
総括
FX「敵意むき出しの米国に立ち向かいランド健闘、欧州・中国が支援」南アランド見通し
「通貨4位、株価10位」
「予想レンジ 南アランド円7.9-8.4」
(ポイント)
*米国からの攻撃続くもランドは年間4位堅持
*援助打ち切りの米に代わり中国、EUが支援約束
*政策金利は7.5%で据え置きか
*ペルソナ・ノン・グラータ、米国が中米南ア大使に宣言
*予算案発表、これから議論が始まる。DAはどう出るか
*今週は消費者物価、小売売上高
*対米関係悪化と南アの抵抗
*4Q・GDPは予想下回るも前期より改善
*停電は解消
*1月貿易収支は1年振りの貿易赤字
*南アは「投資適格」を目指す
*今年秋にAGOA法(南アから米国への免税輸出)の見直しあり
(米国からの攻撃続くもランドは年間4位堅持)
米国から政治経済への圧力を受けながら、対円では年初来1.92%安と差を詰める。対ドルでは3.63%高と強い。
南ア全株指数は年初来4.54%高とマイナス圏に沈む米株市場より強い。10年国債利回りは10.61%。
(政策金利は7.5%で据え置きか)
今週の政策金利は7.5%で据え置かれる見込みだ。24年10月に3%を割り込んだ消費者物価が再び3%に上昇してきたこと、欧州通貨の上昇でランドも強含んでいること、トランプ関税戦争の不確実性があることでの様子見などが据え置きの要因だ。
ただまだインフレターゲット3-6%の中間点の4.5%を下回っているので、利下げが終了したわけでもない。
(ペルソナ・ノン・グラータ=好ましからざる人物)
ルビオ米国務長官は3月14日、Xへの投稿で、南アのラスール駐米大使について米国とトランプ大統領を嫌う「人種攻撃的」な人物だと批判し、国外退去を通告した。トランプ政権は、南ア政府が白人に差別的な政策を取っているとして財政支援を停止するなどしており、両国関係は急速に悪化している。
ルビオ氏は、トランプ氏が白人至上主義を先導しているとの趣旨のラスール氏の発言を報じた右派メディア・ブライトバートの記事を引用。「彼と議論することは何もない。ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)と見なす」と述べた。
南ア大統領府は、国外退去通告を「遺憾だ」とする声明を発表した。その上で、「引き続き米国と互恵関係を構築する」と表明した。
(予算案発表)
2025年の国家予算に変更が加えられる可能性がある。ゴドンワナ財務大臣は、議会の議席の半数以上を占める政党が増税計画を拒否したため、国家予算の変更を余儀なくされるかもしれない。
財務省は2026年半ばまでに付加価値税を1%引き上げ、アルコールとタバコへの課税を引き上げ、インフレを考慮して税率区分を調整しないことを提案した。
民主同盟、ウムコント・ウェシズウェ党、経済的自由闘士、自由戦線プラス、および議会の400議席のうち201議席を占める3つの小政党は、修正が行われない限り法案に反対票を投じると述べた。
与党連合を構成する第2党であるDAは、財務省に対し、経済成長の回復に向けてさらなる努力をし、指定された期間内に包括的な支出見直しに取り組むよう求めていると、同党のジョン・スティーンハウゼン党首は述べた。
ゴドンワナ財務相は譲歩する用意があると示唆したが、予算をめぐる意見の相違は財務省の管轄外であるため、政治レベルで解決する必要があると述べた。
DAが予算案に反対したのは、新たな土地収用法の制定を阻止できなかったことなど、最近政治的に数々の敗北を喫したためだと述べた。
この予算は国会委員会で審議され、議員らは5月に国会で予算承認の是非を投票する前に、さまざまな政府省庁や団体への予算配分について議論することになる。そうすれば、与党連合をそのまま残した妥協案に達するのに十分な時間が残るはずだ。
「DAは予算編成過程を譲歩を引き出すための手段として利用しているが、現時点では政府から離れるつもりはない」と見られている。これにより、政府の安定に対する脅威は限定的になる。
(今週は消費者物価、小売売上高)
今週は政策金利決定の他に2月消費者物価、1月小売売上げの発表がある。