物流関連会社を手放す動きは2025年も継続か
同様に、大手自動車部品メーカーのミツバも、”徹底的な構造改革”の一環として物流子会社ミツバロジの全株式をニッコンホールディングスに譲渡。三菱電機はROIC(投下資本利益率)を重視した経営を進めるなかで、物流子会社の三菱電機ロジスティクスの株式66.6%をセイノーホールディングスに譲渡することを決めた。セイノーHDは、成長領域に定めるエレクトロニクス領域の物流資源を拡充。半導体や精密機械の輸送ノウハウと物流資産の獲得を目的とした。物流関連会社を手放す動きは、過去10年を遡っても、ほぼ毎年のようにあり、2025年も注目されるところだ。
運輸は、物流の2024年問題を背景に大きく動いた一年だった。M&Aに至らずとも、業務提携を通じて共同運行に取り組むケースもあり、業界全体で課題緩和に向けて動いた年だった。それは、同業界にとって問題の大きさをうかがわせ、2025年も活発なM&Aが続くことを予期させる。
一方で、2024年のM&Aで印象的なキーワードになったのが、3PL、低温物流、電子部品。いずれも、高度なノウハウや取り扱い管理が求められ、ニーズの高い領域である。近年はヘルスケア、EC物流も注目されており、2025年もこれらを対象にしたM&A案件が見られそうだ。
◎2024年運輸業のM&A取引総額一覧
順位 | 公表日 | 案件内容 | |
1 | 5月9日 | アルプス物流が米KKR傘下のロジスティードによるTOBを受け入れ | 1758億7400万円 |
2 | 5月31日 | SGホールディングスがC&Fロジホールディングスを対抗TOBで子会社化 | 1237億3800万円 |
3 | 9月17日 | トランコム、MBOで株式を非公開化 | 909億3400万円 |
4 | 3月21日 | [不成立]AZ-COM丸和ホールディングス、C&FロジホールディングスにTOBを実施し子会社化 | 649億4000万円 |
5 | 6月18日 | セイノーホールディングスが三菱電機傘下の三菱電機ロジスティクスを子会社化 | 572億7600万円 |
6 | 11月5日 | ヤマトホールディングスが物流事業のナカノ商会を子会社化 | 469億4300万円 |
7 | 5月15日 | エスライングループ本社がMBOで株式を非公開化 | 140億9300万円 |
8 | 6月28日 | 商船三井が伊藤忠商事と折半出資するLNG船保有のマーシャル諸島LRSCを子会社化 | 50億1300万円 |
9 | 2月2日 | オプティマスグループ、オーストラリアの自動車物流大手「オートケア・サービシズ」を子会社化 | 41億4500万円 |
10 | 3月15日 | トナミホールディングスが民事再生手続き中のアペックスから物流・倉庫事業を取得 | 37億200万円 |