ゼネコン、系列会社との連携を強化
道路舗装大手8社の顔ぶれをみると、NIPPOと独立系の東亜道路の2社を除き、いずれもゼネコン系列下にある。
業界内で動静が注目されるのは東急建設系列の世紀東急だ。東急建設は現在、約24%の株式を保有し同社を持ち分法適用関連会社としており、今後の出方に関心が集まる。
国・地方の公共工事で道路事業費の減少が続いているうえ、原油高で舗装材料のアスファルト合材・乳剤を中心とする原材料コストの上昇などが道路舗装各社の収益を圧迫。一方で、防災・減災の強化を目的とする「国土強靭化計画」を受け、道路施設の老朽化対策などの需要は堅調で、ゼネコン各社は系列の道路舗装会社との連携を強化する流れにある。
再編の動きが中堅・中小クラスにも波及
道路舗装業界の再編の動きは中堅・中小クラスにも波及している。2023年、準大手ゼネコンの戸田建設が85%余りの株式を保有していた系列の戸田道路(東京都中央区)を完全子会社化した。
また同じ年、道路舗装中堅の佐藤渡辺は高松コンストラクショングループ傘下のあすなろ道路(札幌市)を買収。こちらは北海道エリアでの事業拡大が狙いだ。
前田建設を中核とするインフロニアHDは先に、約940億円で三井住友建設を買収すると発表した。TOBを7月に始める。三井住友建設は中堅道路舗装の上場子会社として三井住建道路(東証スタンダードに上場)を抱えており、将来的にインフロニアHD傘下の前田道路との統合も想定される。
◎道路舗装業界の主なM&A
2005年 | 渡辺組と佐藤道路が合併し、佐藤渡辺が発足 |
2009年 | 大成建設、大成ロテックを完全子会社化 |
2010年 | 鹿島、鹿島道路を完全子会社化 |
2016年 | コムシスホールディングス、東京舗装工業を子会社化 |
2017年 | 大林組、大林道路を完全子会社化 |
2020年 | 前田建設工業、前田道路を子会社化 |
2021年 | 前田道路が上場廃止(前田建設工業、前田製作所と経営統合) |
2022年 | NIPPO、上場廃止 |
〃 | 清水建設、日本道路を子会社化 |
2023年 | 戸田建設、戸田道路を完全子会社化 |
〃 | 佐藤渡辺、あすなろ道路を完全子会社化 |
2025年 | (5月)清水建設、日本道路の完全子会社化を発表 |
文:M&A Online