
総括
FX「またも市場混乱への弥縫策」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価13位)
予想レンジ トルコリラ/円3.3-3.8
*野党CHPの指導部に関する判決が裁判所によって10月24日まで延期されたことを受け市場は好感
*株急騰、金利低下、リラ小動き
*リラ買い介入か
*リラ安の大きな要因は膨大な外貨預金
*政策金利を40.5%に引き下げ-予想上回る利下げ
*9か月ぶりに経常収支が黒字化
*新原発の稼働間近か
*野党弾圧が続く
*メディアも報道規制が強いので国内情報が伝わりにくい
*2Q・GDPは予想を上回る成長、営業日数増加もあり
*7月失業率改善
*エルドアン大統領がSCO首脳会議に参加
*インフレ抑制へ目標設定
*格付け引き上げ、ムーディーズ
(またも野党弾圧での市場混乱への弥縫策)
イスタンブール100株価指数は15日に6.06%上昇した。
主要野党である共和人民党(CHP)の指導部に関する判決が裁判所によって10月24日まで延期されたことを受け急上昇。
CHPの2023年大会における不正疑惑と選出された指導部の解任を中心としたこの訴訟は、当初9月15日に予定されていた。延期は政情不安を懸念する投資家に一時的な安堵をもたらし、最も大きな打撃を受けた銀行株が回復を牽引した。
一方、エルドアン大統領の最大の政敵であるイスタンブール市長のエクレム・イマモール氏を含む数百人の共和人民党(CHP)党員が、汚職疑惑とテロとのつながりに関する広範な捜査での裁判を待つ間、依然として拘束されている。
金融面では、トルコ中央銀行が9月に指標となる1週間物レポ金利を250ベーシスポイント引き下げ、40.5%とした。これは予想の41%を若干下回るものだった。
(株急騰、金利低下、リラ小動き)
リラは年初来で対円19.46%安、対ドルで16.42%安。イスタンブール100株価指数は11.90%高、先週末の5.51%高からの急騰。10年国債利回りは先週末の32.77%から29.93%へ低下。
(リラ買い介入か)
野党弾圧で、一時株価と長期債が急落したが、リラ相場は小動きだった。増加し続けていた外貨準備が減少していることから、当局はリラ買い介入したと思われる。
(政策金利を40.5%に引き下げ-予想上回る利下げ)
トルコ中銀は政策金利を43%から40.5%に2.5%引き下げた。予想は2%の引き下げ。カラハン総裁は、総合インフレ率だけでなくデータの詳細な分析にも目を向ける必要があると指摘、需要主導による価格圧力は依然としてデフレ傾向に一致していると述べた。
声明は「8月にはインフレの基調的な動きが鈍化した」と指摘、「2Qの国内総生産(GDP)の伸びは予想を上回ったものの、国内最終需要は依然として弱い」とした。
中銀はまた、今回の声明から実質的なリラ高を追求するとの文言を削除した。インフレ率よりも緩やかなペースでのリラ下落を容認する実質的なリラ高は、これまで金融政策当局の枠組みの柱となっていた。
中銀はその代わりとして「需要、為替レート、期待の各チャネル」を通じてデフレ傾向を維持すると述べた。