本記事は、島野 卓也氏の著書『株式投資 損したときの処方箋ー勝てる投資家は負け方が上手い 株で勝つための秘密のルール』(セルバ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

上位数%の投資家思考を手に入れる
なぜ、株で勝てないのか? 世の中には、努力せずとも株式投資を成功させてしまう人と、寝ずにコツコツがんばってもなかなか成功できない人がいます。では、なぜ多くの人はがんばっているにも関わらず、その努力が報われないのか?
その答えを言う前に、そもそも何がその差を生み出し、収入の格差やレベルの違いを生み出しているのかということについて触れていきたいと思います。そして、この根源とも言える「違い」さえ初めの段階で把握することができてしまえば、この先、何に取り組んだとしても面白いように成果を実感し、これまで失ってきた時間や、投資してきたお金を取り戻すことができるようになります。
いきなりですが、質問です。
「株式投資で上手くいかない人の共通点は何でしょうか?」
① 才能がない
② スキルが低い
③ 人脈に恵まれない
④ 資金が乏しい
⑤ 情熱が欠けている
⑥ 努力不足
など色々思いついたと思いますが…… どれも違います。
なぜなら、多くの人は努力をし、本を読んだり、ユーチューブを見たりと、真面目に勉強しています。そして、知識ゼロの状態で株にチャレンジする無謀なバカと違って、準備に準備を重ね、時間だけでなくお金も費やしてきたはずです。それにも関わらず、株式投資で成功できる人は、ほんのわずかなのです。
「他人の成功事例」を鵜呑みにしてはいけない
では、一体何がその差を生み出し、成否を分けてしまうのでしょうか? 上手くいかない人の共通点。つまり、先ほどの質問の答えは、「他人の成功事例を見て、自分も簡単にできるかのように思ってしまう」ということです。
「そんな人がいるのか?」とあなたは首を傾げるかもしれませんが、この罠の怖いところは、大半の人が知らないうちにハマってしまうということです。その典型例が、巷に出回っている「他人の成功事例」です。
このままではわかりにくいと思いますので、もう少し詳しく説明していきます。
たとえば、インターネットなどを見ていると、「株の稼ぎが毎月の給料を超えました」だったり、「教えられたチャートパターンで大儲けしました」というようなキャッチコピーが、年がら年中、目に飛び込んできます。しかし、その大半が怪しいのは、「たまたま上手くいった方法が、あたかも永遠に続くかのように語られている」からです。
ここでのポイントは、これはあくまで「その人が上手くいった方法が、たまたま、そのときの相場環境にあっていた」ということであって、同じことをやったとしても相場環境が変われば、同じように儲かるとは限らないということです。
さらによくないのは、そこで紹介されている成功事例は、数ある取引事例の中から、最も見栄えのするものが掲載されているということです。少し考えればわかることですが、商品やサービスの案内をする広告で、わざわざ悪い取引事例を掲載する人はいません。そんな販売業者の事情も考えることなく、いざ他人の成功事例を目にすると、あたかも自分も同じようにできてしまうと思ってしまうのです。
つまり、他人の成功事例を、そのまま信じてしまう人は、その背後に隠れている多くの失敗事例を見過ごしているということなのです。
甘い謳い文句に騙されない
株の勉強をする上で、注意しなければいけないことがあります。それは、世の中にある株式投資の手法を教える塾やスクールには、決して公表されない隠された罠があるということです。
もちろん、すべての教材やサービスがそうとは言い切れませんが、その大半は損した部分には一切触れずに、儲けたときの話ばかりをおこなっているのです。
しかし、その受講生の大半は、この手法をマスターしても成果を出すことができません。理由は、株式投資で勝つということの本当の意味を理解していないからです。
株は単発で勝てても意味がありません。重要なのは、「トータルで勝つ」ということであって、単発的に勝っただけでは、本当に勝っていることにはならないということです。
また、「生徒数やセミナー開催実績、本の出版冊数」というフレーズだけを見た人は、「この先生はスゴイ」と誤解し、意を決して株式投資の学びをスタートさせてしまいます。
しかし、真面目に学び、真剣に取り組んでも一向に稼げません。なぜなら、“生徒数やセミナー開催実績、本の出版冊数と株式投資の成績とは何の関係もない”からです。ただ、多くの個人投資家は、そんなことを気にも留めることなく「初心者でも簡単に儲かる」と勘違いしてしまうのです。
株式投資を成功させる秘訣
もしあなたが株式投資で成功したいのであれば、早くて、簡単そうで、楽にできそうな甘い投資情報ではなく、今の自分に必要な「情報」、つまり、知識、経験、スキルを高めるための投資が必要だということです。
これを無視して、早くて、簡単そうで、楽にできそうな情報に手を出してしまうと、時間と労力だけでなく、大切な資産を失う羽目になります。
・貯金50万円からスタートして1億円
・毎年100万円の配当金がほったらかしで入ってくる
・デイトレードで毎日が給料日
などのよくある株式投資の案内です。
これらの情報はあなたの株式投資をよくするものではなく、単なる甘い謳い文句です。なぜ、そのような滅多にないような成功事例を提示するのか? それは、多くの情報提供者たちは、豊富な知識を持っている人ではなく、他人任せで、知識に投資することのないカモを相手に焦点を当ててくるからです。だからあなた自身、自らの力で身を守るためにも、今、自分には何が不足し、何を補えばいいのかという「自分視点」を、常に持つ必要があるということです。
そして、この自分視点がない人は、常に隣の青い芝生に踊らされ、成功など夢のまた夢で、借金の返済に追われることになるのです。そういった情報に惑わされるのではなく、そこで提供されている情報が、今のあなたのレベルアップに必要なものかどうか客観的に考えた上で、情報を取捨選択するようにしましょう。

28年間、大手証券会社勤務し、約3,000名の顧客に投資コンサルを行う。その経験を活かし50歳手前で”脱サラトレーダー”として独立。サラリーマン時代に本を出版し、アマゾンで一位を取る他、成功した脱サラトレーダーとしてFM東京にも出演。
現在は、自身で株トレードをする傍ら、日本全国に約700名の会員を抱え、株式トレード手法を教える事業も行っている。
株価チャートのマルチタイムフレーム分析をベースに、投資家心理と資金管理を活用した手堅いトレード手法は、評価が高く、多くの成功者を生み出している。
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