9月はことのほか上場企業間の資本業務提携が目立った。このうち20%超を出資し、持ち分法適用関連会社化するケースも3件あった。

伊藤忠、セブン銀に514億円出資

500億円を超える大型出資を発表したのは伊藤忠商事。相手はセブン銀行。両社は8月に資本業務提携に向けた協議に入ることで合意していたが、その詳細が決まった。

伊藤忠は10月14日付で、セブン銀が持つ自己株式16.35%を取得する。取得金額は1株につき268円で、合計514億円。その後、市場買い付けなどで所有割合が20%になるまで株式を追加取得し、セブン銀を持ち分法適用関連会社とする予定だ。

伊藤忠傘下のコンビニ「ファミリーマート」には現在、都市銀行や地方銀行などが設立したイーネット(東京都中央区)と、ゆうちょ銀行のATMを合計で約1万6000台設置しているが、順次、セブン銀のATMに切り替えを進める。これにより、ファミリーマートブランドのもとで多様な金融サービスの提供を目指すとしている。

セブン銀は「セブンーイレブン」の店舗を中心に全国に2万8000台以上のATMを展開。スマートフォンの決済アプリへのチャージ(入金)に加え、本人確認書類読み取りや顔認証など新機能を備えた新型ATMを配備している。

セブン銀をめぐっては、セブン&アイ・ホールディングスがコンビニ事業への集中の一環として6月に、所有割合を40%未満に引き下げ、連結子会社から外していた。

M&A Online
(画像=セブン銀行のATMを導入することになったファミリーマート、「M&A Online」より引用)

SBI、AI関連のRidge‐iを持ち分法会社に

SBIホールディングスは9月中、2件の資本業務提携を発表した。その1つは、AI(人工知能)ソリューション企業のRidge‐iの持ち分法適用関連会社化。第三者割当増資の引き受けなどで22.69%の株式を約10億6000万円で取得した。

具体的な協業の第一弾となるのが次世代生成AIの開発。株式投資の初心者や若年層にとってハードルが高い財務情報収集・チャート分析の負担を軽減し、投資家一人ひとりに最適な提案や投資相談に応じられる環境を実現するとしている。

もう一つは電子雑誌「旅色(たびいろ)」などを出版するブランジスタで、8.23%(約8億5700万円)を出資した。メディア事業への参入を狙いとし、銀行・証券・保険や資産運用など各種金融サービスと関連コンテンツのデジタル発信力を強化する。