
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年8月4日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
目次
▼1日(金)の為替相場
(1):中国製造業PMI 50.0下回る
(2):FRB高官ら政策金利について発言
(3):米7月雇用統計の結果を受けドル売りへ
(4):米ISM製造業 前月から低下
(5):クーグラーFRB理事 辞任表明
▼1日(金)の株・債券・商品市場
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1日(金)の為替相場

期間:1日(金)午前6時10分~2日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国製造業PMI 50.0下回る
豪4-6月期生産者物価指数(PPI)は前年比+3.4%と1-3月期(+3.7%)から伸びが鈍化した。その後発表された中国7月製造業PMIは49.5となり、活動の拡大・縮小の分岐点とされる50.0を再び下回った(予想50.2)。
(2):FRB高官ら政策金利について発言
7月29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを主張した連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は「関税は一時的な価格上昇要因であり、インフレ期待が安定している限り、政策当局は見過ごすべきだ」「現行金利を維持する理由は見当たらず、このままでは労働市場の急激な悪化リスクがある」などと発言。同じく利下げを支持したボウマンFRB副議長も「関税がインフレに恒常的なショックを与えるとは考えにくい」として「行動(利下げ)を遅らせることで労働市場の悪化や経済成長のさらなる減速というリスクが高まる」と述べた。
(3):米7月雇用統計の結果を受けドル売りへ
米7月雇用統計は非農業部門雇用者数が7.3万人増と市場予想(10.4万人増)を下回り、失業率は予想通りに4.2%へ上昇した(前回4.1%)。非農業部門雇用者数は5月と6月分が合計で25.8万人に上る大幅な下方修正となり、その結果3カ月平均の増加幅はわずか3.5万人に縮小した。そのほか、労働参加率は62.2%(予想、前月ともに62.3%)、平均時給は前年比+3.9%(予想、前月ともに3.8%)だった。非農業部門雇用者数の急減速を受けてFRBが9月に利下げを再開するとの観測が高まる中でドル売りが活発化。ドル/円の急落につれたほか、米国株安が重しとなりクロス円も下落した。
(4):米ISM製造業 前月から低下
米7月ISM製造業景況指数は48.0と市場予想(49.5)に反して前月(49.0)から低下。構成指数の仕入価格や新規受注、雇用などが軒並み前月から低下した。
(5):クーグラーFRB理事 辞任表明
FRBはクーグラー理事が8月8日付で辞任すると発表。辞任の理由は明らかにされなかったが、クーグラー理事は「個人的な事情」で7月のFOMCを欠席していた。その後、トランプ米大統領は「遅すぎるパウエルは、バイデン前大統領が指名したクーグラーと同様に辞任すべきだ」とSNSに投稿した。市場では、トランプ大統領が自身の利下げ要求に前向きな人物をクーグラー理事の後任に据えるとの思惑が浮上した。