工場の生産設備や検具などに用いる機械部品を製造販売、サイズのバリエーションは800垓(1兆の800億倍)という驚異の品揃えを実現している、株式会社ミスミグループ本社。
2024年9月、ミスミグループが開発した、機械部品調達のAIプラットフォームmeviy(メビー)の新たなサービスが発表されました。meviyの発表、2D図面対応、類似図面検索機能などを備えたmeviy Finderに続く今回は第4弾の新サービスとなります。株式会社ミスミグループ本社常務執行役員でID企業体社長の吉田光伸氏、株式会社ミスミグループ本社meviy推進本部プラットフォーム事業統括チーフディレクターの浅野智弘氏によるプレゼンテーションを、抜粋してお伝えします。
国内事業・海外事業・新規事業を経て、機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy」(メビー)の立ち上げに関わる。meviyはものづくり日本大賞にて最高峰である内閣総理大臣賞を獲得し、国内シェアは4年連続No.1、製造業におけるデジタルトランスフォーメーションを牽引する。
ミスミ入社前は、国内大手通信会社、外資系大手ソフトウェアベンダに籍を置き、インターネット黎明期からデジタルを活用した新規事業の立ち上げ・事業拡大に数多く携わる。
2009年新卒でミスミへ入社し、商品開発、営業、海外駐在(インド)、海外現法事業立ち上げ(インドネシア)、新規事業開発を経て、機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy」(メビー)の立ち上げに携わる。2020年3月よりマーケットプレイス型の新たなビジネスモデルとなる新規事業立ち上げに従事。
meviyの進化と今後の方向性
ミスミグループ本社 常務執行役員 吉田光伸氏
発表会ではまず、新サービス発表に先駆け、吉田氏より「meviyの進化と今後の方向性」をテーマに、meviyの提供する価値やこれまでの歩みなどについて、改めて概要が紹介されました。
meviyは機械部品調達のプラットフォームで、3DのCADデータをアップロードし条件を指定するだけで、約1分で見積もりが完了しその場で注文をすることが可能です。日本の製造業では、労働人口の減少、働き方改革などによって総労働時間が大幅に減ってきています。ミスミグループでは、紙の図面による発注、複数社への見積もり、FAXでのやりとりなど、非効率な時間の浪費が激しい調達分野での労働生産性向上、トランスフォーメーションを目指し、このmeviyを開発しました。
meviyは2019年に市場に本格導入され、現在、ユーザー数は約17万超、これまでにアップロードされた総データの数は約3,000万件にのぼり、4年連続シェアNo.1の地位を築いています。
吉田氏は「我々がmeviyによって提供している価値は部品ではなく、時間です。これからの製造業が生き残るために欠かせない時間という価値を創り出し、『ものづくりに創造と笑顔を』というmeviyが掲げるミッションを実現していきたいと思います」と話していました。
製造業の“あらゆる”を実現するmeviyの新サービス
meviy推進本部プラットフォーム事業統括チーフディレクター 浅野智弘氏
続いて、株式会社ミスミグループ本社meviy推進本部プラットフォーム事業統括チーフディレクターの浅野智弘氏より、「製造業の“あらゆる”を実現するmeviyの新サービス」をテーマに、第4弾となる新しい機能について、プレゼンテーションが行われました。
多岐に渡り、変化し続ける顧客ニーズにどう応えるか
浅野氏(以下敬称略) 私は2009年に新卒で入社し、商品開発、営業、新規事業開発などを経て、2020年3月よりマーケットプレイス型の新たなビジネスモデルとなる新規事業の立ち上げに従事しています。
まず発表の前に、この新機能を開発するにいたった経緯についてご紹介します。
多くのお客様にご利用いただいているmeviyですが、例えば他の部品も頼みたいなど、さまざまな要望が日々寄せられています。実際にどのようなニーズがあるのかを具体的に把握するため、お客様にアンケートを取らせていただきました。結果を見ると、例えば3Dプリンティング、架台や試作金型など、我々がこれまで提供していない、さまざまなサービスを求める声がありました。この結果から、顧客ニーズは多岐にわたり、そして変化し続けていることに改めて気付かされました。
これらの膨大で変化し続ける顧客ニーズに、いかにスピード感を持って応えていくか。あらゆるニーズに100%対応する仕組みはどうあるべきか、社内で検討してきました。
そして生まれたのが、今回発表させていただく新サービス、「meviyマーケットプレイス」です。
製造業の「あらゆる」を実現、meviy マーケットプレイスとは
新しいサービスであるこのmeviyマーケットプレイスは、グローバルにいる我々のお客様と、そのお客様のさまざまなニーズに応えられるパートナー、サプライヤー企業を直接つなぐものです。集客、見積、受発注、決済の情報を、このプラットフォームに集約して効率的なものづくりを可能にし、製造業の「あらゆる」を実現します。
具体的な操作方法としては、まずmeviy同様、設計データをアップロードし、製品要件の入力で見積もりを取りたい案件を選びます。図面などの見積もりに必要なデータも添付でき、モデルを3Dビューワー上で見ることができます。その後、切削や板金など依頼したいサービスを選ぶと、条件にマッチしたパートナー企業が絞り込まれます。見積もり回答の早い順、依頼件数の多い順でパートナー企業を並び替えできる機能も備えています。候補の企業を見つけたら、そのまま最大3社まで見積もり依頼ができ、さらに見積もりが返ってきた後は、個別契約書となる製品要件書のダウンロードも可能です。また、チャット機能が入っているので、プラットフォーム上で詳細を詰めるやりとりが完結します。
購入したいサービスや商品が決まったら、それらをカートに追加するだけで、あとは従来ミスミで普段お買い物いただいているのと同じやり方でWebサイトから注文し、見積もり依頼から契約、受発注、決裁までできるシステムになっています。
新規取引に要する「探す、つながる、やりとり」の手間を大幅削減
製造業では新しい企業と取引を開始する際、さまざまな手間が発生しています。例えば「探す」手間、これは取引先を探すために展示会に行ったりネットで探したり、条件にマッチした調達先を探すための時間です。そして、「つながる」手間、パートナーを見つけた後も、契約手続き、社内申請、登録口座開設など、非常に多くの時間が必要となります。さらに「やりとり」の手間。細かな条件をつめるため、メールを書いたり、商談をしたり、さまざまなやりとりが発生します。当社で調べたところ、これらの新規取引開始には合計で約480時間もの時間がかかっていることがわかりました。
今回の新サービスであるmeviyマーケットプレイスでは、取引開始に伴うこうした煩雑な手間を、AIによるパートナー企業のマッチング、契約や口座開設などの簡潔化、やりとりをデジタルで完結させることによる時間削減と情報の一元管理によって解決するものです。これにより、480時間かかっていた「探す、つながる、やり取り」の手間を99%削減し、0.5時間にまで減らすことができると考えています。
今回の発表に先駆け、このmeviyマーケットプレイスをご利用いただいているお客様からは、たくさんの反応をいただいています。例えば宇宙産業に携わるスタートアップ企業からは「宇宙産業特有の材料に特化したパートナーを見つけることができ、かつ短納期で厳格な予算計画を死守することができた」という声、また商品やサービスを提供する側のサプライヤー企業からも「外勤営業をすることなく顧客から見積もり依頼が来るので、営業リソースを調整してより効率的に売上が最大化できている」といった声をいただきました。
今回はmeviyの新サービス、meviyマーケットプレイスについてご説明させていただきました。エンジニアリングチェーンのあらゆる非効率をなくす、「時間の創出」に向け今後も努力していきたいと考えています。
【関連リンク】
株式会社ミスミグループ本社 https://www.misumi.co.jp/
meviyマーケットプレイス https://marketplace.meviy.misumi-ec.com/ja-jp/
(提供:Koto Online)