本記事は、島野 卓也氏の著書『株式投資 損したときの処方箋ー勝てる投資家は負け方が上手い 株で勝つための秘密のルール』(セルバ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

株式投資 損したときの処方箋ー勝てる投資家は負け方が上手い 株で勝つための秘密のルール
(画像=batjaket/stock.adobe.com)

株式専門家と株式投資家

現代では、インターネットを通じて豊富な情報が簡単に手に入る時代になりました。株式市場に関する専門家のコメントや分析も、すぐにアクセスできるようになり、株式投資家にとっては非常に便利な環境が整っています。

ここでいう株式専門家とは、株式市場で起こった事象に対して解説や見解を提供する人々のことを指します。彼らの話はわかりやすく、説得力があり、時にはユーモアを交えながら解説してくれるため、初心者にとっては安心感を与える存在です。株式市場の知識や経験が少ない投資家にとって、こうした専門家の意見は参考にされることが多いでしょう。

しかし、もしあなたが株価の値動きで利益を上げたいと考えているのであれば、できるだけ早くこれら株式専門家の意見に依存することから脱却する必要があります。
私は証券会社での営業経験を通じて、多くの株式専門家と接してきましたが、残念ながら彼らのコメントは多くの場合、似通ったものばかりです。

過去の株価の動きに対しては流暢に解説をし、説得力がありますが、未来の予測となると、あいまいでどちらにも解釈できるような表現をすることが少なくありません。
株式市場は、投資家1人ひとりの考え方の違いによって動いています。すべての投資家が同じ考えを持っていたなら、株式市場は成立しないはずです。

そんな中、株式専門家の仕事は「株で儲ける」ことではなく、「株式市場について何らかの説明をする」ことなのです。
わからない場合に「わからない」と言いたいのですが、彼らは職務として「何かを話す」ことが求められています。要するに「株で儲ける」ことに重点を置いていないのです。そのような情報を当てにしても、利益を上げることは難しいと言わざるを得ません。

また、よく当たる専門家が必ずしも稼げる投資家であるとは限りません。相場観を描くことと、実際の株式市場で儲けることは似て非なるものなのです。こうした情報を何の疑問も持たずに受け入れているようでは、いつまで経っても勝てるようにならないのです。多くの初心者投資家が、専門家の情報を鵜呑みにして失敗していますが、少数の勝ち組投資家は専門家の意見に反応する一般投資家とは逆の行動を取ることで利益を上げています。

情報の取捨選択は非常に重要です。あなたが普段耳を傾けている専門家の意見は、本当に有益なものなのでしょうか? 今一度、自問自答してみてください。

アナリストに依存しない

世の中には、数多くのアナリストが自身の理論を公開し、多くの投資家に影響を与えています。
しかし、アナリストの意見が、必ずしも個人投資家の状況や目標に適しているとは限りません。
アナリストは、多くの場合、大手投資機関向けに情報を提供しており、その意見は彼らの利益や戦略を優先したものになりがちです。個人投資家がそれをそのまま採用すると、自分自身の投資目標やリスク許容度とズレてしまうことがあります。

次に、アナリストの分析や予測も完全ではありません。株式市場は非常に複雑で、経済状況や政治的要因、投資家心理など、多くの要素が絡み合っています。そのため、どんなに優れたアナリストでも未来を完全に予測することは不可能です。彼らの意見に依存することは、いわば不確実な要素に賭けるようなものです。

未来の株価を正確に予測できる人などいないのです。何十年も株式市場に関わってきたアナリストでさえ、未来を見通すことはできないのです。もちろん、アナリストたちは勉強熱心で、株式市場に関する知識も豊富です。中には、株式市場についてほとんど知らないことがないほど聡明なアナリストもいるかもしれません。そのため、株式投資の経験が浅い個人投資家が、アナリストをそのまま信じてしまうのも無理はないでしょう。特に投資を始めたばかりの頃は、アナリストの意見に頼るのは、ある意味仕方がないことです。

しかし、アナリストを信じることで、自分自身の判断力やスキルを磨く機会を失っているのです。
株式投資で成功するためには、自分自身で情報を分析し、判断する力を養うことが重要です。他人の意見に頼り続けると、いざ自分で決断する必要がある場面で対応できなくなるという後遺症が残ります。一刻も早く、アナリスト依存から抜け出し、自立した投資家になることが、株式投資家として長期的成功をすることになるのです。

すべて自分で決める覚悟

株式投資には、全体の流れを読み、銘柄を選び、買い付け、売り付け、そして株数を決めるという一連のプロセスがあります。
この過程では、投資家は数多くの決断を下さなければなりません。1歩間違えれば、お金が減ってしまうリスクが常にあるため、その決断には相応の覚悟が必要です。
そして株式投資家として成功するためには、これらの決断をすべて自分で行う必要があります。
自分の投資判断に対する責任を完全に引き受ける覚悟が求められるのです。

しかし、多くの投資家が、その過程で他人の意見に頼ってしまうことがあります。
特に、経験が浅い投資家は、誰かに頼りたいという気持ちになることがあります。これは自然な感情ですが、もしあなたが本気で成功したいのであれば、早い段階でその依存から脱却する必要があります。

たとえば、連敗が続いているときに、他人のアドバイスを受けて偶然にも利益が出たとしましょう。その瞬間、その人に感謝の気持ちを抱くかもしれません。しかし、その成功体験が、後々大きな落とし穴となってしまうのです。
自分で決断することが怖くなり、その人からのアドバイスなしでは売買をすることができなくなるのです。一度その罠に陥ると、そこから抜け出すのは非常に困難です。
他人の意見に頼ることで、あなたの投資判断はどんどん鈍くなり、自分の直感や分析力を信じる力が弱まっていくのです。
決断する覚悟がない投資家は、どこかの段階で他人の意見を参考にしたくなるものです。特に、買い付けの前、ポジションを保有している最中、または売り付けの際に、その誘惑に駆られます。

しかし、株式投資とは、真に自己責任が求められる世界です。誰かの意見に頼って利益を得ても、それは一時的なものに過ぎません。
真の成功は、自分の決断に対して責任を持ち、それを貫くことで得られるのです。
他人の意見に頼る投資家が、株式市場で生き残った例はほとんどありません。

最終的に成功するのは、すべてを自分で決める覚悟を持ち、その決断に責任を持つ投資家だけです。自立した投資家として、他人の意見に頼らず、自分自身の力で道を切り開いていきましょう。

何が起こってもおかしくない

株式投資に取り組んでいる中で、怒ったり悲しんだりしたことがない人は、ほとんどいないのではないでしょうか? 自分の買った株が、スルスルと下がっていくとイライラし、腹が立ったり、悲しんだりします。株価の値動きに対して常にイライラし、1円値段が逆に進むだけで、チャート画面を睨めつけたりもします。

誰しもが、株価が逆に進めば、悲しいし、腹が立つものです。人間として、それはどうしようもないことです。
しかし、その怒りや悲しみを、株式市場や他人に向けてはいけません。すべて自分が悪いのです。
今日、明日、もしくは次の瞬間、大震災やショック相場が起こる可能性が0%ではないのです。それでも、責任を他にぶつけてはいけません。

初心者は自分が負けたことを、自分以外の人やモノのせいにしたがります。そんな初心者投資家が勝ち組投資家になるためには、「心の底」から自己責任を認識しなければなりません。
口では自己責任云々と言っていても、本当に責任をとっている人ほとんどいません。ほとんどの株式投資家は心のどこかで自分は被害者であると思うときがあるものなのです。
心の底から自己責任を認識している勝ち組投資家は、株式市場でどんな結果を被ったとしても絶対に他のせいにはしません。株式市場では何事も起こり得ることを理解しているからです。

突発的な事件が起これば、あなたは次の瞬間に破滅するかもしれないのです。それでも責任は自分にあると認識できますか?

株式市場は悪くない。何が起きてもすべては自分の責任である。

このことを、本当の意味で理解し株式市場に対する責任を取れたときに、あなたは株式投資をする際に悪影響を与える主観的感情を排除することができるのです。

株式投資 損したときの処方箋ー勝てる投資家は負け方が上手い 株で勝つための秘密のルール
島野 卓也(しまの・たくや)
1968年、大阪府生まれ。
28年間、大手証券会社勤務し、約3,000名の顧客に投資コンサルを行う。その経験を活かし50歳手前で”脱サラトレーダー”として独立。サラリーマン時代に本を出版し、アマゾンで一位を取る他、成功した脱サラトレーダーとしてFM東京にも出演。
現在は、自身で株トレードをする傍ら、日本全国に約700名の会員を抱え、株式トレード手法を教える事業も行っている。
株価チャートのマルチタイムフレーム分析をベースに、投資家心理と資金管理を活用した手堅いトレード手法は、評価が高く、多くの成功者を生み出している。

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