不動産投資における物件の種類
不動産投資の主な物件の種類は、以下の3つです。
- 区分マンション
- 戸建て
- 一棟アパート・マンション
それぞれ投資額や収益性、管理の手間が大きく異なるため、自分の資金力や投資目的に合った選択をもつことが大切です。それぞれ詳しく解説します。
1. 区分マンション
区分マンション投資は、マンションの1室を購入して貸し出す手法で、「ワンルームマンション投資」「コンパクトマンション投資」ともよばれます。築年数が古い物件や郊外エリアであれば1,000万円台から始められる物件もあり、不動産投資のなかでは比較的少額からスタートできるのが大きなメリットです。
また、建物の共用部分の管理は区分所有者全員で作られる管理組合が意思決定し、実際の運営は建物管理会社に委託するのが一般的なため、オーナーの手間が少ない点も魅力といえます。
一棟投資に比べて価格が手頃な反面、表面利回りが3〜5%程度と低めであり、収益性は低くなる傾向があります。
さらに、1室のみの所有では、空室が発生すると収入がゼロになるのもリスクの一つです。安定した収益を得るには、複数戸を所有し分散投資するのもよいでしょう。
都心部のワンルームマンションは、単身者や若手社会人からの安定した賃貸需要が見込めるため、初心者にも取り組みやすい投資手法です。
2. 戸建て
戸建て投資は、一軒家を購入して賃貸に出す手法です。主な入居者はファミリー層となるため、一度入居が決まると長く住んでもらえる傾向があり、安定した家賃収入が期待できます。
表面利回りの相場は5~7%程度です。また、建物だけでなく土地も資産として所有できる点や、将来的に実需(マイホーム用)として売却しやすい点もメリットです。
地方の物件は流動性が低く、売却したいときに買い手が見つかりにくいケースも少なくありません。価格は首都圏の中古物件で2,500万円前後からが相場となっています。
3. 一棟アパート・マンション
一棟アパート・マンション投資は、アパートや小規模なマンションを丸ごと一棟購入して経営する手法です。複数の部屋からの家賃収入が見込めるため、空室が出ても収益がゼロにはなりにくく、区分マンション投資に比べて収益性が高い傾向にあります。
表面利回りの相場は3〜7%程度です。土地も所有できるため資産価値が高く、建物の修繕やリノベーションなどもオーナーの裁量で自由に行えます。
しかし購入価格は、首都圏の新築物件で7,000万〜2億円台と非常に高額です。複数の部屋を管理する必要があるため、管理の手間やコストもかかります。
すでにある程度の資金力があり、不動産投資の規模を拡大して大きなリターンを狙いたい中級者から上級者向けの投資手法といえるでしょう。
不動産投資初心者におすすめな物件はワンルームマンション
不動産投資の初心者は、まずワンルームマンション投資から始めるのがおすすめです。一棟アパートや戸建てに比べて物件価格が安く、少ない自己資金でも始めやすいからです。
また、都心部や駅近の物件であれば、単身者や学生、若手社会人からの安定した賃貸需要が見込めるため、空室リスクを比較的低く抑えられるといえます。
さらに、都心のワンルームのような需要が見込める物件であれば、金融機関からの融資も受けやすい傾向にあります。管理の手間も少なく、本業がある会社員でも無理なく運用できる点も大きな魅力です。
まずはワンルームマンションで不動産投資の経験を積み、徐々に規模を拡大していくのが堅実な戦略といえるでしょう。
不動産投資の物件情報を集める方法
不動産投資を始めるには、まず物件情報を集めることが必要です。情報収集の方法は主に、以下の3つがあります。
- 不動産投資会社に相談する
- 不動産仲介会社に相談する
- 不動産投資のポータルサイトで自ら探す
それぞれにメリットと注意点があるため、自分の投資スタイルに合った方法を選びましょう。
1. 不動産投資会社に相談する
不動産投資会社は、不動産投資の専門家として、投資用の物件に関する情報を多数所有しています。投資家向けに物件を仕入れているため、ポータルサイトなどには掲載されていない「未公開物件」を紹介してもらえる可能性があります。
金融機関とのつながりも強く、融資の相談がしやすい点も大きなメリットです。不動産投資のプロとして、収支シミュレーションや市場分析にもとづいた専門的なアドバイスを受けられるため、初心者にとっては心強いパートナーとなります。
販売だけではなく、購入後の賃貸管理や売却までをワンストップでサポートしてくれる会社もあるので、そのような会社に依頼できれば本業が忙しい会社員でも安心して始められるでしょう。
2. 不動産仲介会社に相談する
不動産仲介会社は、物件の売主と買主の間に立ち、取引を成立させることを主な業務としています。投資用物件だけでなく、居住用の物件も幅広く扱っているため、さまざまな種類の物件情報に触れられるのが特徴です。
特定の会社の商品を売るわけではないため、客観的な立場からアドバイスをもらえる可能性があります。ただし、担当者によっては不動産投資の知識が豊富でない場合もあるため、注意が必要です。
居住用物件の取引が中心で、投資用物件特有の収支計算や税務、融資などの専門知識が不足するケースもあります。投資用物件の取引実績が豊富で、信頼できる担当者を見つけることが大切です。
3. 不動産投資のポータルサイトで自ら探す
不動産投資のポータルサイトでは、全国の物件情報のなかから、エリアや価格、利回りなどの条件で絞り込み、自分のペースで探すことができます。スマートフォン一つで手軽に情報収集でき、市場の相場観を養う目的でも活用できるでしょう。
ただし、サイトに掲載されている利回りは、経費を考慮しない「表面利回り」であることがほとんどなので注意が必要です。また、条件の良い物件はすぐに買い手がついてしまうため、常に最新の情報をチェックする必要があります。最終的にはサイト運営会社ではなく、物件を掲載している不動産会社に問い合わせて商談を進めることになります。
不動産投資の物件選びにおける6つのチェックポイント
不動産投資の物件選びにおいて重要なチェックポイントは、以下の6つです。
- 【立地・エリア選定】賃貸需要・将来性があるか
- 【収益性】利回りの数字だけで判断していないか
- 【建物】資産価値を維持できる物件か
- 【間取り・設備】入居者に選ばれる部屋か
- 【出口戦略】売却まで見据えた購入か
- 【不動産会社】信頼できるパートナーに相談できるか
それぞれ詳しく解説します。
1.【立地・エリア選定】賃貸需要・将来性があるか
どれだけ建物が新しくきれいでも、借り手がつかなければ収益は生まれません。そのため、不動産投資では将来にわたって安定した賃貸需要が見込めるエリアかを見極めることが大切です。具体的には、以下のような特徴が挙げられます。
- 人口が増加あるいは維持されている都市部やその周辺エリアである
- 再開発計画がある
- 最寄り駅から徒歩約10分圏内である
- スーパーやコンビニ、病院などの生活利便施設が充実している
また、単身者向けなら駅からの距離、ファミリー向けなら学校や公園からの距離など、ターゲット層に合わせた調査も欠かせません。長期的に安定した収入を得るためには、立地選びに妥協しないことが成功の鍵となります。
建物は古くなってもリフォームできますが、立地は変えられないため、不動産投資の成功には、立地の良し悪しが大きく関係します。
2.【収益性】利回りの数字だけで判断していないか
投資用物件を選ぶ際には、物件情報に記載されている「利回り」の数字に惑わされないようにしましょう。広告などに使われる「表面利回り(年間家賃収入÷物件価格)」は、管理費や修繕積立金、固定資産税といった運営経費が考慮されていないため、実際の収益とは異なります。
物件選びの際は、これらの経費を差し引いた「実質利回り{(年間家賃収入ー年間経費)÷物件価格}」で確認し、収益性を判断することが大切です。
また、不動産投資は数年ではなく10年、20年スパンで考えるものであるため、将来的な家賃下落リスクや大規模修繕費用なども考慮した長期的な収支シミュレーションが欠かせません。
3.【建物】資産価値を維持できる物件か
建物は経年劣化するため、長期的に資産価値を維持できる物件かを見極める必要があります。
まず、中古物件の場合は建築基準法が改正された1981年6月1日以降に建築確認を受けた「新耐震基準」の物件を選びましょう。地震による倒壊リスクがあるだけでなく、融資が受けにくく売却しにくいといったデメリットがあります。
そのうえで、中古物件では過去の修繕履歴や大規模修繕を予定している時期、修繕積立金の残高なども確認することが重要です。マンションなら管理組合の運営状況、戸建てなら前オーナーの維持状態をチェックしましょう。
4.【間取り・設備】入居者に選ばれる部屋か
空室リスクを抑えるためには、入居者に「住みたい」と思ってもらえる間取りや設備が備わっているかがポイントです。ターゲットとする入居者層のニーズに合っているかを確認しましょう。
たとえば、単身者向けであればコンパクトな1Kやワンルーム、ファミリー向けであれば複数の部屋がある2LDK以上が適しているでしょう。設備面では、以下のような設備が今では一般的に求められる傾向にあります。
- バス・トイレ別
- 独立洗面台
- 室内洗濯機置き場
また、無料インターネットや宅配ボックス、オートロックなど、人気の設備が整っている物件は競争力が高く、家賃を高く設定しやすいです。内見ができる場合は、入居者の視点に立って部屋の使いやすさをチェックしてみましょう。
5.【出口戦略】売却まで見据えた購入か
不動産投資は、家賃収入(インカムゲイン)だけでなく、最終的に物件を売却して利益を確定させる(キャピタルゲイン)ことまでを含めて考えるべき投資です。
自分と同じ投資家向けだけでなく、マイホームを探している一般の居住希望者にも売却しやすい物件は、需要が安定しているため資産価値が下がりにくい傾向にあります。
購入時から「いつ、どのような条件で売却するか」という出口戦略を明確にしておくことで、より確実な投資判断につながります。売却時の市場動向も視野に入れた物件選びを心がけましょう。
6.【不動産会社】信頼できるパートナーに相談できるか
初心者にとって、不動産投資の成功は信頼できる不動産会社と出会えるかが重要です。物件選びから融資、管理、売却まで、長期にわたって付き合っていくパートナーとなるため、慎重に選ぶ必要があります。
信頼できる会社や担当者を見極めるポイントは、以下のとおりです。
- メリットだけでなくデメリットやリスクについても正直に説明してくれる
- データに基づいた客観的な提案をしてくれる
- 問い合わせへの対応が迅速かつ丁寧である
ホームページの情報や実際の顧客の声、評価なども確認しつつ、複数社から話を聞くのがおすすめです。1社だけでは偏った提案になる可能性があるため、複数社を比較検討することが投資失敗の防止につながります。
証券取引所の厳しい基準をクリアした上場企業が運営するような、信頼性の高い会社を選ぶことも一つの判断基準となります。
不動産投資の物件選びで避けるべき物件の特徴
不動産投資で失敗しないためには、以下のような物件を避けるようにしましょう。
- 政令指定都市周辺のエリア以外に立地する物件
- 違法建築など法的リスクの高い物件
- 心理的瑕疵のある物件
それぞれ詳しく解説します。
1. 政令指定都市周辺のエリア以外に立地する物件
地方や郊外の物件は、価格が安く高利回りに見えるため魅力的に感じることがあります。しかし、人口減少が進むエリアでは、将来的に賃貸需要が減る可能性が高いです。その結果、空室が埋まらずに家賃を下げることになり、想定していた収益を得られなくなるリスクがあります。
また、政令指定都市周辺のエリア以外に立地する物件の場合、いざ売却しようとしても買い手が見つからず、売れない不動産を所有し続けることにもつながります。不動産投資の初心者は、まずは人口が多く賃貸需要が安定している首都圏や政令指定都市、その周辺エリアなどに絞って物件を探すのが堅実な選択といえます。
立地の将来性を見誤ると、投資全体が失敗に終わる可能性が高まります。エリアを選ぶ際は、「人口動態」「賃貸需要」「出口戦略」を重視すべきです。
2. 違法建築など法的リスクの高い物件
違法建築に該当する物件は、「融資が通らない」「売却が難しく、出口戦略が取れない」などのリスクがあります。違法建築かどうかを確認するには「確認済証」または「検査済証」の有無を確認しましょう。確認済証とは、建物の建築計画が建築基準法に適合していることを証明する書類です。
この確認済証がない物件は、建築当時に適切な手続きがされていない「違法建築」の可能性があります。違法建築物件には、金融機関の融資が受けられない、または非常に受けにくいという致命的なデメリットがあります。特に中古物件を検討する際は、建築確認済証と、工事完了時に発行される「検査済証」が揃っているかを確認しましょう。
3. 心理的瑕疵のある物件
心理的瑕疵(かし)物件とは、過去にその物件で自殺や殺人、火災による死亡事故などがあった、いわゆる「事故物件」のことです。こうした物件は、次の入居者に対して事実を告知する義務があり、その事実を理由に敬遠されることが少なくありません。
そのため、周辺の家賃相場よりも大幅に安い価格で募集しないと、入居者を見つけるのが難しい傾向にあります。表面的な利回りが高く見えても、長期的な空室リスクや資産価値の下落を考慮すると、結果的に収益性が低くなる可能性があります。
特に不動産投資に慣れていない初心者は、こうした物件は避けるべきです。経験を積んでから検討するのが賢明でしょう。
不動産投資で物件選びをする際には信頼のおける会社と一緒に行おう
不動産投資における物件選びは、立地・収益性・建物の状態・間取り・出口戦略など、多角的な視点からの判断が必要です。初心者の場合、ワンルームマンションから始め、都心部や政令指定都市周辺の需要が安定したエリアを選ぶようにしましょう。
物件情報の収集には、不動産投資会社や仲介会社、ポータルサイトなど複数の手段がありますが、特に重要なのが信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶことです。専門的な知識とデータに基づいた提案や、購入後のサポート体制が整った会社を選ぶことで、初心者でも安心して不動産投資をスタートできます。
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