この記事は2025年7月16日に「CAR and DRIVER」で公開された「【AMGを知る】雲上ブランドの極上マシン、メルセデスAMG GT63S Eパフォーマンス・クーペの圧倒パフォーマンス!」を一部編集し、転載したものです。


【AMGを知る】雲上ブランドの極上マシン、メルセデスAMG GT63S Eパフォーマンス・クーペの圧倒パフォーマンス!
メルセデスAMG GT 63S Eパフォーマンス・クーペ/価格:9SATC 3085万円。F1由来の技術を積極投入したPHEVスーパースポーツ。システム出力/トルクは816ps/1420Nm、0→100km/h加速は2.8秒でクリアー

F1で磨いた技術を積極導入。圧倒的な速さを実現したスペシャルPHEV

AMGは進化し続けている。独立したチューナーは現在メルセデスAMGとなり、巨額な開発資金を投じて理想のモデル開発に邁進している。「43」、「53」、「63」といったパワーソースをもとにラインアップを拡張しているのだ。そのトップエンドに君臨するのがメルセデスAMG GTシリーズである。「スーパースポーツ」という呼び方が似合うレーシーなマシンだ。

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このクルマの系譜は2009年9月に登場したメルセデス・ベンツSLS AMGに遡る。アルミ製スペースフレームにM156型6.2リッター・V8エンジンを搭載したスーパーモデルだ。印象的なのはガルウイングドアで、1954年型300SLをモチーフにしていた。

そんなSLS AMGの背景には2004年に発表されたメルセデス・ベンツSLRマクラーレンがあることも忘れてはならない。その名のとおり、メルセデスとマクラーレンがコラボして計画されたモデルだ。で、これがハイパフォーマンスなのはもちろんだが、価格も当時5775万円とスペシャルだった。少量生産でカーボンコンポジットのモノコックボディなのだから当然だろう。がしかし、メルセデス・ベンツSLS AMGはその約半分のプライスを実現していた。
メルセデスAMG GTシリーズは、その流れを汲んでいる。つまり、このパフォーマンスにしてアフォーダブルなのだ。

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今回の主役、メルセデスAMG GT63 S Eパフォーマンスクーペに話を進めよう。
このモデルは昨年モデルチェンジしたGT63のハイパフォーマンス版として今年2月に日本で発表された。特徴は「Eパフォーマンス」のネーミングからも察せられるように、リアアクスルに電気モーターを取り付けリチウムイオンバッテリーを積んでいること。GTシリーズ初のプラグインハイブリッドというのが、その正体だ。パワーソースの中心はM177型の4リッター・V8ツインターボで、その最高出力は612ps、最大トルクは850Nmを発揮する。そしてモーターを組み合わせシステム総合スペックは最高出力816ps、最大トルク1420Nm。トルクはあまり見かけない4桁に達する。

圧巻のパフォーマンス、その加速はまさにワープ感覚。シビレる!

注目したいのは、AMGハイパフォーマンスバッテリー。F1チームからフィードバックされた技術で、バッテリー自体が軽量であり、高出力を繰り返し発生できる能力を持っている。バッテリーの温度上昇を抑える直接冷却方式もその一部だ。

実際に走らせた印象はというと、とにかく速い。アイドリングからアクセルを踏み込んだ瞬間に立ち上がるトルクは太く、フツーにアクセルを踏んでいくだけで思った以上にグイグイ加速していく。いつもより早めにアクセルを抜かないとずっと向こうにあった赤信号がすぐ目の前に現れる。そんな感じだ。高速道路で追い越し加速を試そうものなら一気にスピードメーターが上がってしまうから注意が必要である。

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よって、ドライブモードはコンフォートをお勧めする。ときとしてスポーツ+で楽しむのもいいが、長くは禁物だ。モードは全部で8タイプ。エレクトリックではEV走行が可能だし、バッテリーホールドで電気をためることもできる。深夜住宅街にご帰還するときは、これが有効だろう。ちなみに、EV走行可能距離は約13kmになる。

乗り心地はスタイリングのイメージよりずっといい。とくにコンフォートで走っているとスパルタンな部分はない。これはAMGアクティブライドコントロールサスペンションの効果で、電子制御ダンパーと可変スタビライザーが精緻に働いているからだ。ダンパーは伸び側と縮み側の減衰圧を独立して制御してくれるし、スタビの設定は1秒間に100回の分析で可変する。

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コーナリング性能はリアアクスルステアリングが気持ちよく働く。時速100km/h以下で逆位相、それ以上で同位相でリアタイヤが操舵する。連続するワインディングではかなりのタイトコーナーもクルッと軽快に向きを変えるから気持ちがいい。それに駐車は楽だし、高速走行の車線変更も安定する。

この他で実用的に思える装備は2つある。ひとつはオプション(26.2万円)の可倒式リアシートで、これをたたむとハッチバックを効率的に活用できる。ゴルフバッグが積める。

そしてもうひとつはフロントアクスルリフトシステム。フロントを最大30mm上昇させることで、段差をクリアする。ホテルの地下駐車場へ通じるスロープや、コンビニに入るために横切る歩道の段差をクリアする際に役立つ。スーパーカー系の必須アイテムだ。

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つまりこいつはスーパーカー。すべてにおいて「スーパー」な仕上がりになっている。で、価格は3000万円少々だから、イタリアのスーパーカーと比べるとやはりアフォーダブルといえる。

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Writer:九島辰也、Photo:横田康志朗


(提供:CAR and DRIVER