経済産業省は、産業競争力強化法に基づく「特別事業再編計画」を初めて認定した。認定されたのは田中電機工業(広島県広島市)。認定に加え、必要な要件を満たすことで中堅・中小グループ化税制(中小企業事業再編投資損失準備金の拡充枠)を受けられる。

中小企業事業再編投資損失準備金は、既存枠に加えて2024年の税制改正で創設された拡充枠がある。拡充枠は、過去5年以内に取得価額1億円以上のM&Aの実績のある中堅・中小企業が株式取得によりM&Aを実施、その企業が、初回は株式取得価額の90%(2回目以降100%)の金額を準備金として積み立てた場合、その事業年度において積立金額を損金算入できる。

積立金は取り崩すまでに10年間の据置期間がある。据置期間後は5年間にわたり均等に取り崩して益金算入する。税制適用を受けるには産業競争力強化法上の特別事業再編計画認定を受ける必要がある。

田中電機工業は電気制御盤に強みを持ち、既存技術を活用できる昇降機事業に2022年にサンリフト(広島市)の買収で参入していた。今回、A社(名称非開示)の全株取得で昇降機事業を新たに獲得。これにより、昇降機事業を担う子会社サンリフトと合わせ、製造から販売、保守管理まで一貫した事業体制を構築する。