新築マンション投資とは?中古と比較した時のメリットや注意点、失敗事例を紹介
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丸山 優太郎
丸山 優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。

マンション投資において新築物件と中古物件のどちらが有利なのかは、よく議論されるテーマです。本記事では、新築マンションで投資する場合のメリットや注意点を、中古との比較を交えて解説します。注意点に対する対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 1.新築マンション投資とは?
  2. 2.中古マンション投資と比較したときのメリット
    1. 2-1.金融機関からの長期融資を受けやすい
    2. 2-2.入居者が見つかりやすい
    3. 2-3.家賃を高めに設定できる
    4. 2-4.修繕費の負担が少ない
    5. 2-5.売却しやすい
  3. 3.新築マンション投資の注意点と対策
    1. 3-1.物件価格の下落スピードが速い
    2. 3-2.物件価格が割高
    3. 3-3.物件運用の見通しが立てにくい
    4. 3-4.節税効果が薄い
    5. 3-5.利回りが低め
  4. 4.新築マンション投資の失敗事例
    1. 4-1.失敗事例:Aさんのケース
    2. 4-2.失敗事例:Bさんのケース
  5. 5.新築マンション投資で成功するポイント
    1. 5-1.資金計画をしっかりと立てる
    2. 5-2.利回りだけで判断しない
    3. 5-3.事前に出口戦略を立てる
    4. 5-4.規模別にマンションの特性を理解する
    5. 5-5.新築マンション投資に強い不動産会社に相談する
  6. 6.新築マンション投資は中古よりメリットが多くおすすめ

1.新築マンション投資とは?

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新築マンション投資とは、新築分譲マンションを購入して第三者に貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。新築の定義は「建設された後に入居者が住んだことがなく、かつ建設後1年以内」の物件を指します。したがって、入居した人がいなくても、1年以上経過した場合は新築マンションとは呼べなくなります。また、初めての入居者が1日で退去した場合も、物件広告に新築と表示することはできません。

2.中古マンション投資と比較したときのメリット

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ここからは、新築マンションに投資する優位性と注意点について詳しく見ていきます。新築マンション投資は中古マンション投資と比較して、以下のようなメリットがあります。

2-1.金融機関からの長期融資を受けやすい

新築マンションはローンを組む際、金融機関からの長期融資を受けやすいというメリットがあります。これは、中古物件に比べて入居者を確保しやすく、初期の修繕費がほとんどかからないため、安定したキャッシュフローを期待できるからです。リスクが低い物件と判断されるため、融資審査がスムーズに進む傾向があります。

2-2.入居者が見つかりやすい

ユーザーの中には、新築マンションに限定して探す人も少なくありません。最新の設備や綺麗な内装に魅力を感じるためです。家賃の差はあるものの、清潔感や現代的なデザインを備えた新築物件に付加価値を見出す人は多いでしょう。

2-3.家賃を高めに設定できる

新築マンションは中古より家賃を高めに設定できます。上述したように新築は綺麗なうえに、設備も入居者に人気の最新の機器やシステムを導入しているため、多少家賃を高めに設定しても入居者の確保は十分に見込めます。特にインフレが進む社会情勢では、入居者が高い家賃を許容しやすい傾向があります。

2-4.修繕費の負担が少ない

新築マンションを購入すれば、当面の間、大規模な修繕が発生するリスクは低いでしょう。一方で、築古の中古マンションでは、購入後すぐに修繕が必要になる場合もあります。修繕費は築年数の経過とともに増えていくので、修繕のない期間に費用を積立てておくのも有効な方法です。

2-5.売却しやすい

新築マンションを購入すると、売却する場合に「築浅物件」として売り出すことができます。次に購入する投資家も銀行融資を引きやすく、買い手が早く見つかりやすいです。

3.新築マンション投資の注意点と対策

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新築マンション投資には多くのメリットがありますが、デメリットがまったくないわけではありません。ここでは、注意すべきポイントとその対策について解説します。

3-1.物件価格の下落スピードが速い

新築マンションは、物件価格が落ちるスピードが速いのが特徴です。「新築プレミアム価格」と呼ばれるように、新築時には高い家賃に設定されるのが一般的です。そのため、最初の入居者が退去した途端に中古物件となり、家賃が下がると可能性もあります。

築11年目以降は家賃の下落が緩やかになり、築21年目を過ぎると横ばいになる傾向があります。家賃の下落には限界があるため、築古物件になると物件価格はほとんど下落しないケースも見られます。

3-1-1.対策

物件価格の下落を緩やかにするためには、資産価値の高い物件を購入することが重要です。東京カンテイが発表している「首都圏駅別築10年中古マンションのリセールバリューランキング2023」によると、ランキング1位の東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅は、築10年のマンションが新築時に比べて295.5%値上がりしています。

また、ベスト30駅もすべて新築時より10年後に価格が上がっています。このように資産価値が高い物件を購入することで価格の下落を防げるのです。

3-2.物件価格が割高

新築マンションは「新築プレミアム価格」によって高めの家賃設定が可能ですが、その一方で物件価格自体も割高に設定されるケースが多いです。これは、まだ誰も住んだことがないという付加価値が家賃の高さを支えているためです。しかし、一度退去者が出て中古物件となると、その付加価値が薄れ、家賃が下がるだけでなく、物件価格も割高感が際立つことがあります。

さらに、新築マンションは一斉販売される特性上、大規模な広告宣伝が行われるため、販売価格にはこれらの広告宣伝費も含まれています。こうした要因が重なり、新築マンションは全体的に物件価格が割高になる傾向があるのです。

3-2-1.対策

ワンルームマンションは初期費用が相対的に少ないため、物件価格下落の影響を抑えることができます。例えば、同じ20%の価格下落が発生した場合、6,000万円のファミリータイプでは1,200万円の下落となる一方、3,000万円のワンルームマンションでは600万円の下落に抑えられます。

3-3.物件運用の見通しが立てにくい

新築マンションは中古と異なり、物件が運用された実績がありません。そのため、どの程度の需要があるかはフタを開けてみないとわからないという側面があります。中古物件は、それまでの運用実績から表面利回りが物件広告に記載されていますが、新築は予想した利回りでシミュレーションするしかありません。

最初の入居者がいつまで入居を続けてくれるかも予測できないので、家賃が下落する時期も見通せません。その意味では、新築は中古よりも先行き不透明と考えることができます。

3-3-1.対策

新築の物件運用の見通しを立てるには、実績豊富な不動産会社に相談するのがおすすめです。特に新築マンションを専門にしている不動産会社であれば、販売後の物件価格や家賃の推移を把握しています。取引するなら販売と管理の両方を行っている総合不動産会社を選びましょう。

3-4.節税効果が薄い

新築マンションは節税効果が薄いといわれています。新築マンションの減価償却期間はRC造の場合47年と長く、1年当たりの減価償却費は少ない金額になります。そのため、給与所得などとの損益通算を狙った赤字を出しにくいという事情があります。

減価償却の比較だけで考えると、短期間で減価償却できる中古物件を購入したほうが節税効果は高いといえるでしょう。

3-4-1.対策

新築でも購入初年度と相続時に限れば、十分な節税効果が期待できます。一般的に購入初年度は諸費用が多くかかるため、赤字になるケースが多く、不動産所得の赤字分を給与所得などから差し引くことができます。

また、現金や預貯金で相続させると相続税評価額が100%となりますが、不動産で相続させれば相続税評価額は固定資産税評価額を基にする場合、公示価格の70%程度に減額されるため相続税を節税できます。

3-5.利回りが低め

新築マンションは価格が高いので、中古に比べると利回りは低くなる傾向があります。仮に表面利回りが3~5%あったとしても、そこから月の諸経費を支払い、ローンを返済すると収支がトントンになるケースも考えられます。5~8%程度の表面利回りを期待できる中古マンションのほうが、キャッシュフローが出やすいのは事実です。

ただし、あくまで満室を想定しての比較であり、中古マンションは空室が出やすいという点を考慮しなければなりません。

3-5-1.対策

利回りだけで考えずに、総合的に判断する必要があります。新築は入居率が高く、修繕費も当面かからないため、安定してキャッシュフローを得られます。一方で中古は退去者が出たり、修繕が発生したりした場合に一気にキャッシュフローが悪化するリスクがあります。それぞれ一長一短ある点を考慮して判断することが重要です。

4.新築マンション投資の失敗事例

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新築マンション投資を成功させるには、他のオーナーが経験した失敗例から学ぶことも大切です。代表的な失敗例として、2つの事例を紹介します。

4-1.失敗事例:Aさんのケース

上場企業役員のAさん(48歳)は、年収1,000万円を超える高所得者であるため、節税のために新築マンションを3戸購入しました。不動産所得が赤字になれば、給与所得と損益通算して所得税・住民税を節税できると聞いていたからです。

目的通り、購入初年度は初期費用がかさんで赤字になり、損益通算で節税することができました。ところが、2年目になると初期費用がかからなくなったため、ほとんど節税できない状態になります。3戸購入したことでローン返済負担も大きくなり、現在1戸の売却を検討しているとのことです。売却した場合、若干の売却損が出ると予想され、損益通算で節税できた分が帳消しになる見込みです。

Aさんは不動産会社の営業担当者から節税メリットだけを強調され、すすめられるままに同時に3戸も購入したことを後悔しているといいます。

4-2.失敗事例:Bさんのケース

経営者のBさん(55歳)は金融資産3億円を持つ富裕層です。そこで心配なのが、将来の相続対策です。妻と2人の子どもに円滑に資産を相続させるため、節税を目的として新築マンションの購入を検討していました。すると、相談した不動産会社の営業担当者から、「売り出し中の新築マンションに売約していない部屋が3戸あるので、まとめて購入いただければ多少値引きが可能です」とすすめられました。

Bさんはいわれるままに購入を決断。ところが、売れ残り物件であったため、立地に若干の問題があり、3戸中2戸は入居者が決まるまで時間がかかる結果となりました。将来相続した家族もこの立地では売却に苦労するかもしれません。

他の不動産会社の公式サイトに掲載されているオーナーの体験談を見ると、同じマンションを複数戸すすめるケースはほとんどなく、信頼できる不動産会社はエリアを分散させ、一つひとつ丁寧に説明しながらオーナーが納得するまで寄り添って案内していることがわかりました。

Bさんは信頼できる不動産会社を選ぶことの重要性を、高い授業料を払って学ぶ結果となりました。

5.新築マンション投資で成功するポイント

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新築マンション投資で成功するには、以下の5つのポイントを確実に実践する必要があります。

5-1.資金計画をしっかりと立てる

不動産投資で失敗しないためには、しっかりと資金計画を立てることが極めて重要です。不動産投資は短期で利益を出すことが難しく、長期的に経営することで収支が黒字になる性質を持つ投資だからです。

売却を考える場合には、所有期間を考慮しなければなりません。所有期間が5年以下で売却すると「短期譲渡所得」、5年を超えていた場合は「長期譲渡所得」となります。譲渡所得税は短期が39.63%、長期が20.315%と倍近くの開きがあるので、売却するなら5年を超えてから行ったほうが税制面では有利です。

5-2.利回りだけで判断しない

不動産投資において、利回り計算は重要です。しかし、単に利回りが高いという理由だけで中古物件を購入すると、想定外の早期退去や修繕が発生し、「こんなはずではなかった」と期待を裏切られる可能性があります。

中古物件に表示されている利回りは、区分マンションなら諸経費を考慮しない「表面利回り」、一棟マンションやアパートなら満室を想定した「予想利回り」であることに注意が必要です。

5-3.事前に出口戦略を立てる

不動産投資において、最終的な収支は物件を売却したときに確定します。そのため、購入前に「出口戦略」と呼ばれる売却を含めた物件の処分方法をあらかじめ決めておくことが必要です。出口戦略には主に以下の4つがあります。

・ローン完済後も物件を所有して家賃収入を得る(インカムゲイン狙い)
・買値を上回ったら売却して利益を得る(キャピタルゲイン狙い)
・ローン完済後に売却して現金化する(老後資金対策)
・家族に相続させる(相続税対策)

売却しないケースもありますが、売却する場合はいくらで売りたいか、金額も想定しておく必要があります。

5-4.規模別にマンションの特性を理解する

比較的似た規模の物件が多いアパートとは異なり、マンションは小規模な物件から大規模な物件まで千差万別です。マンションの規模によって修繕積立金の負担額も異なります。

大規模マンションは共用部分のスペースが広いため、その分修繕費も多くかかります。一方、小規模な物件は共用スペースは広くありませんが居住戸数が少ないため、1戸当たりの負担が大きくなります。国土交通省が策定した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、中規模な物件が最も負担が少ないことがわかります。

▽修繕積立金の平均額の目安

地上階数 建築延床面積 平均値
20階未満 5,000㎡未満 335円/㎡月
5,000㎡以上~10,000㎡未満 252円/㎡月
10,000㎡以上~20,000未満 271円/㎡月
20,000㎡以上 255円/㎡月
20階以上 338円/㎡月

5-5.新築マンション投資に強い不動産会社に相談する

不動産会社には、新築マンション投資に強い会社と、中古マンションを得意とする会社があります。新築マンションの購入を希望する場合は、新築マンションの入居者募集ノウハウがある会社に相談したほうが良いのはいうまでもありません。

中でも新築マンションの開発から販売・管理までを一貫して行う総合不動産会社であれば、自社物件をそのまま管理するので、空室が出ればすぐに次の入居者を見つけてくれます。

6.新築マンション投資は中古よりメリットが多くおすすめ

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ここまで、新築マンション投資のメリットや注意点について確認しました。

新築マンションは、特に不動産投資初心者におすすめです。初心者にとって最も不安なのは、入居者を確保できるかどうかという点でしょう。新築マンションには「新築プレミアム」という特別な価値があり、まだ誰も住んでいない部屋に住めるという大きな魅力があります。そのため、中古マンションよりも高い家賃設定でも入居者を確保しやすい傾向があります。

ただし、新築プレミアムが持続するのは1年程度とされています。一度中古マンションとみなされると、家賃や物件価格が下がり始める可能性があります。そのため、物件価格の下落リスクを抑えるためには、好立地の物件を選ぶことが重要です。具体的には、東京・横浜・名古屋などの大都市圏で、駅から徒歩10分圏内の物件が理想的です。

生活の利便性が高い物件は、入居者の満足度が高くなるため、退去率が低下し、仮に空室が出た場合でも次の入居者を早期に見つけやすくなります。まずは、新築マンションの供給実績が豊富な信頼できる不動産会社を訪れ、気軽に相談してみることをおすすめします。

(提供:Dear Reicious Online



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