
総括
FX「北風と太陽。日経平均よ、世界の水準はもっと高い」
ドル円=145-150、ユーロ円=171-176、ユーロドル=1.15-1.20
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨7位(6位)、株価12位(14位)、日経平均がついに二桁の伸びに」
(日経平均がついに二桁の伸びに。ただ1990年からでもその程度の伸びである。さらに精進)
トランプ大統領の一連の北風政策で世界は揺れており、日本にも影響している。米国は太陽であり世界の憧れだったが、世界の投資も米国から逃げ始めてる。その中で
世界一の米国直接投資国、米国債保有国の日本がさらなる米国への投資を迫られているのが現状だ。
円は春までは最強通貨であったが、現在は7位、8位のNZドルにほぼ並ばれている。日経平均はついに年初来二桁の12.2%高となった。ただこれは1990年からでも約15%程度の伸びであり、その間
NYダウは約2000%上昇している。株価がすべてではないが、それが日本経済の長い間の停滞をもたらした一つの要因だろう。単純に利上げ、円買い介入では、また同じことが起きよう。
(とは言え、こう意見が主流=日銀利上げに期待感=行天元財務官)
行天元財務官は、現下の為替相場について「金利が低すぎて円安になっているという事実は否定できない。放っておいてインフレにならないかという心配はあると思う」と述べた。懸念を払拭するための方策を「日銀が考えてもらわなければいけない」とも語った。 足元の為替相場と物価上昇を念頭に「結構輸入物価が上がっている。いままでのところは何とかコントロールできている」としつつ、日銀の利上げによって日米金利差が縮小すれば「円安は是正される可能性はある」と説明。「今の日本の円相場は歴史的に見れば円安に過ぎる。当然もっと円高になってもおかしくはない状況だろう」と述べ、日銀の早期利上げに期待感をにじませた。
(日銀政策決定会合は)
日銀は今週、金融政策の現状維持を決める公算が大きい。経済・物価は7月の展望リポートに沿って推移しているものの、米国の高関税政策がもたらす米国経済の下振れリスクへの警戒感が根強い。国内のインフレ率はピークアウトしたとして、利上げ判断を急ぐ必要はないとの声も聞かれる。
4-6月のGDPが予想を上回ったものの、関税の影響が軽微な段階の指標であり、関心は7-9月の経済指標に向かっている。
(外貨投信の伸び幅急増が止まる=8月)
5,6,7月と6.2兆円、4.4兆円、4.6兆円と伸びて円安要因となっていた外貨投資だが、8月は7700億円増と伸び幅を大きく縮小した。それが8月のドル円陰線をもたらしたのだろう。
(今週は重要指標多い)
今週は日銀金融政策決定会合の他に 7月第三次産業活動指数、8月貿易統計、7月機械受注、4-6月資金循環統計、8月全国消費者物価などの発表がある。
*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)15位(15位)、北風トランプ。投資を米国中心から世界分散。それゆえのドル安か。関税違憲問題も不安」
(投資を米国中心から世界分散。それゆえのドル安か。関税違憲問題も不安)
トランプ大統領は今週国賓として、経済団体と共に訪英し、英国のAI産業への投資を表明する。米国の対英直接投資は1兆ドルを超え世界一だ。
さてドルは年間11位と弱い状態が続いている。株式市場はダウは年初来7.73%高と冴えないが、ナスダックが14.66%高、S&Pが11.95%高とまずまずだが、世界のトップグループは30%、40%を超えている市場もある。全体としては投資を米国中心から世界分散へと進めている。10年国債利回りは4.06%と年初の4.57%からは低下している。
現在、トランプ関税は違憲とされている。トランプ氏は最高裁に上告しているが、有利な判断が示されなければ、政府が巨額の資金を返還する必要が生じる可能性があるとベッセント財務長官は警告している。
(8月CPI)
8月の消費者物価上昇率は、前年同月比2.9%(前月2.7%)、前月比0.4%(前月0.2%)となった。コア指数は、前年同月比3.1%(前月3.1%)、前月比0.3%(前月0.3%)だった。市場予想とおおむね一致する範囲内だったが、物価上昇基調は続いている。
エネルギーは0.2%上昇と、7カ月ぶりに上昇に転じた。特に電気代については、4月以降高めの伸びが続いており、8月は6.2%上昇だった。人工知能(AI)ブームに伴う電力需要の増加などが価格上昇の背景にあるとされており、AI関連の設備投資は足元でも堅調に推移していることから、今後も高めの伸びが続いていく可能性がある。
また、牛肉価格(13.9%上昇)などの上昇に伴って、食料品は3.2%上昇と、前月(2.9%上昇)から伸びが加速した。
(FOMCは)
上述の財価格への上昇圧力がなお続いていることが確認される一方で、上昇幅が予想の範囲内にとどまったこともあり、市場では、FRBが9月17日に、利下げを妨げる内容ではなかったと受け止められている。利下げペースがどの程度のものになるのかという点に移りつつある。トランプ政権での人員削減で雇用が悪化していることは利下げ要因の一つ。
フェドウオッチによると、市場が織り込むFOMCの0.25%の利下げ確率は92.7%。0.5%の大幅利下げの確率は7.3%となっている。
(ドル、米国からの逃避)
「投資家は米国への投資が多すぎるのではないかと疑問を抱き始めており、ドルヘッジを検討し始めている」と、カプラン副社長(ゴールドマンサックス)は述べた。
多くの金融機関が成長機会を求めて欧州やアジアに目を向けていると述べた。一部の投資家が為替変動への備えとしてドルヘッジを始めるべきかどうか検討していると付け加えた。
(CPIナウ,GDPナウ))
9月CPIナウ(クリーブランド連銀)は前年比で3.01%、コアが2.96%。3Qでは3.25%、コアが3.39%。
GDPナウ(アトランタ連銀)は3.1%である。
(分断)
保守活動家のカーク氏が銃撃された事件を巡って米国社会が揺れている。昨年のトランプ氏暗殺未遂をはじめ、近年政治的暴力が相次ぐ中、若手保守層の代表格として強い発信力を持っていたカーク氏の死は、左右両派の激しい対立を巻き起こしている。
カーク氏を保守層の間では英雄視する動きが広がる。トランプ大統領は「彼は自由の擁護者だった」と称賛。一方で、カーク氏が銃規制への反対や、性的少数者や人種を巡る差別的な発言で物議を醸してきただけに、批判的な立場から「銃撃は自業自得だ」という趣旨のSNS投稿も目立つ。
*ユーロ「通貨2位(2位)、株価7位(5位)DAX)、政策金利据え置き。ECBにはタカ派もハト派もいる」
(仏政局混乱でユーロは月間7位と若干弱い)
ユーロは年間では2位の対円6.39%。株価では独DAXが6位の19.03%高。独10年国債利回りは2.71%(年初は2.36%)。仏政局混乱でユーロは月間7位と若干弱い。株価では独DAXが維持してきた20%超が崩れ19.03%高。ロシアのドローンがポーランドやルーマニアに飛来してきたこともあり、緊張感が高まっている。
米国の不確実性による資金の逃避が最初は欧州に向かっていたが他国へも向っている兆しはある。
(ECB、2会合連続で政策金利)
ECB、予想通り政策金利を2%で据え置いた。追加緩和の可能性も排除できないものの、経済は「良好な状態」にあるとの見方を示した。
インフレ率は、2025年に2.1%、2026年に1.7%、2027年には1.9%と、ECBのエコノミストは予測する。コアインフレ率についても、2025年は2.4%、2026年は1.9%、2027年には1.8%となると見通している。ユーロ圏の経済成長率は、2025年に1.2%と予測し、6月予測から0.3ポイント上方修正した。2026年は1.0%、2027年は1.3%と予測している。
(ラガルド総裁)
ラガルドECB総裁は「米国との関税合意によって不確実性が低下し、経済成長に対するリスクはより均衡した」とし、足元の経済状況は引き続き「良好」と評価した。「貿易関係の悪化が再燃すれば、輸出がさらに減速し、投資と消費を押し下げる可能性がある」とした一方、「予想を上回る防衛産業・インフラへの支出が経済成長を押し上げる可能性がある」と述べた。インフレ見通しについては、貿易政策の不透明性によって「通常より不確実性が高い」とし、「関税の引き上げにより、過剰生産能力を持つ国々がユーロ圏向けの輸出をさらに拡大した場合、インフレ率が予測より低下する可能性もある」と指摘した。
今後の金融政策の方向性については明言せず、経済と金融のデータや金融政策の効果などを踏まえたインフレ見通しとリスク評価に基づき、今後も会合ごとに適切な政策対応をとるスタンスを維持する考えを示した。
(タカ派の独連銀ナーゲル総裁は)
ナーゲル独連銀総裁は、ユーロ圏経済がドイツの公共支出増加で押し上げられるとみられる中、ECBが利下げを実施すればユーロ圏の物価安定が脅かされる恐れがあるとの考えを示した。
独の防衛費とインフラ投資の増加がすでにユーロ圏経済の刺激策として機能しているとの考えを示し、その影響は欧州全体に及んでいると語った。
(ハト派の仏中銀ビルロワドガロー総裁は)
仏中銀のビルロワドガロー総裁は、今後の理事会でさらなる金融緩和を決定する可能性は否定できないとの見解を示した。「あらかじめ決められた道筋はないが、今後の会合で追加利下げが行われる可能性は十分にある」と述べた。
*ポンド「通貨5位(4位)、株価11位(10位)、政策金利は据え置きか。トランプ大統領が訪英」
(英ポンドもFT株価指数もまずまずの動き)
年間ではポンドは5位。FT株価指数は13.58%高、10年国債利回りは4.66%。世界的な不確実性の中でドルからの逃避で、英国にも資金が流入している。
(7月GDPは前月比横ばい)
7月のGDPは前月比横ばいと、予想と一致。工業生産が急減したことが要因で、下半期の英国経済が弱いスタートとなった。6月は0.4%増だった。
製造業は前月比1.3%減と大幅なマイナスとなった。コンピューター、電子機器、医薬品を中心に幅広い品目で減少した。一方、サービス部門は前月比0.1%増と、予想をわずかに上回った。
インフレ率の上昇と失業の増加により8月の経済活動が抑制された可能性が高い。7月のGDPは前年同月比では1.4%増。6月と同水準。予想の1.5%増をわずかに下回った。
(据え置きの確率が96.75%、今週政策金利決定)
今週18日の政策金利決定では据え置きが予想されている。LSEGのデータによると、据え置きの確率が96.75%となっている。
ベイリー氏は9月3日の英議会財務委員会の公聴会で「さらなる措置をいつ、どのくらいのスピードで実施できるのかは現在、かなり不透明感が増している」と語っていた。
HSBCとドイツ銀行は8日、英中銀が政策金利を引き下げる予想時期をそれぞれ後ろ倒しした。高いインフレ率が続いており、金融緩和のタイミングの不確実性が高まっていることが理由だ。
HSBCは、英中銀が2026年4月まで現行の4%に据え置くと予想。 ドイツ銀も英中銀が次に利下げする時期について、従来予想していた今年11月から12月へ延期。
(8月消費者物価は)
17日に発表される8月消費者物価は前年比で3.9%上昇の予想、7月は3.8%。コアは3.7%上昇の予想で7月は3.8%。依然高水準だ
(トランプ大統領訪英)
トランプ大統領は9月17〜19日に国賓として訪英し、ロンドン近郊のウィンザー城でチャールズ国王と面会する。米国の経済団体も同行する。
*豪ドル「通貨6位(7位)、株価14位(13位)、豪ドル好調」
(好調豪ドル)
豪ドルは先週は週間最強通貨。今月もここまで最強。8月20日のボリバン3σ下限から、先週末の2σ上限上抜けまで上昇。年間では円を抜いて6位。豪全普通株指数は年初来8.41%高。10年国債利回りは4.23%。ドル安に加え強かった2Q・GDPやRBAブロック総裁は2Qの経済成長率は予想よりやや強かったとし、消費者が積極的な支出を続ければ多くの利下げは必要ないかもしれないとの認識を示した、ことも豪ドルを押し上げた。
(インフレ期待上昇)
・9月インフレ期待4.7%上昇、8月は3.9%
・9月消費者信頼感指数は95.4、8月の98.5から低下
・8月企業信頼感指数は4で7月の8から低下
(今週は8月雇用統計の発表)
今週は8月雇用統計の発表。雇用者は21.2%増加の予想、7月は2.45万人。失業率は4.2%の予想、8月も4.2%。
チャーマーズ財務大臣は、先週、ANZグループのマトスCEOと会談し、数千人規模の人員削減計画について協議したと報じられている。金融セクターにおける人員削減の増加に対する政府の懸念を浮き彫りにしている。
*NZドル「通貨8位(8位)、株価19位(19位)、景気回復の兆しも。ボリバン3σ下限から2σ上限へ上昇」
(円に迫る。ボリバン3σ下限に落ちたが、その後上昇、先週末は2σ上限)
8月20日のNZ中銀の利下げでボリバン3σ下限に落ちたが、その後上昇、先週末は2σ上限に達した。NZに特に良い材料はないが、ドル安、ドルからの逃避の流れについていったものだ。
現在は7位の円に肉薄する8位だ。NZ50株価指数もマイナス圏から漸くプラス圏に浮上、年初来0.89%高。10年国債利回りは4.29%。
(今週は2Q・GDPの発表)
9月18日発表の2Q・GDPの予想は前期比で0.4%増、前年比で0.9%減。1Qはそれぞれ0.8%増、0.7%減。投資ビザの拡大、銀行の自己資本比率の引き下げ、外国人富裕層に高級住宅の購入させるなどの景気刺激策が出ているが2Qの数字には反映しないだろう。
(ホークスビー中銀総裁は)
ホークスビー中銀総裁は政策金利が年末までに現在の3.00%から2.50%程度に引き下げられると予想していると述べた。ただし、今後発表されるデータ次第で、そのペースは「より速くも遅くもなる可能性がある。政策緩和の方向性は経済回復のスピード」に左右されると強調した。
総裁は、8月、年央の景気停滞と需給の緩みによって家計と企業の信頼感に深刻な打撃を与えたことを指摘した。この「信頼感ショック」の大部分は、米国の関税政策をめぐる不確実性に加え、生活費の上昇圧力と住宅市場の低迷が重なったことに起因すると述べた。
(景気回復の兆しも)
8月製造業景況指数(PMI)は2.9ポイント低下し49.9となった。製造業は縮小したが、需要は3年ぶりの高水準に達した。
製造業は49.9に急落、50を下回る縮小。5つのサブ指数のうち3つ縮小。
雇用、完成品在庫、生産サブ指数が50.0を下回り縮小領域に落ち込んだが。新規受注(55.2)が引き続き上昇傾向にあり、2022年8月以来の最高水準に達した。原材料出荷(50.5)も引き続き拡大。