南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「8月月間最強、ただ米国との軋轢は続く、SWIFT遮断は大問題」南アランド見通し

「通貨5位、株価4位」
「予想レンジ 南アランド円8.1-8.6」

(ポイント)
*8月は今年2度目の月間首位、株価も強い
*ただ8月終盤は弱い。米国との軋轢拡大
*SWIFTシステムから遮断される危険
*南ア労働組合、自動車業界と超インフレの賃金協定を締結
*連立政権で異変 ANCよりDAか
*新しい金鉱山開発
*2Q・GDP伸び率は改善か
*中国はアフリカ諸国からの輸入に対しては「ゼロ」関税
*米は、南アからの対米輸出品に30%の関税課す
*今年のランドを支えるのは資源価格の上昇
*S&P、南アの2025年の成長予測を下方修正

(8月は終盤で弱含むも今年2度目の月間最強)
 南アランドは8月最終週は最弱であったが、かろうじて月間最強通貨を維持した。
年間では円と同率5位。南ア全株価指数は年初来21.1%高。10年国債利回りは9.61%。
 米国との関税問題などでの不透明さはあるが金など鉱産物価格の上昇が支えている。また米国との予想される貿易額減少は中国、EUなどとの取引拡大で相殺しようとしている。

(今週は2Q・GDP発表)
 9月3日に発表される2Q・GDP伸び率が、前期比0.1%から0.4%に上昇すると予想されている。鉱業部門は需要に基づく価格高騰の恩恵を受けた可能性が高い。
ただ米国の南アへの30%の輸入関税は自動車産業と農業セクターに重くのしかかり、最大3万人の雇用に影響を与える可能性がある。

(SWIFTシステムから遮断される危険)
 ゴドンワナ財務大臣が、米国主導の南アに対する制裁によってSWIFTシステムから遮断されることへの懸念を表明したと報じられている。
 SWIFTシステムは、国際送金の基盤となる通信システム。世界中の何千もの銀行が相互に通信することで、送金を迅速に処理し、安全性を確保している。
 この手法が国家に対する制裁に使用された最も最近の事例としては、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を理由に、2023年にロシアの銀行がシステムから締め出されたケースが挙げられる。
 SWIFTシステムへのアクセスが失われる可能性は南ア経済に深刻な脅威をもたらすという。それは国家の安定と将来の成長見通しの両方を損なう可能性のある影響を及ぼすだろう。

(南ア労働組合、自動車業界と超インフレの賃金協定を締結)
 南ア最大の労働組合である南ア金属労働組合(NUMSA)は、自動車業界の組合員9万人を擁し、インフレ率を上回る賃上げを規定する賃金協定に署名した。NUMSAは、9月1日から発効する3年間の段階的賃上げ協定には、最大6%の賃上げが含まれると述べた。同組合はこれまで10%の賃上げを求めていた。声明では、「今回の交渉により、最低賃金労働者が質の高い民間医療を受けられる基盤が築かれたことを嬉しく思う」と述べている。