トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「野党弾圧とインフレ高止まりで株急落。リラは介入で抑える」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価17位)   

予想レンジ トルコリラ/円3.3-3.8

*野党弾圧が続く
*インフレは高止まり
*株下落もリラ安は介入で抑える
*今週は政策金利、2%利下げか
*3カ年経済計画ではインフレ抑制もあり、成長見通しを下方修正
*メディアも報道規制が強いので国内情報が伝わりにくい
*リラは今年、唯一ドルより安い通貨
*2Q・GDPは予想を上回る成長、営業日数増加もあり
*7月失業率改善
*エルドアン大統領がSCO首脳会議に参加
*トルコ議会、イスラエルによるジェノサイドを非難する動議を可決
*インフレ抑制へ目標設定
*格付け引き上げ、ムーディーズ
*リラ安の大きな要因は膨大な外貨預金

(野党弾圧とインフレが予想を上回ったことで株急落。リラ安は介入で抑える)
2Q・GDP、7月失業率は改善したが、政府の野党弾圧や8月のインフレが予想を上回ったことで株価が急落している。リラ下落は介入で抑え込んでいるようだ(11日の外準残高に注目したい)

 2025年のリラは12位で最弱通貨、対円で19.23%安、対ドルで16.12%安。
 イスタンブール100株価指数は、年間で10%を大きく割り込み6.29%高。10年国債利回りは一時33%台にのせたが、現在は30.73%と乱高下している。

(8月消費者物価、予想ほど鈍化せず)
8月消費者物価は前年同月比32.95%上昇と、7月の33.52%から鈍化したものの、予想の32.6%を上回った。
前月比では2.04%上昇と、予想の1.8%を上回った。これは食料品、教育関連、住宅価格の上昇に加え、たばこ税と燃料税が年央に更新された影響が引き続き物価を押し上げた。

(政策金利)
 トルコ中銀が9月11日、政策金利決定を2%引き下げて41%とする見込み。
インフレ率と経済成長率がともに想定を上回っているため、利下げ幅は7月の3%から縮小する予想となている。

(繰り返しですが=再び野党を弾圧か)
 裁判所が最大野党CHP指導部を選出したイスタンブール支部大会で買収など不正行為があったとして無効にした。CHPは司法の厳しい取り締まりを受けており、党内で特に支持が高く、イスタンブール市長のイマモール氏は今年に入り収監された。イマモール氏以外にも複数のCHP当局者が裁判にかけられている。債券と株が大きく売られたが、リラ相場は小康(リラ買い介入か?)。

 *これ以降も、政府の命に従って野党を弾圧する警察と、CHP支持者との争いが続いている。政府は両者の衝突を報道することを禁じている。

(3カ年経済計画)
 トルコ政府は9月8日、均衡のとれた成長の促進、インフレ抑制、永続的な繁栄の達成を約束する2026~2028年の経済計画を発表した。

 2025年から2027年にかけて、GDP成長率予測を毎年0.7ポイント下方修正。成長目標を引き下げて物価安定を強化した。

 計画によると、トルコの2026年、2027年、2028年の経済成長目標はそれぞれ3.8%、4.3%、5%である。また、今後3年間のインフレ率目標はそれぞれ16%、9%、8%に引き下げられ、経常収支赤字の対国内総生産(GDP)比はそれぞれ1.3%、1.2%、1%に引き下げられる。トルコの観光収入は今年640億ドル、2028年には750億ドルに達すると予想されている。今年の輸出額は2,738億ドル、2028年には3,085億ドルに達すると予想されている。