WithGrow
写真左がWithGrow コーディネータの吉川 達哉
写真右がITプロ人材として活躍する筒井 千晶さん
Photo by 新井 賢一

株式会社シーエーシー(以下、CAC)はDXやIT化を進めたい企業と、高度なITスキルを持つプロフェッショナル人材をつなぎ、さまざまな課題の解決を支援するサービス『WithGrow(ウィズグロウ)』を展開している。

『WithGrow』のITコーディネータとして企業との折衝、「プロ人材」の登用などを行う吉川達哉と、『WithGrow』に登録し「プロ人材」としてDX推進や人材育成支援を行う筒井千晶さんとの対談から、サービスの魅力や社会的意義に迫る。

>>ITプロ人材シェアリングサービス『WithGrow』サービス紹介サイト

吉川 達哉(よしかわ・たつや)
新規事業開発本部 WithGrow コーディネータ
2007年CACに新卒として入社。ERPソフトのカスタマイズ、多国籍人材チームのマネージャー、AZAREAを使った医薬システムの開発、ADAS(先進運転支援システム)の開発、PM兼セールスなどを担当。2024年4月から新規事業開発本部に所属し、コーディネータとして『WithGrow』事業に従事している。
筒井千晶(つつい・ちあき)
株式会社dazzly 代表取締役
システム開発会社勤務を経て独立。システム会社時代を含め約20年間、プロジェクトマネージャーとして、大小60以上のプロジェクトや事業・プロダクト開発に関わる。システム開発領域に留まらず、事業・プロダクト立ち上げやマーケティング、運営まで幅広く担当。その経験をもとに、2022年2月に株式会社dazzlyを設立し、ITプロジェクト推進・組織開発・人材育成コンサルタントとして活動中。

——まずはそれぞれの経歴を教えてください。

吉川 2007年に新卒でCACに入社し、さまざまな企業のシステム開発に携わってきました。直近ではAIを使った自動運転のプロジェクトでPM兼セールスを担当して、その後、定清奨さんが立ち上げた『WithGrow』事業メンバーの社内公募に応募し、今に至ります。

>>ITの力で日本経済のベースアップを ITプロ人材シェアリングサービス『WithGrow』に懸ける熱い思い

筒井 社内公募だったんですね。初めて知りました。

吉川 そうなんです。ちなみに『WithGrow』の公募よりだいぶ前にも、別の社内公募に応募したことがあります。でも、その時は落選してしまって(笑)。今回は無事に面接を受けて合格し、2024年4月から新規事業開発本部に配属となりました。『WithGrow』ではコーディネータとして、企業へのヒアリング、提案からクロージングまで商談全般を担当しています。プロ人材側に対しても募集や登録いただいた内容の確認、面談、案件ごとのマッチングやご相談といった調整をしています。

筒井 私も新卒でシステム開発の会社に勤務してSIerからスタートしました。その後、独立してフリーランスとして6年ほど過ごし、現在は株式会社dazzlyという会社を経営しています。吉川さんと違って、私にはSIerの適性なかったようです(笑)。

最初のシステム開発会社で、当時の上司が「システム開発をより高い視座で見られるといい」と話してくださり、それ以来ずっとプロダクトマネージャーに近い業務をしてきました。その延長線上で、今は人やチーム、組織、ステークホルダーのマネジメントに加えて、企業の人材育成や意識変革、組織変革の支援をしています。

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Photo by 新井 賢一

——『WithGrow』に関わることになった経緯を教えてください。

吉川 最初から『WithGrow』で仕事がしたいという思いがあったわけではなく、事業メンバーの公募が行われたことをきっかけに興味を持ちました。私はプログラマーからスタートして、設計やコンサル、PM、営業、マーケティングを幅広く経験してきましたし、金融や製薬といったCACのメインとなる取引先以外にも、さまざまな業界の企業と仕事をしてきた経験もあります。

『WithGrow』がどのようなものかを調べているうちに自分にフィットしそうだと感じ、「吉川だったらコーディネータが合うんじゃないか」と新規事業開発本部の方々に言ってもらえたことも後押しになりました。

筒井 私の場合は、会社を立ち上げてから積極的にエージェントサービスに登録するようになって、そのうちの一つが『WithGrow』でした。「中小企業支援」「地方」といったキーワードに惹かれたのと、裏側がSIerというのが珍しいと感じたことを覚えています。純粋に「ここはどういったエージェントなのかな」という興味もありました。

——『WithGrow』はITプロ人材との信頼関係がなければ成り立たないサービスだと思います。お互いの印象はいかがでしたか?

吉川 筒井さんは土台にSIerでの経験があるので、我々としては親しみやすく、かつ我々にないスキルを持たれている方です。最初はオンラインで面談をしたのですが、オンラインでも伝わる話しやすい雰囲気があり、信頼できる方と感じました。なかには「私はこれとこれができます」と自分の話ばかりする人もいるのですが、筒井さんには話を丁寧に聞く人だという雰囲気がありました。

筒井 逆も然りかもしれません。最近は「プロ人材を扱う」という名目のエージェントが増えてきて、いろいろなエージェントと話をする機会があるのですが、明らかにITに関する理解が低いな、というエージェントが多いんです。

私の経歴は一見するとごちゃっとしていて、わかる人には一発で伝わりますが、そうではない人には全く伝わりません。『WithGrow』では定清さんも含めて私の経歴についてあまり質問されなかったんです。きっとわかっているんだろうなっていう安心感は、私の立場でもありました。

吉川 そうですね。私たちにとってはわかりやすい経歴でした。

筒井 そういう方々が『WithGrow』というエージェントサービスを展開しているということで、おふたりに対してもサービスに対しても、最初の段階で信頼感を持ちました。

吉川 ありがたいです。

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Photo by 新井 賢一

——『WithGrow』を通して、実際にどういったプロジェクトを進められているのでしょうか?

吉川 沖縄の企業さまとのプロジェクトが進んでいるところです。現場の課題解決とともに、若手を育成できる人材を必要としているというご相談でした。ちょうどその相談を受けた前後に筒井さんからご登録いただいたので、我々も「おっ」となりまして(笑)。人柄も含めてマッチすると判断して、すぐに筒井さんに相談させていただきました。

筒井 タイミングも良かったんですね。最初に話をもらったときは、「沖縄にもこういう企業があるんだ」という驚きがありました。DXやIT化に対して、東京と地方では取り組みや意識に大きな隔たりがあると事前情報として聞いていたからです。

会社のDX推進に加えて社内のマインドを変革していきたいという話だったので、あまりにも私の得意分野とドンピシャで驚きました。また「CACさんだから外した案件はこないだろう」という安心感はもとからあったのですが、さすがだなと思いました。

吉川 我々が初めて実際に顔を合わせたのが沖縄でしたよね。何度かオンラインでのヒアリングを経て、一緒に現地に行くことになったときです。

筒井 初対面なのに私が遅れてしまって(笑)。

吉川 飛行機の遅延でしたよね。トラブルはしょうがないですし、でも、間に合いましたから(笑)。商談自体も順調に進みましたしね。

筒井 お客さまが予定時間をオーバーして説明してくださったおかげで、ご状況や課題、取り組みたいことがわかりました。予定の時間をかなりオーバーしたので、帰りに渋滞に巻き込まれレンタカーの返却時間に間に合わなくなりそうでした(笑)。

吉川 そうでしたね。お客さまには我々の提案を高く評価していただけましたが、県の支援が平行して進んでいるので、そことの兼ね合いについてもう少し調整したいということでした。近いうちに結論がいただけると思うので、楽しみにしています。

——お互いの存在に助けられた瞬間はありましたか?

吉川 たくさんありました。お客さまの生の声を聞きながら、課題解決と平行して組織を成長させるという知見は我々にはありません。筒井さんはそこに強みがあり、ITも詳しいので、非常に心強いです。今回も提案のところからサポートしていただきました。

筒井 吉川さんとの仕事は、コミュニケーションがものすごく楽ですね。私が全部言わなくても考え方をすぐに汲み取ってくれて、同じ方向を向いて考えてくださるのがわかります。営業だけ、開発だけをやっている人にはない幅があると感じていたのですが、先ほど吉川さんのキャリアを聞いて腑に落ちました。対応力、瞬発力があるのはそういう経験をされていたからだったのかと。

吉川 それで言うと、筒井さんの瞬発力にも助けられました。沖縄の企業さまとの商談でコストの話をしたときです。事前に金額を提示していたのですが、「それだとハマらないかも」という雰囲気になりました。その場で筒井さんに小声で「この金額でも大丈夫ですか」と相談したんです。

筒井 私としても「そうなりますよね」という感じでした(笑)。

吉川 いいですよと言ってくださったので、すぐにその場でまた提案ができました。

筒井 瞬発力ですね。こういった瞬発力で合わない人が多いんです。そういう点でコミュニケーションについては本当に楽をさせていただいています。

——『WithGrow』の魅力はどこにあると思いますか?

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Photo by 新井 賢一

吉川 お客さまの視点では、抱えているさまざまな課題に対して、親身になって解決策を提案してくれるところが魅力だと思います。IT企業がやっているサービスなので、ソリューションまで把握したうえでご提案ができますから。課題だけ言ってくだされば我々でなんとかします、とできるのが『WithGrow』の強みです。

プロ人材の方に対しては、得意なスキルを存分に発揮できるところが魅力ではないかと思います。スキルセットが特化しすぎていて、もしかしたら役に立たないかもと諦めがちな方でも大丈夫です。足りないところは『WithGrow』でサポートができますから。

筒井 人材の立場からすると、CACさんのようなSIerがこういったサービスをすることはすごく意義深いことだと思っています。IT業界の中にいると日本のDXが進んでいるような印象を持ちますが、それはごく一部の企業だけなんですよね。

ノウハウやナレッジが乏しい中小企業の方々がDXに取り組みたいときに、大企業のサービスを導入するかというと、価格が合わないのでできないと思います。そうするとどんどん二極化していきますよね。そういった状況における救世主のようなサービスが『WithGrow』だと思っています。

吉川 ありがとうございます。そこを目指していきたいですね。

筒井 また、私は自分を育ててくれたITの力で社会に恩返しをしたいという思いをずっと抱えてきました。その思いと『WithGrow』にはリンクする部分があると感じています。

——プロ人材の方に存分に力を発揮してもらうために、意識していることはありますか?

吉川 私は長くPMとしてお客さまの矢面に立つイメージで仕事をしてきたのですが、WithGrowでの私の立ち位置は、それとは少し違うのかなと考えています。お客さま、プロ人材、コーディネータがいて、三角形を作るイメージです。コーディネータはメンバーに指示を出すようなPMの立ち回りではなく、あまり出しゃばり過ぎないというか。

プロ人材の方を尊重しつつ、うまくいかないかもしれないというときに方向性を確認する、フォローをするくらいで、我々の出番がないまま終わるのが一番いいのではないかと考えています。

——企業と直接やり取りするのではなく、間に『WithGrow』が入ることで、プロ人材としてどういったメリットがあると感じますか?

筒井 信頼できるチームで働けることが挙げられると思います。企業のIT化やDXの現場では1個の課題を解決すればOK、それで終わりというケースはほとんどありません。特に中小企業ではどれだけ幅広く対応できる力があるか、チームとして動けるかが重要だと思います。

そのような視点を踏まえて、ただ人を寄せ集めるのではなく、『WithGrow』では、吉川さん、定清さんのお二人がしっかりと、チームになるように人材をコーディネートしてくださります。そういった方々がいるのは働きやすく、ありがたいと思います。

——今後、『WithGrow』がどのように成長してほしいか教えてください。

吉川 2つあります。1つ目は筒井さんもおっしゃっていたように、より多くの中小企業を支援したいということです。日本は大企業よりも中小企業のほうが圧倒的に多いので、中小企業が日本の経済成長のカギになると思っています。これまで大企業と仕事をして得たものを、中小企業が検討できる価格帯で提供したいです。

2つ目は我々の視点で、『WithGrow』が大きくなることでCACの認知度が上がっていくのではないかと期待しています。今は月に10件以上の新規の企業さまと接点を持って、知ってもらえる機会が増えています。CACは顧客との長期継続的な取引が多いので、『WithGrow』を通じて、新しい企業さまにもCACが認知されて盛り上がればいいと思います。

筒井 こういった事業は簡単にはいかないというイメージがあります。社会的意義がある一方で、これまでそういったサービスがなかったのには、いろいろな理由やハードルがあったからではないかと想像します。ぜひ『WithGrow』にはそれを乗り越えていただきたいですし、私がお役に立てることがあればお手伝いしたいと思っています。

吉川 ありがとうございます。これからもぜひ、よろしくお願いいたします。

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(提供:CAC Innovation Hub