まずはコールドチェーン参入に照準
ヤマタネは今年4月、中期3カ年経営計画「ヤマタネ2028プラン」(2026年3月期~28年3月期)をスタートさせた。昨年7月に迎えた創業100周年を踏まえ、次の100年に向けた第2の創業期の第一歩との位置付けだ。カンパニー制を導入し、事業別の損益管理の徹底や権限移譲による意思決定スピードの向上などにつなげる。
新中計では食品事業についてバリューチェーンの拡大を掲げ、川上(生産)への進出や川下戦略としての新規顧客開拓を推し進めており、一連のM&Aもこの流れに即したものといえる。
業歴100年に及ぶヤマタネだが、意外にもM&Aに取り組み始めたのは最近のことだ。まず照準を合わせたのがコールドチェーン(低温物流)への参入。2022年、食品(生鮮、チルド・冷凍)輸送のシンヨウ・ロジ(千葉市)を子会社した。
続いて2023年、69億円を投じて、スーパーや弁当・総菜店などで使われる冷凍食品、調理済み食品を提供するショクカイを子会社化した。ヤマタネとして最大のM&Aで、食品事業の新たな柱として期待した。買収時のショクカイの売上高は174億円。
すでに触れた通り、ヤマタネの2025年3月期売上高が2割を超える大幅増加となったのも、同社が加わったためだ。
第2の創業期、試される経営のかじ取り
ヤマタネは2022年、長期ビジョン「ヤマタネ2031ビジョン」(9年間)と前回中計「ヤマタネ2025プラン」を同時発進。これに呼応してM&Aが本格的に動き出し、今回の新中計でさらにアクセルを踏み込んだ形だ。
新中計は最終年度の2028年3月期に売上高880億円、営業利益47億円を掲げる。8月初めに、ヤマタネが足元の2026年3月期の業績予想を売上高888億円(当初870億5000万円)、営業利益55億2000万円(同38億円)に上方修正したことにより、初年度で中計目標を2年前倒しで達成する情勢にある。
不動産事業では今後、”大仕事“が控える。本社周辺の越中島地区(東京都江東区)に約3万3000平方メートルの土地を保有し、倉庫用地として活用しているが、ここで大規模な都市開発プロジェクトを計画。来年3月までに開発パートナーを選定することになっている。
文:M&A Online