2002年 1 月 同行新石切支店支店長
2004年 4 月 同行八尾支店支店長
2006年 4 月 同行三田支店支店長
2009年 11月 当社入社管理本部副本部長
2010年 6 月 当社執行役員管理本部長
2012年 6 月 当社取締役管理本部長
2014年 7 月 当社常務取締役管理本部長
2021年 4 月 当社専務取締役管理本部長
2022年 6 月 当社取締役専務執行役員管理本部長
2024年 4 月 当社取締役副社長(現任)
目次
現在までの事業変遷について
—— 御社の現在までの事業の変遷についてお聞かせいただけますか。
佐々江 当社は1980年12月に「杉野興産」という会社を設立し、大阪の泉大津にてローラースケート場からスタートしました。1982年には16レーンのボウリングレーンを設置し、ボウリング場経営を開始しました。これが当社の事業の始まりです。その後、様々な変遷を経て、1997年に大証二部に上場させていただきました。そして2010年にはアメリカにも初出店し、現在に至っています。
—— その間、佐々江さんはいつ入社されたのですか?
佐々江 私は2009年に入社しました。ちょうどアメリカに本社を作った年ですね。当時はリーマン・ショックの後で非常に厳しい時期でしたが、SPC(特別目的会社)を使って国内での新規事業展開を進めていました。その後、会計基準の変更に伴い、すべてを連結しなければならなくなり、それまで借入のない身軽な会社が一気に負債と資産を抱える形になったのが、私が入社した時期です。
—— その当時の競合についてはいかがでしょうか?ボウリング場は数多くありましたが、貴社の強みは何でしたか?
佐々江 当社の創業者で代表取締役社長でもある杉野が、まず「誰が一番時間があるのか?」と考えた結果、大学生に注目しました。大学生が楽しめる施設を提供することで、ボウリング場の運営に特化していったのです。当時、技術革新が進まなかったボウリング業界において、唯一の技術革新は自動スコアリングシステムでしたが、それを早期に導入したことで、競合との差別化が図れました。また、資本力を活かして施設をリニューアルしていけるのも強みでした。
—— ボウリング業界は何度かブームがありましたが、その波に左右されることなく、順調に事業を拡大されましたね。
佐々江 そうですね。私が経験した中でボウリングブームは2回ありました。1回目は今から50~60年前、2回目は1990年代で自動スコアリングシステムが導入された頃でした。しかし、ブームに依存せず、着実に事業を進めてきました。
—— 佐々江さんが入社されてから、特に大きな出来事はありましたか?
佐々江 入社してから1年後に東日本大震災が起こりました。当時、私は東京で物件の売却を進めていましたが、東北や北関東の店舗を一部閉鎖せざるを得なくなりました。
そして、次に大きな出来事はコロナ禍です。約2ヶ月間、店舗を閉めざるを得ない状況になりました。我々は現金商売で、店舗を閉めると収入がゼロになってしまうため、資金繰りが非常に厳しかったです。しかし、震災やコロナ禍においても、迅速に資金を確保し、対応できたことが印象に残っています。
貴社におけるNo.2の役割について
—— 貴社におけるNo.2の役割についてお伺いします。副社長として現在どのような役割を担っているのか、お話しいただけますか?
佐々江 正直なところ、No.2という意識はあまり持っていません。当社はオーナー系の上場企業なので、杉野が次々と新しいアイデアを出してきます。それを実現するために、私は杉野と打ち合わせを重ねながら、さまざまな課題に取り組んでいます。
もちろん、一人ではできないので、部下や仲間たちとディスカッションを重ね、リスク管理や実行方法について議論し、最終的に杉野へフィードバックを行うのが私の仕事です。
—— 具体的にはどのような新規事業やプロジェクトに関わられているのですか?
佐々江 当社では、杉野から細かい指示が飛んでくることもあります。オーナー系企業なので、経営の大枠は杉野が考えるのですが、細かい部分の調整やリスク管理は私たちが担っています。
特に、法的リスクや上場企業としてふさわしい行動かどうかを確認しなければなりません。例えば、「これはリスクがあるからやめたほうがいい」とか、「これなら問題なく進められる」といったアドバイスを行い、最終決定をサポートするのが私の役割です。
—— オーナー企業ならではの難しさがありそうですね。
佐々江 そうですね。杉野とは時間的な余裕をもらえないこともありますが、そこを交渉してリスクをしっかりと確認する時間を確保することが重要です。杉野には、私たちが説明をしっかり行うことで、理解していただくことが多いです。
—— 前職の三井住友銀行で拠点長を務めていた際の経験と、現在の役割での違いは感じられますか?
佐々江 三井住友銀行は全く異なる文化を持つ企業でした。私は役員ではなく拠点長を長く務めましたが、経営者としての視点で仕事をしていました。しかし、こちらでは経営者からの指示に基づいて動く立場ですので、そのギャップが一番苦労した点です。
—— 大企業の文化と今の企業規模の違いも、苦労された部分でしょうか?
佐々江 そうですね。スタッフの数や体制が全く違いますから、その違いに慣れるのは大変でした。特に、創業時や上場時に入社した社員たちは、長年にわたり自分たちなりの思いを持って成長してきたので、私がいきなり上に立つ立場になることは、大変なことでしたね。
No.2が意思決定の際に重要視をしている点について
—— 次に、意思決定をされる際に重要視している点についてお伺いします。多くの決断をされていると思いますが、どのような基準で判断されているのでしょうか?
佐々江 やはり「本当に正しいのは何か?」ということが一番の判断基準です。もちろん、リスクも多岐にわたりますが、そのリスクが取れるものか取れないものかをきちんと見極める必要があります。その上で、最も正しい選択をすることを常に意識しています。
当社は営業優先の会社ですので、どうしても売上や利益を追求したいという声が強いですが、その際に「この方法が本当に正しいのか?」「法律に則っているのか?」といった点を確認することが大切です。世の中の規範に照らしても正しいかどうかを見極めることが、私の立場での重要な役割だと思っています。
—— なるほど。それは前職でのご経験も影響しているのでしょうか?
佐々江 そうですね。以前、金融機関にいたこともあり、リスク管理の重要性は常に意識しています。金融機関はブレーキをかける力が強いのに対し、当社は拡大を続ける企業で、アクセルを踏む力が非常に強いです。杉野は常に新しいアイデアや方向性を打ち出しますが、私の役割はその中でブレーキを適切にかけたり、ハンドルを切りながら経営のバランスを取ることだと思っています。
—— 杉野社長が新しい案をどんどん出される中で、それを実現する方法を模索するのも佐々江さんの役割なのですね。
佐々江 そうです。基本的に私は「ノー」と言いたくないタイプです。営業畑出身ですので、「どうやったらできるのか?」という視点で物事を考えることが多いです。ノーと言うのは簡単ですが、それでは何も進まない。だからこそ、どうすれば可能にできるかを常に模索しています。
—— その姿勢が、貴社の成長を支えているのでしょうね。
No.2の思い描いている貴社の未来構想について
—— では、副社長として思い描いている貴社の未来構想についてお聞かせいただけますか?
佐々江 これはもちろん杉野とも共有している部分ですが、当社はこれまで杉野の強力なリーダーシップによってここまで成長してきました。しかし、杉野が引退した後は、やはり会社を個人から組織へと移行していく必要があると考えています。これまではトップダウンの指示に従って動けばよかった体制でしたが、今後は各従業員が自分の意思で動き、変化に対応できる強い組織へと進化していくことが重要です。
—— 組織としての自立が求められるということですね。
佐々江 はい、その通りです。私は管理部門を統括していますが、できる限り責任を下の人間に持たせるような体制を作っています。これにより、従業員一人ひとりが責任を自覚し、自発的に行動するような組織へと変わりつつあります。私が入社した頃は、典型的な中小企業のように、特定の人しか重要な業務を処理できない状況でした。しかし、今ではそのような体制を変えて、組織全体で業務を進められるようになってきています。
—— その改革によって、個人に依存しない体制が構築されているということですね。
佐々江 そうです。個々の従業員に仕事が偏ることなく、組織として責任を持つ体制へと変わってきました。急成長している企業では、どうしても個人に頼る部分が多くなりがちですが、当社ではそれを防ぐために、組織全体で取り組む体制を整えました。その結果、以前のようにエラーが頻発することも減り、安定した運営ができるようになっています。
—— 御社のファイナンス面における副社長の立場と展望についてもお伺いできますか?
佐々江 私は銀行出身で、当時は経営再建の一環としてラウンドワンに出向しました。当時のラウンドワンは、まだ多額の借入を抱えており、リーマンショック後に非常に厳しい状況でした。しかし、その中で社長と協力して、無借金経営を目指して組織改革を進め、今ではリースを除けばほぼ無借金の会社にすることができました。もちろん、銀行とのやり取りもあり、完全に借入をゼロにすることは難しいですが、預金と相殺すれば実質的には無借金の状態です。
—— その成果は本当に素晴らしいですね。副社長のご尽力があってこそだと思います。
佐々江 ありがとうございます。これからも組織の力を最大限に引き出し、人材面でも財務面でもさらに強い会社へと成長させていきたいと考えています。
ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言
—— ZUU onlineユーザーやその他の投資家の皆様へ、一言お願いできますでしょうか?
佐々江 当社は常に前進し、成長を目指している会社です。その一例として、新たにアメリカでの飲食事業の展開を目指し、本格的に動き始めています。これに関しては、いわゆる高級日本食を世界へ届けることをコンセプトに、アメリカでの本格的な日本食文化の浸透を目指しています。社長自身も非常に強いリーダーシップのもとで、この事業に力を入れており、成功に向けて全力を注いでいます。
—— 国内でも同様の展開はされているのですか?
佐々江 いえ、国内では行っていません。今は特にアメリカ市場に集中する予定です。アメリカでは、日本食の需要が非常に高く、ニューヨークやロサンゼルスでは高級寿司が一人前で何十万円もするほどの人気です。我々は、海外の方が日本に来た際に食べたいと思っても予約が取れず食べられないような、本当に質の高い日本食を、現地に居ながら味わっていただけるサービスを提供しようとしています。これにより、アメリカの方々にも「本物の日本食」をもっと身近に感じていただけるようにしたいと考えています。
—— これまでとは全く異なるコンセプトでの展開となるわけですね。
佐々江 そうですね。ただし、そうは言いながら、我々は既にアメリカで54店舗を展開しており、実は飲食に関わるライセンスや規制についての知識や経験が豊富でもあります。この知識を活かして、現地でスムーズに事業を展開することができています。これにより、単なる飲食店の展開ではなく、日本の食文化を本格的にアメリカへ届けることができると自負しています。
—— 貴社の持つリソースを最大限に活かしているわけですね。投資家の方々にも非常に参考になるお話だと思います。
佐々江 ありがとうございます。当社はこれからもグローバルに展開し、さらなる成長を目指していきます。引き続き、応援をよろしくお願いいたします。
—— 本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
- 氏名
- 佐々江 愼二 (ささえ しんじ)
- 社名
- 株式会社ラウンドワン
- 役職
- 当社取締役副社長