南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「8月トップ維持、株も強い。対米関税30%VS対中関税ゼロ」南アランド見通し

「通貨4位、株価5位」
「予想レンジ 南アランド円8.1-8.6」

(ポイント)
*先週首位、月間も首位、株価も強い
*新しい金鉱山開発
*7月消費者物価、事実上のインフレ目標を超える
*2Q・GDP伸び率は改善か
*中国はアフリカ諸国からの輸入に対しては「ゼロ」関税
*米は、南アからの対米輸出品に30%の関税課す
*今年のランドを支えるのは資源価格の上昇
*米国が関税とイスラエル問題で打撃を与える中、南アは中国と貿易関係の深化を狙う
*対米関税交渉は続いている
*10月にグレーリストから外れる観測
*S&P、南アの2025年の成長予測を下方修正
*1Q・GDPは前年同期比0.8%増

(先週首位、月間も首位、株価も強い)
 先週は首位、月間でもここまで首位、年間では4位。南ア全株価指数は年初来22.15%高。10年国債利回りは9.65%。
 前回も触れたが米国との関税問題などでの不透明さはあるが金など鉱産物価格の上昇が支えている。また米国との予想される貿易額減少は中国、EUなどとの取引拡大で相殺しようとしている。

(新しい金鉱山開発)
 豪の鉱山会社ウェスト・ウィッツ・マイニング・カンパニーは、南アのヨハネスブルグ近郊に新たな地下金鉱山を開設するため、9,000万ドルを投資する計画だ。これは南アフリカで15年ぶりの新たな地下金鉱山となる。

(7月消費者物価、事実上のインフレ目標を超える)
 7月の消費者物価は10ヶ月ぶりの高水準となる3.5%に上昇し、中銀の事実上の目標を上回った。食品、電力、水道価格の上昇が主な要因となった。
 中銀は6月に、事実上のインフレ目標は「公式」の範囲である3-6%ではなく、現在は3%であると示唆している。目標とする3%のインフレ率を上回っており、金融当局はインフレ期待を引き下げるために努力しなければならないことを意味する。
 「今年は更なる利下げは予想していない。新たなインフレ目標を織り込んでいくだろう」との見方が出てきた。

(2Q・GDP伸び率は改善予想。ただ関税圧力が懸念か)
 南ア経済は、主要な製造業と鉱業部門の回復に支えられ、おそらく3四半期連続で拡大したが、現在は、米国の関税が成長に対する新たな課題となっている。
9月3日に発表される2Q・GDP伸び率が、前期比0.1%から0.4%に上昇すると予想されている。鉱業部門は需要に基づく価格高騰の恩恵を受けた可能性が高い。
ただ米国の南アへの30%の輸入関税は自動車産業と農業セクターに重くのしかかり、最大3万人の雇用に影響を与える可能性がある。
このような環境下では、企業が生産を増やしたり、業務を拡大したり、人員を増員したりすることは難しい。
消費者支出は今年残りの期間も成長の重要な要素であり続けると予想されるが、貿易摩擦と公共料金の上昇による楽観的な見方の弱まりが家計支出を鈍らせる可能性がある。
最近の電気料金の値上げや市場の不確実性を考えると、消費者は依然としてプレッシャーにさらされている。