特集「令和IPO企業トップに聞く 〜 経済激変時代における上場ストーリーと事業戦略」では、IPOで上場した各社のトップにインタビューを実施。コロナ禍を迎えた激動の時代に上場を果たした企業のこれまでの経緯と今後の戦略や課題について各社の取り組みを紹介する。
※取材日:2024年7月5日
創業時からの事業変遷
ーまず、創業時からの事業の変遷について教えていただけますか?
株式会社イタミアート 代表取締役社長・伊丹 一晃氏(以下、社名・氏名略) 当社はもともと広告制作プロダクションとしてスタートしました。しかし、1人でできることには限界があると感じ、通販事業にも参入しました。最初は紙媒体を使った保育園向けのお絵かきキットの販売を行い、広告制作と並行してやっていました。そこから時代の流れに合わせて、インターネットを活用したEC事業へとシフトしていきました。
ー具体的にはどのように事業を拡大されたのでしょうか?
伊丹 初めは広告事業、紙媒体の通販事業、EC事業を同時に進めていましたが、徐々に販促品のジャンルに注力するようになりました。特に、のぼり、横断幕などの商品が好調で、メーカー機能を持つことでお客様にとって便利になると判断しました。それが現在の事業形態に繋がっています。
ー事業成長の過程で苦労された点はありますか?
伊丹 1億円の売上を突破するのには苦戦しましたが、3億円の壁はそれほど感じませんでした。しかし、売上を伸ばしたいという気持ちと、現状への満足感の狭間で迷いがあったことがボトルネックになっていたと思います。そんな時、知り合いの社長に「もっと上を目指さないのか?」と言われ、その一言で目標を10億円に定め、数年で達成することが出来ました。その後も順調に売上を伸ばすことが出来ており、前期は31億円、今期は35億円を超える計画を立てています。
上場を目指された背景や思い
ー御社は今年の4月に上場を果たされましたね、おめでとうございます。上場を目指された背景やその思いについて教えていただけますか?
伊丹 ありがとうございます。実際、周りからは「上場しないほうがいい」と言われることも多かったです。しかし、私は岡山に生まれ育ったこともあり、岡山をもっと元気にしたいという強い思いがありました。そんな中で、出光興産創業者の出光佐三氏を描いた『海賊と呼ばれた男』という本に出会い、大きな影響を受けました。それを機に、自分が率先して地域の発展に貢献するべきだと考えるようになり、上場を決意しました。
ー上場してから感じた変化や良かった点があれば教えてください。
伊丹 まだ上場してそれほど経っていませんが、最大のメリットは、TBSの『がっちりマンデー!!』(6月23日放送)に出演できたことですね。上場していなければ、このような機会はなかったと思います。
また、新規のお客様からの問い合わせやアポイントが増え、今まで会うことができなかった先輩経営者の方々と接点を持てるようになったのも大きいです。
今後の事業戦略や展望
ー今後の事業展開や戦略についてお聞かせください。
伊丹 現在はのぼり、横断幕など取扱い商品別に15サイトを運営していますが、引き続きこの分野での成長を目指します。また、クロスマーケティングの手法を取り入れて売上拡大を図る予定です。今後はノベルティやディスプレイの市場に進出することを検討しています。
今後のファイナンス計画や重要テーマ
ー上場により資金調達もされましたが、今後のファイナンス計画についてお聞かせください。
伊丹 現在、岡山に1,000坪の工場があり、10月の竣工に向けて増築工事を進めております(2024年11月現在、竣工済み・本格稼働に向けて準備中)。増築後は約2倍の規模の工場になります。
ー設備投資や人材への投資についても教えてください。
伊丹 設備に関しては、定期的にスペックアップしながら入れ替えを行います。人材に関しては、新卒採用を10年ほど前から行っており、今年も26名が入社しました。同期の絆を深めるために、10人以上の単位で採用を続けています。
ZUU onlineのユーザーに⼀⾔
ー最後に、ZUU onlineのユーザーである投資家層に向けて一言お願いいたします。
伊丹 基本的に、今までやってきたソフトサイネージ、具体的には、のぼり、横断幕、懸垂幕といった安定的な市場をしっかりと今後も継続的に伸ばし利益を確保していきたいと思います。また、新サイトを作ることによって新商品を投入し、安定的な売り上げの増加を見込んでいます。
それらによって、当社の強みであるリピート率の水準の高さを維持しつつ安定的な成長を今後も遂げていきたいと思っておりますので、ぜひ今後とも応援いただけたら嬉しいなと思っております。
- 氏名
- 伊丹 一晃(いたみ かずあき)
- 社名
- 株式会社イタミアート
- 役職
- 代表取締役社長