この記事は2024年10月30日に「CAR and DRIVER」で公開された「トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある」を一部編集し、転載したものです。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある

TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ・ガズー・レーシング、TGR)は10月11日、MoneyGram Haas F1 Teamと車両開発分野などにおいて協力関係を結ぶことに合意し、基本合意書を締結した。
TGRが今季、10月半までに展開してきた活動を簡単に紹介しておこう。
FIA(世界自動車連盟)の世界選手権がかかった競技にはWEC(FIA世界耐久選手権)とWRC(FIA世界ラリー選手権)に出場。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある

WECは9月の富士6時間に出場した2台がともにノーポイントでレースを終了。小林可夢偉選手とニック・デ・フリース選手は最終戦(11月2日、バーレーン8時間)で総合2位の座をかけた戦いになる。
WRCは11月21~24日のラリージャパンが、2024年の最終戦。マニュファクチャラー選手権はヒョンデが525点、TGRが511点という展開。ドライバー部門はヒョンデのティエリー・ヌービル選手が225点でトップ、TGRのトップはエルフィン・エバンズ選手が185点で3位につけている。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある

国内競技にはスーパーフォーミュラとスーパーGTに参戦。スーパーフォーミュラはトヨタ製エンジンをコンドーレーシング、キッズコムチームKCMG、ドコモビジネス・ルーキー、イトウチュウエネクス・チーム・インパル、バンテリン・チーム・トムス、ベルテクス・パートナーズ・セルモ・インギングの各チームに供給。トムスの坪井翔選手が第7戦終了時点で86.5ポイントを獲得して、2位の牧野任祐選手が72点、3位の野尻智紀選手が70点で続いている。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある

スーパーGTは、GT500クラスにTGR TEAM ENEOS ROOKIE、TGR TEAM WedsSport BANDOH、TGR TEAM au TOM'S、TGR TEAM Deloitte TOM'S、TGR TEAM KeePer CERUMO、TGR TEAM SARDの6台が出場。
GT300クラスはmuta Racing INGING、SHADE RACING、HOPPY team TSUCHIYA、apr(2台)、ANEST IWATA Racing with Arnage、埼玉Green Brave、LM corsa、K-tunes Racingの9台が参戦している。
GT500クラスはau TOM'Sの坪井翔/山下健太選手組が53点でトップ、2位はデロイトTOM'Sの笹原右京/ジュリアーノ・アレジ選手組が51点という展開だ。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある

このほかワンメイクレースのGR86/BRZカップやヤリス・カップ、全日本ラリー選手権、スーパー耐久シリーズなどにも参戦やサポート活動を行っているほか、eモータースポーツやドライバーを育成するTGRドライバー・チャレンジ・プログラムやWRCチャレンジプログラム、WECチャレンジプログラムを推進。現在トヨタのワークスチームでラリーを戦う勝田貴元選手は、チャレンジプログラムを通じてキャリアを磨いた。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある
勝田貴元選手

トヨタの豊田章男会長はHaasとの提携する趣旨は、トヨタがF1に復帰するのではなく、若いドライバーにF1に通じる可能性を提供することが狙いだと語っている。勝田選手の先例のように、トヨタがF1につながるチャレンジプログラムのバリエーションとしてHaasとの提携を実現させたものといえる。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある
WRCチャレンジプログラムでドライビングテクニックを学ぶレッスン

TGRが展開している豊富なモータースポーツプログラムを見ると、ラリー、耐久レース、そしてフォーミュラとそれぞれのカテゴリーでFIA世界選手権に道がつながったことがわかる。ツーリングカーはスーパーGTやニュルブルクリンク24時間レース活動がすでに用意されている。

トヨタがF1 Haasと技術提携をする狙い。それは「若者の夢に応える」ことにある
WRCチャレンジプログラムは言葉の習得や人間力の育成も重視
Writer:カー・アンド・ドライバー編集部、Photo:TGR+JRP


(提供:CAR and DRIVER