
一口数万円~100万円ほどで購入できる不動産小口化商品は、ポートフォリオの分散効果に役立つ金融商品です。
単体でも分散効果があり、たとえば複数のエリアに投資をすると、地価の下落や自然災害などのリスクに備えられる可能性があります。
ただし、不動産小口化商品にもさまざまな選択肢があるため、事前に投資計画を立てることが重要です。
本記事では、不動産小口化商品をポートフォリオに加える効果や、特性を踏まえた戦略の立て方をご紹介します。
目次
不動産小口化商品はポートフォリオの分散効果に役立つ?
不動産小口化商品は、数億円規模の高額な不動産を小口化した金融商品です。個人では難しいビルやオフィスに投資できるため、所有不動産やポートフォリオを分散する効果が期待できます。

実物不動産と比べて、必要資金が少ないことも不動産小口化商品の魅力です。一口あたり数万円から販売されているため、まとまった資金があれば不動産のエリアや用途も分散できるでしょう。
株式や債券などの金融資産と組み合わせることで、投資戦略の幅を大きく広げられます。
不動産小口化商品をポートフォリオに加えるメリットとは?
不動産小口化商品をポートフォリオに加えると、以下の効果が期待できます。
・不動産のエリアや用途を分散できる
・資産価値の変動リスクを抑えやすい
・ほったらかし投資の比率が増える
・万が一のときに相続・贈与しやすい
ここからは不動産小口化商品の特性に触れつつ、ポートフォリオに加えるメリットを詳しく解説します。
不動産のエリアや用途を分散できる
不動産小口化商品は、高額な不動産を小口化して販売している金融商品です。一口あたり数万円~100万円程度で購入できるため、実物不動産に比べるとリスクを分散しやすい特徴があります。
たとえば、1,000万円の資金で不動産投資を始める場合、実物不動産では多くても数軒の物件しか購入できません。
一方、不動産小口化商品では10口~数十口が購入可能になるため、さまざまなエリアや用途の不動産に投資できます。
投資先をうまく分散させれば、地域特性や市場変動に伴うリスクを抑えやすくなるでしょう。
資産価値の変動リスクを抑えやすい
上場株式や為替などに比べると、不動産小口化商品は資産価値や運用成績が安定しています。元本保証はありませんが、商品によっては中途解約もできるため、複数の出口戦略を見据えた運用が可能になります。
国内で不動産小口化商品を取り扱えるのは、国土交通大臣または都道府県知事から認可を受けた事業者のみです。
正当な手続きを踏んだ事業者が、収益性の高い不動産を厳選したうえで販売しているため、商品によっては安定した収益や高利回りも期待できます。
ほったらかし投資の比率が増える
不動産小口化商品の運用管理は、基本的に販売する事業者がおこないます。運用面が安定していれば、安定した賃料収入や売却益を得られるため、不動産小口化商品は「ほったらかし投資」の一種に該当します。
ほったらかし投資では、日単位や週単位などの細かい投資判断が必要ありません。株式のような銘柄分析も不要になるため、不動産小口化商品は本業が忙しい方や、細かいリサーチが苦手な方にも向いています。
万が一のときに相続・贈与しやすい
不動産小口化商品は一口単位で相続・贈与できるため、遺産分割や生前贈与のトラブルを防ぎやすい特徴があります。たとえば、6口の小口化商品を3人に相続する場合は、2口ずつに分けると平等に遺産分割できます。
また、不動産小口化商品のなかでも任意組合型と賃貸型は、土地・建物の価値で相続財産の評価額が決まります。不動産によっては小規模宅地等の特例も適用されるため、現金に比べると相続財産を圧縮する効果が期待できます。
参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
不動産小口化商品の特徴は? 主な投資手法との比較表
不動産小口化商品の特徴は、リスクの分散効果や相続財産の圧縮効果が高く、実物不動産投資よりも手軽に始められる点です。
主な投資手法とどのような違いがあるのか、以下では比較表にまとめました。
▼代表的な金融商品との比較
比較項目 | 不動産小口化商品 | 株式 | 債券 | 為替 |
---|---|---|---|---|
必要資金 | 数万円~ | 数万円~ | 数万円~ | 数千円~ |
流動性 | 低~中 | 高い | 低~中 | 高い |
変動リスク | 低~中 | 高い | 低い | 非常に高い |
インカムゲイン | 家賃収入 | 配当金 | 利息収入 | スワップポイント |
相続対策の効果 | 高い | 圧縮不可 | 圧縮不可 | 圧縮不可 |
▼主な不動産投資との比較
比較項目 | 不動産小口化商品 | 実物不動産 | REIT(不動産投資信託) | クラウドファンディング型 |
---|---|---|---|---|
必要資金 | 数万円~ | 数千万円~ | 数万円~ | 数万円~ |
分散投資 | 容易 | 難しい | 容易 | 容易 |
流動性 | 低~中 | 低い | 高い | 低い |
運用管理 | 不要 | 必要 | 不要 | 不要 |
キャピタルゲイン | 売却益 | 売却益 | 売却益 | 原則なし |
相続対策の効果 | 高い | 高い | 圧縮不可 | 圧縮不可 |
株式や債券、為替と比較すると、不動産小口化商品は相続対策に活用しやすい特徴があります。ただし、匿名組合型の商品では共有持分を得られないため、小口化した不動産自体を相続・贈与することはできません。
相続対策に活用する場合は、任意組合型もしくは賃貸型を選ぶことが重要です。
不動産小口化商品を活用したポートフォリオ戦略の例とは?

不動産小口化商品は、インフレヘッジや分散投資に活用できる金融商品です。
これらの特性を踏まえて投資計画を立てると、ご自身の目的に合ったポートフォリオを組みやすくなります。
以下では投資戦略の考え方として、不動産小口化商品を活用したポートフォリオの例をご紹介します。
例1.インフレヘッジに活用する
不動産などの現物資産は、一般的にインフレの影響を受けにくいといわれています。
地価の上昇によって賃料収入の増加も見込めるため、不動産小口化商品はインフレヘッジとしても有効な選択肢です。
たとえば、現金や固定金利型の債券が多い方は、以下のようなポートフォリオを組むと、インフレ時のリスクを抑えられます。
<インフレヘッジ用のポートフォリオ例>
①現金30%、固定金利型の債券30%、不動産小口化商品40%
保守的なポートフォリオで、安定的な資産運用を目指す。
②不動産小口化商品50%、株式30%、金やREITなど20%
インフレ対策の不動産を中心に、実物資産と成長資産にバランス良く投資。
③不動産小口化商品70%、実物不動産30%
さまざまな不動産に投資して、インフレリスクを徹底的に分散する。
上記のポートフォリオを参考に、ご自身に合ったインフレヘッジを考えてみましょう。
例2.継続的なインカムゲインで収益のバランスを取る
キャピタルゲイン(売却益)の割合が高い方は、不動産小口化商品で継続的な賃料収入を増やすと、トータルの運用成績が安定するかもしれません。
例としては、以下のようなポートフォリオが考えられます。
<収益のバランスを取るポートフォリオ例>
①株式70%、不動産小口化商品30%
キャピタルゲイン重視の株式に、安定した賃料収入を加える投資戦略。
②不動産小口化商品60%、債券40%
安定した賃料収入を狙いつつ、債券投資でポートフォリオのリスクを抑える。
③不動産小口化商品60%、REIT20%、債券20%
毎月収益を得るために、インカムゲインが安定した金融商品のみに投資。
期待できる利回りが数%でも、長期的にインカムゲインを積み重ねると大きなリターンになります。安定した収入源を増やしたい方は、一部の金融資産を不動産小口化商品に換えることを検討してみましょう。
例3.オフィスへの投資で所有不動産の分散を図る
個人では手が届きにくいオフィスに投資できる点も、不動産小口化商品の魅力です。不動産投資が中心の方は、以下のようなポートフォリオを組むと所有不動産の分散を図れます。
<所有不動産を分散するポートフォリオ例>
①実物不動産(住宅)80%、不動産小口化商品(オフィス)20%
戸建てやマンションへの投資にオフィスを加えて、家賃収入の増加を狙う。
②不動産小口化商品50%、REIT(商業用不動産)50%
資産価値が高い都心部を中心に、さまざまなタイプの不動産に投資する。
③不動産小口化商品70%、実物不動産(地方物件)30%
都心部のオフィスと地方物件で、エリアや用途の分散を図る。
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時期によって公開案件が変わるため、公式サイトで物件情報をこまめにチェックしてみてください。
不動産小口化商品でポートフォリオの幅を広げよう
不動産小口化商品は、ポートフォリオの分散効果や相続対策に役立つ金融商品です。実物不動産よりも必要資金が少なく、かつ物件の運用管理が不要なので、本業が忙しい方でも手軽に始められるでしょう。
株式や債券、為替などとは特性が異なるため、不動産小口化商品を組み入れるとポートフォリオの幅が広がります。
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(提供:ACNコラム)