初心者にもわかる不動産投資ローン基礎知識|資金計画の立て方も解説
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不動産投資にチャレンジしたい場合は、資金が十分なくても不動産投資ローンを活用すれば物件を購入できます。不動産投資の初心者にとって不動産投資ローンがどのようなものなのか気になるところではないでしょうか。

この記事では、不動産投資ローンの金利や返済方法、借入可能額の目安、審査のポイントなど、基本的な内容について解説します。また、不動産投資ローンを活用した無理のない資金計画の立て方についてもご紹介します。

目次

  1. 不動産投資ローンは収益不動産購入を目的としたもの
  2. 融資を受けられる金融機関の種類と特徴
  3. 不動産投資ローンの金利・返済方法はそれぞれ2種類
  4. 借入限度額の目安を決める3つの要素
  5. 無理のない資金計画の立て方
  6. 不動産投資ローン審査で見られる3つのポイント
  7. 【まとめ】不動産投資ローンを味方につけて安定した投資を

不動産投資ローンは収益不動産購入を目的としたもの

不動産投資ローンとは、不動産投資をおこなうための収益物件を購入するために組むローンです。

ただし「自分が住むための家」を購入するための住宅ローンを活用して、収益物件を購入することはできません。不動産投資ローンが住宅ローンと異なる点は「購入物件の目的」のほか、返済方法や金利、借入可能額などいくつかあります。

2つのローンのおもな違いは、下図のとおりです。

  不動産投資ローン 住宅ローン
目的 投資対象となる賃貸物件の購入 ローン契約者が住むための物件購入
返済方法 賃貸物件の家賃から返済 給与などの収入から返済
借入可能額の上限 ローン契約者の年収の約10~20倍 ローン契約者の年収の5~7倍程度
金利 1.2~5.0% 0.3~2.0%
審査 ローン契約者の返済能力に加え、購入予定の物件の収益力が問われる ローン契約者の返済能力が問われる

融資を受けられる金融機関の種類と特徴

不動産投資ローンを取り扱っている金融機関には、都市銀行や地方銀行のほか、信用金庫・信用組合、ノンバンクなどがあります。各金融機関で融資をおこなう基準が異なり、一般的に都市銀行の審査基準が最も厳しい傾向です。

都市銀行

都市銀行が取り扱う不動産投資ローンには、住んでいる場所に関係なく申し込むことができ、融資上限額や融資金、金利の面で他の金融機関に比べるとメリットが大きいです。しかし、都市銀行の融資対象は企業などがメインであり、一般投資家で投資実績のない初心者が審査に通るのは簡単ではありません。

地方銀行

全国各地にある地方銀行も不動産投資ローンを取り扱っています。ただし、申込者の居住区域や購入予定物件の所在地を指定しているため、ご自身の居住地や購入予定物件の所在地と条件が合う地方銀行で申し込むことが必要です。借入上限額や借入期間、金利などの条件、さらに審査の難易度は銀行によって変わります。

信用金庫・信用組合

信用金庫・信用組合ともに、特定地域で事業展開している中小企業や個人事業主を支援する金融機関です。どちらも会員や組合員がおり、信用金庫・信用組合は彼らを対象に不動産投資ローンを取り扱っています。借入上限額は、一般的に銀行よりも低くなる傾向です。

ノンバンク

「ノンバンク」とは、クレジットカード会社や消費者金融など預金業務を取り扱わず資金の貸し付けなどをおこなう金融機関のことです。信販会社やクレジットカード会社、消費者金融会社、リース会社などがノンバンクと呼ばれます。地方銀行や信用金庫・信用組合のように申込者の居住地は限定されておらず、一般的に“銀行”に比べると比較的審査はゆるく、審査スピードも速い傾向です。ただし、金利は上記の金融機関よりも高くなる傾向にあります。

金融機関選びのポイント

金融機関を選ぶ際は、以下のようなポイントを考慮すると良いでしょう。

  • 普段から取引がある金融機関があれば、審査に有利になる可能性があるので申し込んでみる
  • 購入物件の仲介会社に提携している金融機関を紹介してもらう
  • 銀行で不動産投資ローンが組めなかった場合は、ノンバンク系も候補に挙げる

不動産投資ローンの金利・返済方法はそれぞれ2種類

不動産投資ローンを組むとき、最も気になるのは金利と返済方法ではないでしょうか。住宅ローンと同じく不動産投資ローンの金利には「固定金利と変動金利」、返済方法には「元利均等返済と元金均等返済」があります。

  1. 固定金利と変動金利
  2. 元利均等返済と元金均等返済

固定金利と変動金利

不動産投資ローンの金利は1.2~5.0%と上述しましたが、金利の乗せ方によって「固定金利」と「変動金利」に分かれます。

・固定金利
固定金利は、一定期間の金利が変わりません。おもに以下のような方式があります。

  • 全期間固定金利:全返済期間において金利が変化しない
  • 選択型固定金利:3年・5年・10年など一定期間ごとに固定金利か変動金利かを選ぶ

また、一定の固定金利期間を設けたあとに変動金利へ移行する方式などもあります。

一定期間、金利が変動しないため、返済計画が立てやすい点はメリットです。一方で、市場金利が下がってもその恩恵を受けられない点はデメリットとなります。なお、全期間固定金利を採用している金融機関は多くありません。

・変動金利
一定期間(多くは半年に1回)ごとに、市場の金利変動に応じて金利が変わるタイプです。一般的に、固定金利よりも低く設定されるのがメリットとなります。一方、金利が変動するため、返済計画が立てにくいのがデメリットです。

元利均等返済と元金均等返済

毎月の返済方法としては「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。

・元利均等返済
元金と利息の合算が毎月一定になる返済方法です。借入当初は返済金に占める利息の割合が高く、返済が進むにつれて利息の割合が下がるように設定されます。毎月の返済額が一定となるため、返済計画が立てやすい点はメリットです。一方、返済期間を通じて支払う利息は元金均等返済よりも多くなる点はデメリットになります。

・元金均等返済
毎月支払う元金が一定、利息は借入残高に応じて変動する返済方法です。返済当初は、固定の元金+利息となるため、毎月の返済額は元利均等返済方式よりも多くなります。一方で、元利均等返済よりも元金の返済スピードが速く、返済が進むにつれて利息も減っていくため、毎月の返済額が次第に減っていくのが特徴です。

借入限度額の目安を決める3つの要素

不動産投資ローンを組む際、気になるのが「自分の条件ならいくら借りられるのか」という点ではないでしょうか。借入限度額の目安は、一般的に以下の3つの要素で決まるといわれています。

  1. 年収
  2. 自己資金
  3. 物件価値

年収

年収・年齢・勤続年数・勤務形態・資産・投資経験・信用情報といった「申込者の属性」のなかでも、重視されるのが年収と雇用形態です。年収の目安は500万~700万円程度といわれ、大企業に勤めていれば当然ポイントは高くなります。

ローン返済では、収益力(物件が安定した家賃収入を得られるか)が重視される傾向です。また、家賃収入だけでは返済が心許ない場合、申込者の給与などから補てんできるかという点も重要視されます。

「借入限度額は年収の約10~20倍が目安」と上述したように、年収700万円であれば1億円超の借り入れも可能です。

自己資金

不動産投資ローンを組む際、1~2割程度の自己資金(頭金)が必要となるケースが多い傾向です。2018年ごろまでは、自己資金ゼロでローンを組む「フルローン」も可能でしたが、それ以降は多くの金融機関で自己資金を求めています。自己資金が多いほど、借入限度額も上がる傾向です。

物件価値

不動産投資ローンの返済は、投資物件の家賃収入によっておこなわれることが前提のため、物件の価値は借入限度額に影響します。

築浅で立地が良い物件は入居希望者が多いため、毎月安定した家賃収入が期待できます。また、リフォームや修繕にかかるコストも低いため、収益性の高い物件と見なされる傾向です。このような物件であれば、借入限度額の決定にプラスに働きます。

無理のない資金計画の立て方

不動産投資をおこなう場合、自己資金が必要となることを先に述べました。しかし、かならずしも自己資金が多ければよいわけではありません。

不動産投資においては「いかに少ない自己資金で多くの収益を挙げるか」という視点=「レバレッジ効果」も大切です。たとえば、3,000万円の物件を全額自己資金で購入した場合と、2,000万円の借り入れをして購入した場合を比べてみましょう。

なお、年間家賃収入を250万円、借入期間20年、金利は固定金利3.0%とします。

・全額自己資金で購入した場合
自己資金に対する利回りは、250万円÷3,000万円=約8.3%です。

・2,000万円借り入れて購入した場合
年間返済額は133万1,040円なので、年間収支は250万円-133万1,040円=116万8,960円です。

自己資金に対する利回りは、116万8,960円÷1,000万円=約11.7%となります。

つまり、レバレッジという観点で考えた場合、2,000万円を借り入れて購入したほうが高い利回りを得られる可能性があるのです。

3,000万円をすべて自己資金で賄うよりも、不動産投資ローンで借り入れた2,000万円を活用しながら自己資金1,000万円で物件を購入するほうが、少ない負担で不動産投資が実現します。

もちろん、金利が上昇したり物件に空室ができたりすると上記で計算したとおりにはなりません。また、上記には物件購入時に必要となる経費や税金、および毎年の家賃収入に対する税金は加味されていません。

物件の購入価格と想定される家賃収入、許容できる空室率、物件購入時の経費・税金、修繕費などの経費や毎年の税金などをシミュレーションし資金計画を立てましょう。

不動産投資ローン審査で見られる3つのポイント

不動産投資ローンを活用するには、審査に通過しなければなりません。審査で見られるポイントは次の3つです。

  1. 申込者の信用力
  2. 物件の収益性・立地
  3. 物件の管理計画と運営体制

申込者の信用力

住宅ローンと同様、年収・勤務形態・勤続年数・信用情報などの「属性」が信用力につながります。年収や勤務状況を変えるのは難しいですが、クレジットカードや他のローンの利用状況は改善できます。

複数のクレジットカードを持っていたり、他から借り入れがあったりする場合は、「カードの枚数を減らす」「他からの借り入れを繰り上げ返済する」など整理しましょう。

物件の収益性・立地

不動産投資ローンが住宅ローンと大きく異なる点は、ローン申込者の返済能力を左右する購入予定物件が審査の対象になることです。購入を予定している物件について、安定的な家賃収入が見込めるかしっかりとリサーチしましょう。

交通の便や商業施設、公共施設、公園など周辺環境に恵まれた物件は、当然安定した家賃収入が見込めます。たとえば、大学の近くであれば学生向けのワンルームマンションといったように地域の需要にあった物件も収益性が高い物件といえます。

物件の管理計画と運営体制

金融機関は、申込者の返済能力を審査しますが、申込者の属性だけでなく事業として不動産投資をおこなう姿勢があるかをチェックします。

そのため、事業計画書を作成し、収支計画やキャッシュフローのシミュレーションを金融機関に示しましょう。また、購入後は家賃の集金や不払いリスクにどう対処するのか、あるいは空室リスクを下げるために、どのように修繕やリフォームをおこなうのか、見通しを立てておくことも必要です。

【まとめ】不動産投資ローンを味方につけて安定した投資を

不動産投資を始める際、物件の購入に必要な資金をすべて自己資金で賄う必要はありません。不動産投資ローンを活用することで、少ない自己資金で不動産投資を始められます。

不動産投資ローンの審査を通過するには、申込者自身の属性に加え、購入予定の物件が安定的に家賃収入を得られるかがポイントです。

物件の吟味にしっかりと時間をかけ、不動産投資ローンを使って良い物件を購入し、安定した投資を目指しましょう。

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(提供:ACNコラム