株式会社エンドレス
(画像=株式会社エンドレス)
蕭 勝華(ショウ センファ)――取締役COO最高執行責任者
1994年台湾生まれ。2歳の頃に来日。13歳まで浅草で育ち、14歳で渡米。南カリフォルニア大学在学中にTrade Bank株式会社の起業からの会社売却や、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インクでの就業を経験。大学卒業後は、KPMGコンサルティング株式会社に入社し、2018年に株式会社エンドレスの取締役に就任。次々に新しいブランドを立ち上げ、2023年に全国130店舗を超える事業展開を実現。
2001年、製造業として代表取締役蕭易風が株式会社エンドレスを設立。ビーズ・アクセサリーパーツ専門店「PARTS CLUB」、プチプライス・ハイクオリティなアクセサリーブランド「LUNA EARTH」、ファッション業界における昨今の在庫問題や廃棄問題を解決し、サステナビリティに貢献するため、商品の販売経路拡大を目的としたブランド「ruinas」などを運営。

目次

  1. 現在までの事業変遷について
  2. 取締役COO最高執行責任者の役割について
  3. 意思決定の際に重要視をしている点
  4. 未来構想や投資領域について
  5. ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

現在までの事業変遷について

—— 現在までの事業編成についてお伺いできますか?

株式会社エンドレス 取締役COO最高執行責任者・蕭 勝華氏(以下、社名・氏名略) 私たちの会社、エンドレスの始まりは、父が明治大学の学生時代に起業したところからです。当初は日本のカップラーメンなどを台湾に卸す商社としてスタートしました。その後、友人の勧めでアクセサリーのビジネスを始めたところ、多くのお客様から求められるようになったので、アクセサリーの卸業者としての道を進むことになりました。

—— そのアクセサリービジネスが現在の基盤につながっているのですね。

そうです。しかし、アクセサリーの問屋業だけでは限界があることに気づきました。1990年代後半には、ユニクロのような生産から店舗までを一貫して持つビジネスモデルが成長する時代になっていました。そこで、2001年にエンドレスを創業し、PARTS CLUB(パーツクラブ)というブランドを立ち上げ、一気に100店舗まで拡大しました。

—— そのようなビジネスモデルへの転換は、非常に早い決断だったのではないでしょうか?

ええ、特に日本の市場は、義理や人情が強く、昔ながらの商店が大きな影響力を持つ環境でした。その中で、自分たちでビジネスをコントロールできるモデルを作ろうと考え、直接消費者に向けた展開を進める決意をしました。

—— 日本での事業展開という大きな転換も、成功への要因の一つだったのでしょうか?

そうですね。父の友人が日本にいたことが日本進出の大きなきっかけとなりました。当時の日本は非常に活気があり、世界でも圧倒的な存在感を持つ市場でした。この環境が、日本で事業を展開する決断を後押しし、結果的に成功につながりました。

—— 台湾から日本への進出には、多くの決断と挑戦が伴ったのですね。

そうです。父からもよく話を聞いていましたが、色んな人との縁や偶然が重なり、結果的に日本市場での事業が成功したことに感謝しています。

株式会社エンドレス
(画像=株式会社エンドレス)

取締役COO最高執行責任者の役割について

—— 株式会社エンドレスでの取締役COO最高執行責任者 蕭さんの役割についてお伺いしたいと思います。

私は事業全般に関わるほぼすべての経営を担当しています。2018年にエンドレスに入社した際、初日から父に「今日から取締役として全てを見るように」と言われました。事業承継の一般的なプロセスを経ることなく、経営者としての役割を担う立場になりました。現在も、新規事業の立ち上げ、組織改革、出店判断、人材採用、インフラ投資など、多岐にわたる案件の最終承認を行っています。

—— すべての権限が委譲されているということですね。

そうですね。最初の頃は全権限を急に任され、右も左もわからない状態でした。大学時代にアメリカで起業した会社を売却するまでに、ある程度の規模まで成長した経験があったので自信はありましたが、国も文化も違うため想像とは全く違いました。途中でトップとしての難しさを痛感し、日本のビジネス風習に合わせて「二代目の社長」を装わなければならない場面も多々ありました。

—— そのようなプレッシャーの中で、どのようにして自分を見つけたのですか。

入社して3ヶ月が経過した後、十二指腸潰瘍で入院した経験が大きな転機になりました。 十二指腸に3つの大きな穴が空き、あと30分遅れていたら出血多量で死んでいたという状態までに。入院期間中に、自分が本当にやりたかったことを見つめ直す時間がありました。それまでは父の背中を追うような働き方をしていましたが、それをやめ、自分のビジョンを追求するようにしました。この転換が功を奏し、コロナ禍においても業績を伸ばし、昨年には業界トップの売上を達成しました。

—— その経験が大きな成長のきっかけになったのですね。

そうです。入院後は「質よりも量」を重視する考え方に変えました。質の高い結果は量から生まれると考え、多くの現場に足を運び、スタッフと直接対話を重ねました。信頼関係を築くことで、組織全体の環境が大きく変わりました。また、入社当初はミッションやビジョン、バリューが存在しなかったのですが、退院直後の2019年にはこれらを明確に定め、組織に浸透させました。

—— ミッションやビジョンの浸透が組織に与える影響について教えてください。

ミッションやビジョンが浸透することで、組織全体が同じ方向を向いて働けるようになります。これにより結束力が高まり、成果を上げやすくなります。また、人を中心に据えたビジネスでは、スタッフの質が成功の鍵を握っています。だからこそ、コミュニケーションを重視し、スタッフとの信頼関係を築くことが最も重要だと考えています。

意思決定の際に重要視をしている点

——蕭さんが意思決定をされる際に、特に重要視している点についてお聞かせいただけますか?

意思決定で最も重要視しているのは、お客様目線を持つことです。多くの人がこの視点を忘れがちですが、私たちのビジネスは、最終的にお客様に還元されることが必要不可欠だと考えています。例えば、社内プロセスを効率化することが最終的にどのようにお客様に利益をもたらすのか、常にその視点で考えています。

—— 他に意識されているポイントはありますか?

数字や数値的根拠を基にした意思決定も重視しています。なんとなくの直感ではなく、論理的な根拠に基づいて判断することが大切です。コンサルティング経験を通じて培った論理的思考が、このプロセスに大きく役立っています。

—— その視点を持ち続けることは難しいと思いますが、どのように維持されていますか?

コロナ禍での経験が大きかったです。店舗に来るお客様が減った時、何が必要かを考え直しました。マスクが不足しているというニュースを見て、マスクの専門店を立ち上げました。これはお客様のニーズを考えた結果で、年間で十億以上の売上を達成しました。この経験から、お客様が何を求めているかを常に意識するようになりました。

—— なるほど、その経験が視点を強化したのですね。マスクの話は非常に興味深いです。

当初、アクセサリーが主力商品である中で「マスクを販売する」と言った時、社内では驚きの声が上がりました。しかし、実際に販売を開始すると瞬く間に売り切れ、結果が伴ったことで社内の目が変わりました。お客様が何を求めているかを考える重要性を全員が実感した瞬間でした。

—— マスクの販売での具体的な工夫について教えていただけますか?

私たちの「PARTS CLUB」は、パーツを組み合わせてアクセサリーを作るDIYブランドです。このブランドのコンセプトをマスクに応用しました。布、ゴム、ワイヤーといったパーツをそれぞれ販売するという発想です。当時、市場には完成品のマスクが不足していましたが、これらのパーツはまだ流通していたため、それらを組み合わせる形で販売を行いました。この戦略が功を奏し、非常に高い売上につながりました。

—— アクセサリービジネスの経験をマスクに応用したのは素晴らしいですね。

未来構想や投資領域について

—— 貴社の未来構想についてもお伺いしたいと思います。今後の投資領域についてもぜひ教えてください。

弊社の未来構想としては、アクセサリー業界で世界一のブランドを作ることを目指しています。その第一歩として、「LUNA EARTH」という低価格アクセサリーブランドを立ち上げました。通常1000円から2000円で販売されるアクセサリーを、300円(現在は500円・900円もあり)という価格帯で提供するブランドです。非常に好調で、現在50店舗以上を展開しています。短期的には国内で200店舗まで拡大し、その後は海外展開を視野に入れています。

—— LUNA EARTHについて、もう少し詳しく教えていただけますか?

LUNA EARTHのアクセサリーは品質も確保しつつ、低価格で販売することで大ヒットし、2025年の出店が約10店舗以上、既に決まっています。未来構想としては、まず国内で200店舗に拡大し、その後は海外展開を考えています。そして20年後には、世界一のアクセサリーブランドを目指しています。

—— 世界一のアクセサリーブランドとは、具体的にどのようなビジョンを持っているのでしょうか?

ジュエリー業界で世界的に有名なブランドはありますが、アクセサリー分野ではあまり聞きません。そこで、私たちはそのポジションを狙っています。ユニクロやH&Mがアパレル市場で同様のポジションを確立しているように、アクセサリー業界で世界的なブランドを作り上げることが目標です。私が30歳の今から20年後、50歳になった時に世界一のアクセサリー屋になっていることをビジョンとして掲げています。

—— 投資領域についてもお話しいただけますか?

投資領域では、主にM&Aを通じて事業拡大を進めていきます。既存のアクセサリーブランドを買収し、弊社のノウハウを活用して再建・成長させることに注力していきます。例えば、デザイン力や生産効率の改善を通じて、収益性を向上させる取り組みを行っていきます。さらに、事業ポートフォリオの拡充を目指して、1000円から2000円の価格帯をカバーする企業も積極的に買収したいと考えています。

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

—— 最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

私たちの目標は、世界で戦える企業へと成長することです。ユニクロが20年で世界的な企業となったように、私たちも20年をかけて、日本国内だけでなく世界を舞台に事業を展開し、成長していきたいと考えています。そのためには、単に商品やサービスを提供するだけでなく、世界で活躍できる人材を育てることが欠かせません。

世界で挑戦し、変化の早い環境で自らを成長させたいと考える方は、ぜひ私たちの仲間になっていただきたいと思います。私たちは、爆速でPDCAを回しながら、常に前進し続ける環境を提供しています。このダイナミックな環境で、共に学び、成長し、世界へ挑戦していきましょう。

これからも引き続き、私たちの挑戦を応援いただけますと幸いです。

株式会社エンドレス
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氏名
蕭 勝華(ショウ センファ)
社名
株式会社エンドレス
役職
取締役COO最高執行責任者

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