ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「高市・植田ラインに期待感。円安時の財務省の牽制に注意」

ドル円=147-152、ユーロ円=172-177、ユーロドル=1.15-1.20

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨7位(7位)、株価13位(11位)、高市新総裁の今後の発言に注目)」
*積極財政・金融緩和を標榜する高市氏が自民党総裁となったことで、中東市場ではドル円が149円台に乗せている。日経平均先物は4万6千円台に上昇している。
急激な上昇時の政府当局のけん制発言に気をつけたい。

(株高だが、まだまだ)
円は年初来で12通貨中7位、日経平均は14.73%高、TOPIXは12.36%高。今年に限っては株価は世界の流れについてっている。失われた30年を取り戻し世界の水準に追いつくにはまだまだだ。10年国債利回りは1.665%。

(なんとなく弱い経済指標)
8月鉱工業生産は前年比1.3%減少(前月は0.4%減少)、8月小売業販売額は前年比1.1%減少(前月は0.4%増)、8月住宅着工は前年比9.8%減少(前月も9.7%減少)、8月失業率は2.6%(前月は2.3%)。

(今週は盛りだくさんの指標あり)
今週は8月全世帯家計調査、毎月勤労統計調査、消費支出 景気先行指数、 国際収支、 9月景気ウオッチャー調査、企業物価指数など多い。

(積極財政)
高市新総裁は「積極財政」を鮮明にした。早期のガソリン減税にくわえ、赤字企業の賃上げを支援すると打ち出した。日銀の金融政策を巡り「責任を持つのは政府だ」と語り、緊密な対話を迫った。
需要が増えて物価が上がる状態が望ましいとして「そういう状況ができるまで日銀との対話を密にするべきだ」と話した。「日本経済はギリギリのところにある」とも語り、緩和的な金融政策が望ましいと示唆した。

(金融所得課税は)
高市総裁は2021年に、年間50万円超の金融所得に税率30%を課すことを示唆していることを市場が懸念している。

(植田日銀総裁は緩和的な金融環境を通じて経済を支える、)
植田日銀総裁は、「当面は、米国を始めとする世界経済の動向、関税政策がわが国企業の収益や賃金・価格設定行動に与える影響、食料品価格を含めた物価動向などを点検していくことになる」と述べた。その上で、経済・物価の中心的な見通しが実現していくとすれば「経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と改めて指摘した。
米国の関税政策について、輸出企業の収益にマイナスの影響を及ぼしているものの、これまでのところ「日本経済全体に波及している様子はうかがわれない」と指摘。先行き、関税の影響で海外経済が減速し、日本経済の成長ペースもいったん鈍化するが、その後は、海外経済が緩やかに回復するもとで成長率は高まっていく、との見方を示した。
また「緩和的な金融環境を通じて、金融面から事業者のさまざまな取り組みを後押ししていきたい」と述べた。

*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)15位(15位)、トーフが泣いている」
(ドル依然弱し)
米ドルは年初から弱く12通貨中11位。株価指数はダウが年初来9.91%高、ナスダックが17.97%高、S&Pが14.18%高。10年国債利回りは4.124%。

(指標悪化相次ぐ)
先週は9月消費者信頼感指数、ダラス連銀製造業指数、ADP雇用統計、ISM製造業。非製造業といずれも弱かった。

(今週の指標)
今週は8月貿易収支、FOMC議事要旨、10月ミシガン大学消費者態度指数・速報値などの発表がある予定。

(来週は消費者物価)
10月15日は9月消費者物価の発表(政府機関閉鎖でも発表されるのだろうか?)。予想は3.0% コアも3.0%。8月はそれぞれ2.9%と3.1%。クリーブランド連銀CPIナウはそれぞれ2.99%に2.96%。

(トーフが泣いている)
ベッセント財務長官は中国が米国産大豆購入を拒んでいる事態を踏まえ、連邦政府として国内農家を支援する意向を示し、10月7日に具体的措置(関税収入で補填か)が発表されると明らかにした。2024年の大統領選で国内農家の圧倒的多数がトランプ大統領に投票したと指摘。「われわれは彼らの後押しを得ている」と付け加えた。米中の貿易戦争が続く中で、中国側は米国で秋に収穫された大豆を今のところ購入しておらず、米農家は多大な損失に見舞われている。

(政府機関の閉鎖続く)
米上院は10月3日、共和党主導のつなぎ予算案の採決を実施したものの、賛成54反対44で、可決に必要な60票には届かなかった。
連邦政府機関の閉鎖は、終わりが見えない状況となっている。

(米政府閉鎖でも株価が高値を更新し続ける理由)
比較的好調な企業収益、人工知能への熱意、連邦準備制度理事会による利下げへの期待により、株価はここ数週間上昇している。歴史を振り返ると、閉鎖は短期間で終わり、経済への長期的な影響は最小限にとどまる傾向があり、株価は通常その影響を受けないとう楽観論が広がっているが今回はどうだろう。閉鎖がどこまで続くか。

*ユーロ「通貨2位(3位)、株価7位(8位)DAX)、ユーロ、対ドルで発足時と同じレベル。3Q成長率は0.4%予想」      
(再びメキシコを抜いて通貨2位)
ユーロは年間2位、メキシコペソを再び抜き返した。対円で6.31%高。独DAXは年初来22.45%高、再び20%台に復帰。独10年国債利回りは2.71%。

(歴史的にユーロ相場は安定)
ユーロは対ドルで1.1740(10/3終値)、これはユーロ発足時の水準と同じ。ECBの介入も1ユーロ=0.8ドル台の時にユーロ買いでワンラウンドだけで、あとは市場に任せている。1ユーロ=1.6台に乗せた時は売り介入は行っていない。通貨の運営は巧だ。ちなみにユーロ発足時のドル円は113.28、ユーロ円は133であった。

(ユーロ圏PMIは3Q・GDP成長率0.4%増を示唆、ECBの政策据え置きを支持)
ユーロ圏のサービス業活動は9月に堅調に推移し、確定値は51.3となり、8月の50.5から上昇し、8カ月ぶりの高水準となった。総合PMIも小幅上昇し、51.2となり、16カ月ぶりの高水準となった。
国別の総合指数は、幅広い改善を浮き彫りにした。スペインは53.8でトップとなり、ドイツとアイルランドはともに52.0で数カ月ぶりの高水準となった。イタリアは51.7で横ばいだったが、フランスは48.1に低下し、5カ月ぶりの低水準となった。
 9月の事業活動は「より力強く回復」し、その回復は「地理的に広範囲に及んだ」と指摘した。新規事業の増加は、10月も事業拡大が続く可能性を示唆しているが、受注残はまだ回復していない。
重要なのは、物価圧力が緩和したものの、依然として平均をわずかに上回っていることだ。サービス部門のインフレが依然として低迷していることから、今回のデータは政策当局が更なる利下げに抵抗していることを裏付けている。総合PMIは3Qを通じて拡大領域を維持しており、ハンブルク商業銀行の予測では3Q・GDP前期比成長率は約0.4%。

(ラガルド総裁、3回登場)
今週はラガルドECB総裁が10月7日、8日、9日に3回講演を行う

*ポンド「通貨5位(5位)、株価11位(12位)、シドニーで一時201円台」
(200円のせが定着しない
9月18日のボリバン上限から下限まで下落。現在は米政府機関閉鎖もあり小反発中。
ポンドは対円で年初来1.05%高。FT株価指数は先週2.2%上昇し年間では16.13%高。10年国債利回りは先進国では高い4.7%。米国発の不確実性を嫌い英国へ資金が流れているが、国内景気は不安要素多く、財政悪化懸念もあり、ポンドは強くも弱くもない位置を年間では維持している。

(企業や消費者が大きな支出を手控え)
9月の製造業、サービス業PM)改定値は5カ月ぶりの低水準だった。11月に英予算案公表を控える中、増税などによる影響度合いを見極めたいとして、企業や消費者が大きな支出を手控えたとみられる。

(来週の焦点)
来週8月雇用統計や8月GDP、8月鉱工業生産の発表がある。

(ラムスデン英中銀副総裁=追加利下げ可能)
ラムスデン英中銀副総裁は、英国の雇用市場の軟化と賃金上昇率の正常化を背景に、一段の利下げが可能であり、インフレ率が英中銀の目標水準に戻ると確信しているとの認識を示した。
「労働市場の緩和の継続と賃金上昇率の正常化が、基調的なディスインフレプロセスを継続させる材料になると見ている」と指摘。「依然として引き締め的な領域にある足元の金利設定と、われわれの予測の前提となっている市場の期待を踏まえると、インフレを目標水準に戻すことができると引き続き確信している」と述べた。

(ベイリー中銀総裁)
ベイリー中銀総裁が10月7日、日本時間午前2時半に講演する

*豪ドル「通貨6位(6位)、株価15位(16位)、政策金利は据え置き。財政収支は3年ぶりの赤字」
(強くもなく弱くもない豪ドル)
10月は10位スタート。首位のNZドルから引き離された。年間では6位。株価は年初来10.3%高。10年国債利回りは4.34%、依然NZ10年国債利回りを上回る珍しい現象。
8月雇用統計の悪化を引き摺ってるが、来週は9月雇用統計の発表。

(RBA、政策金利据え置き)
RBAは政策金利を予想通り3.6%に据え置いた。インフレ率が予想より高くなる可能性を示唆しているとしたほか、経済見通しは依然として不透明だとした。金融政策について引き続き慎重な姿勢を維持するのが適切だと判断したが、国際情勢に対応する態勢は整っているとした。
 ブロック総裁は11月までにデータが出そろい、それらを踏まえて政策を決定すると説明した。 「われわれはインフレ率を持続的に目標範囲内に収めることができる金利経路に照準を合わせている。これはさらに数回の利下げを意味するかもしれないし、そうでないかもしれない。現時点では分からないが、11月に改めてこれら全てを検討する予定だ」と述べた。

(財政収支、3年ぶりの赤字)
2024年度の財政収支が約100億豪ドルの赤字となったと発表した。2年連続の黒字から赤字に転じた。対GDP比で約0.4%。財務省が今年示した予測である279億豪ドルを下回った。銀行部門収入の上方修正、実質的な歳出抑制・節減が寄与した。 チャーマーズ財務相は声明で「G20の中で最も健全な財政の1つであることを改めて示している」と述べた。

*NZドル「通貨8位(8位)、株価19位(19位)、10月はNZドルがトップスタート」
(10月はトップスタート)
景気低迷で弱いNZドルや株価だが、10月は3日間だが月間トップに立った。NZドルが対ドルで6連騰でNZドル円も押し上げた。株価(NZ50)も先週は3.07%上昇、年間でも3.08%高。まだ世界の市場では低迷しているがマイナス圏から脱出した。米政府機関閉鎖というドル売り材料、直近の経済指標が良かったことなどが上げられる。

(直近の経済指標はまずまず)
ANZ9月企業信頼感指数は94.6で8月の92を上回った。ただ企業信頼感指数は49.6で8月の49.7を下回った。8月住宅建設許可は前月比5.8%増で7月の5.3%増を上回った。

(政策金利は0.25%引き下げか)
今週のNZ中銀理事会では政策金利を0.25%引き下げて2.75%に設定する見込み。2Q・GDPが前期比で0.9%減少したこともある。政府系の「シャドー政策委員会」も0.25%利下げを推奨。3Qのインフレ率予想が前年同期比で平均3%となり、少なくとも26年までにはインフレターゲットの1-3%に収まる見通しだ。25年予想は前年比で平均2.7%、26年は平均2.1%。

(「ゴールデンビザ」制度の申請者上位は米国、中国、香港)
政府が低迷する経済を活性化させるために同制度の要件を緩和したことを受けて、米国、中国、香港の裕福な投資家がNZの「ゴールデンビザ」申請者のトップを占めている。
新しい規則は4月に発効し、投資基準を引き下げ、英語能力要件を撤廃し、居住権を確立するために申請者が国内で過ごさなければならない期間を3年から3週間に短縮した。