、子どもの教育費に充てたり、あるいは生活の質を向上させるための支出に使用したりすることができます。また、予期せぬ出費や緊急時の備えとしても活用できるため、金銭的なストレスの軽減にもつながります。
ただし、借り換えを検討する際は、金利だけでなく、諸費用や返済期間なども含めて総合的に判断することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、自身の経済状況や将来の計画に最適な借り換えプランを選択することで、より効果的に家計の負担を軽減し、安定した生活を送ることができるでしょう
不動産担保ローンのおまとめローンに借り換える際の注意点
不動産担保ローンのおまとめローンに借り換える際には以下のような注意点があります。
- 不動産の評価額を確認する
- 返済期間と月々の返済額をバランスよく設定する
- 信用情報のチェック
- 過去の契約条件を再確認する
- 相談先を確保する
不動産の評価額を確認する
不動産の評価額がローンの借入可能額や借入期間に直接影響を与えるため、不動産担保ローンを利用する際は、不動産の評価額を正確に把握する必要があります。不動産の市場価値は経済状況や立地条件などによって変動するため、最新の評価額を確認することが重要です。
不動産の評価額を確認するには、専門の不動産鑑定士に依頼することをおすすめします。鑑定士は、物件の立地、建物の状態、周辺の取引事例など、多角的な視点から不動産の価値を分析し、客観的な評価を行ってくれます。
また、おまとめローンを取り扱っている金融機関に相談してみるのも手かもしれません。
返済期間と月々の返済額をバランスよく設定する
借り換えによって月々の返済額を減らすことができる一方で、返済期間が長くなると総返済額が増える可能性があります。そのため、返済期間と月々の返済額のバランスをよく考え、自分の返済能力に合った設定を行うことが重要です。
また、借り換え時には事務手数料や保証料、登記費用などの諸費用が発生することも注意しましょう。これらの費用を含めたトータルコストを考慮し、借り換えが本当に経済的に有利かどうかを判断する必要があります。
個人信用情報のチェック
不動産担保ローンのおまとめローンに借り換える際には、個人信用情報をチェックしましょう。個人信用情報とは、クレジットカードやローンの契約や申込に関する信用情報で、取引事実を登録した個人情報になります。自分の信用状態を把握することで、借り換えの可能性や条件をより正確に予測することができるためです。
金融機関は顧客の「信用」を判断するため借り手の信用情報を慎重に審査し、過去の返済履歴や債務状況を詳らかに確認します。この過程で、過去の返済遅延や債務整理の履歴が明らかになると、審査が厳しくなります。
過去の契約条件を再確認する
不動産担保ローンのおまとめローンに借り換える際には、現在のローン契約の内容を詳細に見直し、特に解約時にかかる違約金や手数料などを正確に把握しましょう。
多くの借り手は、借り換えによって金利が下がり、月々の返済額が減少することに注目しがちですが、現在のローンを解約する際にかかるトータルコストも考慮に入れなければなりません。特に注意すべきは契約期間中に解約することで起こる解約違約金で、その金額は契約内容によって大きく異なります。解約違約金が高額に設定されている場合、借り換えによって得られるはずの金利低下のメリットが相殺されてしまう可能性があります。
相談先を確保する
不動産担保ローンのおまとめローンへの借り換えを検討する際は、相談先を確保することも重要です。特に、ファイナンシャルプランナーやローンアドバイザーなどの専門家に相談することで、自分に最適な借り換えプランを見つける上で大きな助けとなります。
彼らは、金融市場の動向やさまざまなローン商品に関する深い知識を持っており、個々の借り手の財務状況や将来の計画に合わせた適切なアドバイスを提供してくれます。単に金利の低さだけでなく、借り手の長期的な財務目標や生活設計を考慮に入れた総合的な判断を行うことができます。
(提供:manabu不動産投資 )
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