メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「ペソ・株ともに好調。G7に出席、米国と争点多し」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.3-7.8

(通貨3位、株価4位)

(ポイント)
*G7サミットにメキシコ大統領が出席する
*ペソは円を抜いて年間3位へ浮上
*株価も強い
*5月消費者物価は4%超える
*低成長、インフレ上昇で中銀の舵取り難しい
*直近の指標はマチマチ
*鉄鋼関税は妥結近いか、G7に注目
*LA騒乱とメキシコ、G7に注目
*メキシコはあくまで正攻法で迎え撃つ
*今年の成長見通しはフラットに引き下げ
*裁判官選挙、最高裁は与党関係者が支配へ
*USMCAの見直しは秋か
*米との論点=関税、麻薬、移民、LA騒乱、送金課税、USMCA、司法等々

(ペソは円を抜いて年間3位へ浮上)
 5月は月間5位、6月はトップスタートで年間で円を抜いて3位へ浮上、年初来で対円0.8%高。ただ昨日は対円で6日ぶり陰線。対ドルでは約10か月ぶりの1ドル19ペソ割れを維持。
 株は好調。USMCA貿易協定で米国関税の打撃がより小さいからだろう。ボルサ株価指数は世界4位で年初来16.8%高。10年国債利回りは9.23%。
 
(5月消費者物価は4%超える)
 5月消費者物価は前年同月比4.42%と、4カ月連続で上昇した。目標の上限とする4%を5カ月ぶりに上回った。コアインフレ率も4.1%上昇。大幅に下方修正された成長見通し(1%台からほぼフラットへ)に対し、物価上昇と中銀の舵取りが難しくなってきた。

(利下げを一時停止する可能性がある、メキシコ中銀)
メキシコ中銀は利下げを一時停止する可能性があるとヒース副総裁が述べた。
 ヒース副総裁はインフレの回復を受け、政策金利の引き下げを一時停止する可能性があると述べた。年間インフレ率は5月に加速し、インフレターゲットの目標範囲の上限である3%±1%を超えた。
 ただ副総裁は「この小幅な回復は一時的なもので、今後数カ月でインフレ率は再び下降傾向に戻ると予想している」とも述べた。

(市場の予想は分かれる)
 ロイター調査によると、メキシコ中銀は、足元の物価上振れにもかかわらず、26日の会合で0.5%の追加利下げに踏み切る見通しも多い。26日の政策決定会合の前に、経済活動指数、小売売上、インフレ指標もあるので追っていきたい。

シティは「何か大きな想定外が起こらない限り、中銀は0.5%利下げの方針を変更しそうにない。引き続き、現状の物価上昇率に比べて金融引き締めのレベルが高過ぎると考えていると思う」と述べた。
フランクリン・テンプルトンは「中銀は将来の利下げにより慎重になると想定するのが合理的だろう」と話す。
バークレイズは「われわれは依然として経済成長が金融政策を左右する一番の要因になるとみており、中銀にはまだ金融緩和の余地があると信じている」と主張した。

(直近の指標はマチマチ)
 多くの調査機関が今年の成長見通しを1%台からほぼフラットに下方修正している。
ただ直近の指標はマチマチだ。
 強いものは5月企業信頼感指数、S&P・PMI、消費者信頼感指数など。
 弱いものは4月失業率、4月鉱工業生産、5月自動車生産・輸出

(米国の鉄鋼50%関税で無税枠も、G7サミットに注目)
 米国が課す50%の鉄鋼関税について、メキシコとの間で一定量の無税枠を設けることで合意に近づいていると報じた。実現すれば、トランプ米政権が50%の鉄鋼関税を課してから初の合意となる。
 合意は最終的なものではなく、15日にカナダで開幕するG7サミットの際に米国とメキシコの首脳会談が行われる可能性があるという。
 メキシコは第1次トランプ政権時の2015年、鉄鋼に25%、アルミに10%としていた追加関税の撤廃で米国と合意。米国への輸出が急増した場合、一定量までを無関税とし、その枠を超えた分については課税対象とすることを決めていた。両国は今回、無関税枠を当時の上限よりも高い水準とする方向という。