再上場を果たした日本国土開発
唯一、再上場を果たしたのが日本国土開発だ。2019年に20年ぶりに東証1部(現東証プライム)に復帰した。佐藤工業も同じく単独路線を維持するが、会社更生手続き終結(2009年)後も再上場の動きはない。
現在、準大手ゼネコンの目安は売上高4000億円前後から5000億円台。かつては熊谷組、ハザマ、フジタ、戸田建設、佐藤工業、西松建設、前田建設工業、三井建設、飛島建設、東急建設の10社が準大手として括られたが、バブル崩壊で状況が一変した。
フジタは会社分割などの曲折を経て2012年、大和ハウス工業の傘下に入った。熊谷組では2017年、住友林業が筆頭株主(22%保有)となった。すでに触れた通り、合併で誕生したのが2003年の三井住友建設であり、2013年の安藤ハザマだ。
買い手が大手住宅メーカーということではほかに、積水ハウスが2019年、中堅ゼネコンの鴻池組(非上場)を子会社化したケースがある。
伊藤忠、西松建設を持ち分法会社に
西松建設では4年前、旧村上ファンド系投資会社から約25%の株式を買い占められていた。このうちの20%近くを買い取ったのが現在の筆頭株主である伊藤忠商事。伊藤忠は今年5月末、保有比率を22%まで高め、西松を持ち分法適用関連会社とした。
(画像=西松建設の看板(東京・虎ノ門の本社)、「M&A Online」より引用)
佐藤工業、飛島建設は準大手グループを離脱し、現在は中堅どころに後退し、東急建設はボーダーライン上に位置する。代わって高松コンストラクショングループが積極的なM&Aをテコに準大手に食い込みつつある。こうした振り返ると、準大手で経営危機にほぼ無縁だったのが戸田建設といえる。
スーパーゼネコンの大手5社はといえば、同業者のM&Aに距離を置いてきたのが実情だ。準大手・中堅ゼネコンの最悪期に救済に動くことも見られなかった。
文:M&A Online