南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「米・南ア首脳会談。5月は月間首位維持」南アランド見通し

「通貨7位、株価6位」
「予想レンジ 南アランド円7.7-8.2」

(ポイント)
*今週は4月消費者物価、来週は政策金利決定
*4月は最弱も5月はトップ発進
*EU、南アに51億ドル規模の投資表明
*ラマポーザ大統領は5月21日にトランプ大統領と会談」
*白人アフリカーナー人が米国で難民申請
*内憂外患緩和、株も上昇
*VAT引き上げ停止で、新たな予算の日程が決定、財源を議論
*BNPは成長見通し引き下げ
*企業のリーダー達は連立政権の維持を求める
*南ア貿易相手国、一に中国、二に米国
*水問題。停電も再開
*援助打ち切りの米に代わり中国、EUが支援約束
*南アは「投資適格」を目指す
*今年秋にAGOA法(南アから米国への免税輸出)の見直し

(5月は依然、月間首位を維持)
 5月は依然、月間首位を維持。2位の人民元、3位のメキシコを大きく離す。年初来で4月は11位まで落ち込んでいたが、現在は7位まで戻す。
南ア株価指数も大きく回復し年初来10.14%高、10年国債利回りは10.42%

(1Qの雇用統計)
1Qの失業率は32.9%、予想は32.4%、前期は31.9%。失業者は822.8万人で前期の799.1万人から増加した。例年第1四半期は、企業が祝祭シーズンの季節雇用を削減し、何千人もの新入生や卒業生が就職市場に参入するため、雇用が減少する時期だが予想より悪化した。若年失業率は46.1%で前期の44.6%から悪化。

(EU、南アに51億ドル規模の投資表明 対米関係悪化で連携)
EU首脳らは、南アに47億ユーロの投資パッケージを発表した。EUと南アはともに、対米関係がこの数十年で最も悪化している。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、南アはグローバルサウスの主導的な声として世界の舞台で重要な役割を果たしていると指摘。「対立と競争が激化する今、われわれはパートナーシップをさらに強化しなければならない」と述べ、ラマポーザ大統領との会談で欧州として南アの経済成長を支援したいと伝えた。

( 白人アフリカーナー人が米国で難民申請)
数十人の白人アフリカーナー人が米国に到着する。彼らはトランプ大統領が主導する物議を醸している移住計画の最初の受益者であり、南アの大統領は計画が間違っていると述べている。
トランプ大統領は、南ア当局が白人アフリカーナーから土地を没収したと非難し、彼らを米国に難民として再定住させると提案して以来、ワシントンとプレトリア間の緊張が高まっている。
一方、大統領の支援者であるプレトリア生まれの億万長者イーロン・マスク氏は、同国で白人の「大量虐殺」が起こっているという陰謀論を広めている。

ラマポーザ大統領は、最近のトランプ大統領との会話の中で、米国は国外脱出を望むアフリカーナーの「少数派グループ」について誤った情報を受け取っていたと述べ、彼らは難民の定義には当てはまらないと語った。

米国と南ア間のその他の争点としては、米国の主要な同盟国であるイスラエルがガザ地区のパレスチナ人に対する大量虐殺を犯したとして国際司法裁判所に訴訟を起こすという南アの決定や、南アとイランの緊密な関係などがある。 ラマポーザ大統領は米国への実務訪問を計画している。

(VAT引き上げ撤回されるも財源探し)
南ア高等裁判所は4月27日、付加価値税(VAT)税率の0.5ポイント引き上げの決定を停止する命令を出した。第2党の民主同盟(DA)などが予算承認の手続き違反を理由に、裁判所に提訴していた。ゴドンワナ財務相はこの停止命令に同意し、5月1日以降もVAT税率は15%が維持される。2025年予算案は、5月21日に再提出される。VAT引き上げ撤回により、中期的に約750億ランドの歳入不足となることが予想されており、政府支出の削減が求められる。

IMFの発表によれば、南アは経済の低成長、国営企業の赤字、債務返済コストの上昇などを理由に、過去10年、公的債務の増加を抑制することができていない。債務増加率は新興国の中でも深刻で、2008年の公的債務はGDP比23.6%だったが、2023年末には74.1%まで増えた。IMFは、2030年までに債務はGDP比86%近くに達し、財政収入の4分の1が債務返済に充てられると予測する。