トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「世界的リスク回避でリラは最弱通貨へ、1月、カギは中東復興」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価11位)
予想レンジ トルコリラ/円4.0-4.5

*世界的リスク回避でリラは最弱通貨へ、1月
*政策金利は予想通り2.5%利下げで45%へ
*外国人投資家がトルコの債券市場に復帰
*1月設備稼働率は低下
*中東情勢の落ち着きと復興がトルコの景気回復のカギ
*1月経常収支は6か月ぶりに赤字
*11月小売売上、自動車生産、鉱工業生産はまずまず
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
*リラ円は10年連続の年足陰線だが、10年ぶりの対円下落率が一桁%台へ
*12月消費者物価が低下
*格付け会社の評価は改善
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること

(世界的リスク回避でリラは最弱通貨へ、1月)
 トルコの利下げが始まったが、海外投資家の債券買い、株買いも出ているのでリラの下落も小幅だったが、昨日の米・コロンビア不法移民送還騒動や、米国AI株の暴落でのリスク回避で円が買われ、新興国のリラが売られ、1月は最弱通貨となっている。
 10年国債利回りは27.22%で政策金利引き下げが続く割には低下していないのは心配だ。イスタンブール100指数は年初来1.7%高、昨日は1.06%安。
 
(政策金利は予想通り2.5%利下げで45%へ)
 トルコ中銀は1月23日、政策金利を2.5%引き下げ、年45%とした。利下げは2会合連続。過去の急激な引き締めの結果、高インフレは減速の兆しが見えている。今後、当面はインフレ率の低下に合わせ、利下げを続けるとみられる。
 エルドアン大統領も金利は低下すると宣言している。

中銀は「インフレ期待と値上げの動きは抑制傾向にあるが、依然としてディスインフレの過程に対するリスクとなっている」と述べた。
これまでの金融引き締め姿勢に関し「インフレ率の持続的な鈍化により物価安定が達成されるまで」維持するとした。24年12月時点では、「毎月のインフレ率の基調が大幅かつ持続的に低下し、インフレ期待が予測された予測範囲になるまで」維持するとしていた。

(外国人投資家がトルコの債券市場に復帰)
 最近の金利引き下げとインフレ低下の兆候に勇気づけられ、外国人投資家がトルコの債券市場に戻りつつある。政策金利を45%に引き下げたことで、トルコが新興市場の主要プレーヤーとなる可能性について楽観的な見方が高まっている。

中銀のデータによると、1月17日までの1週間で、地方債は外国人投資家から12億4000万ドルの資金を吸い上げ、過去2カ月で最大の流入額となり、2025年までの累計は19億ドルに達した。外国人が保有する国債は10%を超え、2019年以来の水準となっている。
(ただ債券の売買は、日本でもどこの国でも同じく、必ずしも為替の売買に結びつくものではない。あくまで金利での売買が中心である)。

(設備稼働率は低下)
 トルコの製造業は、2024年12月の75.8%から2025年1月には生産能力の74.6%で稼働した。これは、2023年3月以来の最低値であり、非耐久消費財(12月の74%に対して72.9%)、消費財(73.6%に対して72.6%)、耐久財(71.6%に対して71.1%)、投資財(74.3%に対して73.5%)、中間財(75.5%に対して75.1%)のすべてのサブ指数で稼働率が低下したためである。