
総括
FX「アリババの脅威、米国のAI規制を打ち破るか」人民元見通し
(通貨10位、株価12位=上海、香港ハンセンは3位)
予想レンジ 人民元/円 20.5-21.0
(ポイント)
*アリババの脅威 米規制でも打たれ強く躍進
*人民元は弱く、株価は強い、株価はAIとレアアースが強い
*米国とはレアアース貿易で激しく対立
*8月PMIはいずれも小幅改善
*7月工業部門利益減少
*米中通商協議に進展の兆し
*中国は対アフリカ関税ゼロとして関係強化
*米国との関税期限を90日延長
*トランプ大統領、関税免除措置「デミニミス」廃止
*2Q・GDPは5.2%増
*物価の伸び悩みは続く
(人民元は年初来10位、AIとレアアースに強み)
人民元は年間では10位、対円で3.22%安、対ドルでは2.67%高。11位のドルとピッタリ寄り添って下位で推移している。中国株はレアアース、AI関連が強い。上海総合指数は年初来13.78%高で10年ぶりの高値圏、香港ハンセン指数は26.37%高と強い。10年国債利回りは1.78%。
(8月PMIは小幅改善)かっこ内は7月分
*政府版
・製造業49.4(49.3)
・非製造業 50.3(50.1)
・総合 50.5(50.2)
*レイティングドッグ版
・製造業 50.5(49.5)
・サービス業53.0(52.6)
・総合 51.9(50.8)
(来週の焦点、CPI、貿易収支、全人代)
8月消費者物価の予想は前年比で0.1%低下(7月は変わらず)、8月貿易収支は輸出が6.6%、輸入が5.0%の伸びの予想(7月はそれぞれ7.2%、4.1%)。また全人代常務委員会が開催される。
(中国 軍事パレード、米国の孤立化VS中国連合)
9月3日の軍事パレードでは、習近平国家主席のほか、ロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩総書記らが出席し、欧米主導の国際秩序に対抗する姿勢を鮮明にした。中国としては今後、中長期的な競争相手と見なす米国を念頭に、みずからに有利な国際秩序を築きたい構え。
軍事パレードでは、新型のICBM=大陸間弾道ミサイルや無人兵器などを公開し、軍備の増強を誇示して国威の発揚を図るねらいがうかがえた。
中国は、一連の行事を通じて、ロシアや北朝鮮だけでなく、新興国や途上国などいわゆるグローバルサウスの国々への外交的な影響力をアピールした形で、今後、中長期的な競争相手と見なす米国を念頭に、みずからに有利な国際秩序を築きたい構えだ。
(アリババの脅威、中国株上昇、米株下落)
アリババグループの株価が9月1日の香港市場で一時19%高と急騰した。人工知能(AI)関連の収入が大きく伸びたことが好感された。1Q決算では、人工知能(AI)関連製品の売り上げが3桁台の伸びを記録し、クラウド部門の売り上げも予想を上回る26%増となった。
また「独自チップ」を開発し中国の「AI技術自立」の現実への道を歩み始めた。「米国政府による人工知能(AI)半導体チップの中国向け輸出統制は、中国の独自技術開発を加速化するだけだ」とも言われていたことが現実化してきた。
NVIDIAの最も大きな顧客の一つだったアリババが「従来のチップよりさらに汎用性が高く、さらに多様なAIの推論作業に活用できる新しいチップを開発した」と伝えられた。アリババはこれまでチップ製造を台湾のTSMCに任せてきたが、今回のチップは中国企業が直接作っている。
アリババが新しいAIチップを開発したというニュースが伝えられた29日、NVIDIAの株価は3.32%下落し、174.18ドルで取引を終えた。ナスダック総合指数も1.15%下落した。
*中国が寡占するレアアース市場に加わえてアリババのニュースもトランプ大統領にとっては脅威となる。対外規制ばかりでは相手も工夫してくる。