本記事は、石川 和男氏の著書『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

要領がいい人が見えないところでやっている50のこと
(画像=fizkes/stock.adobe.com)

会社の机は整理整頓、自宅の机は秩序ある無秩序に!
効率二刀流の最適解とは

職場の机が散らかっていると、仕事の効率が落ちてしまいます。
もらった名刺や使わないホチキス、定規、客先からいただいて食べた煎餅の袋カス……散乱した机では、目の前の仕事に集中できません。資料や文房具を探す時間が増え、仕事のリズムも崩れ、探し物に時間を取られることで、生産性は下がってしまいます
例えば、物が散らかっていると電話がかかってきたときに仕方なく書類の裏に要件を書き、大抵はどの書類の裏に書いたか分からなくなり、探す手間も増えます。
一方で、机が整理されていると、必要な物をすぐに見つけられ、無駄な時間を減らすことができます。
私は、今取り組んでいる仕事に関係する物だけを机に置くようにしています。使い終わった電卓はすぐに片づけ、目薬もさしたらすぐに机の中にしまう。こうすることで目の前には本当に必要な物だけが残り、自然と集中しやすくなります。
あなたも机の上のひとつひとつの物に「今、本当にこれが必要なのか?」と、見つめながら問いかけてみてください。私自身、この見直しを通して、ペン立てや置き時計が自分には不要だと気づきました。また、花粉症の季節以外はティッシュも使わないので、机の2番目の引き出しにしまっています。

机の上を整理することは、ただ見た目を良くするだけでなく、仕事の効率や集中力を高め、無駄な時間を減らす効果があります。
要領がいい人は、整理整頓が得意です。片づいていると、余計なことに気を取られず、仕事に集中できます。
プリンストン大学の研究によると、脳は「整った状態」を好むため、周りが「散らかっている」と負担がかかり、視覚的な刺激が多すぎると、脳に余計な負荷がかかり、集中力が落ちると報告しています。

ただし、自宅の机は注意が必要です。
もし資格試験やスキルアップの勉強を続けているなら、無理に整理整頓はしない。
昨夜勉強したままの状態にしておきましょう。
自宅の机は誰かが見に来るわけでもないので、気にする必要はありません。朝起きたら、すぐに机に向かって勉強などの目的の行動を始める。
大切なのは、前述した「20秒の法則」、初動を速くするためには、準備に時間をかけないことがポイントです。もちろん整理整頓をしないとは、無秩序に散らかしておくという意味ではなく、昨日の勉強の続きができるようにテキスト、問題集などが寝る前と同じ状態になっているという意味です。
朝起きるのが苦手な人にとって、勉強するか寝ているかが勝負です。気持ちいい布団に打ち勝つためには、机にさえ向かえば勉強できる環境を整えておくことです。
途中で中断したほうが記憶に残りやすいという「ツァイガルニク効果」もあります。勉強を区切りのいいところで終えるよりも、少し途中で止めておき、朝からその続きをやる方が、始めやすく、記憶にもしっかり残りやすくなるのです。前日の夜に少しでも勉強に手をつけておけば、翌朝はその続きをするだけです。
また、机を片づけずに寝れば、その手間が省けます。朝起きたときも、準備をする必要がなく、すぐに勉強や作業に取りかかれるので、スムーズに動けるのです。朝の大切な時間に準備の手間を省けます。たとえ数分でも、1か月、1年、5年と積み重ねれば、けっこうな時間になります。また、何を準備するか決断する回数をひとつ減らせます

要領がいい人は、会社の机は徹底的に綺麗にします。逆に、自宅の机は片づけずに起きたらゼロ秒で勉強できる体制をとっているのです。

探す時間ゼロ!
収納場所を決めると解決する

「整理」と「整頓」は違います。
「整理」とは、必要なものと不要なものを分けて、不要なものを捨てることです。
「整頓」とは、整理した後に必要なものを使いやすい場所にきちんと並べたり、決まった場所に置いたりすることです。
要領がいい人は、物の定位置を決めて、使った後は必ずそこに戻します。これによって物を探す時間が大幅に減るのです。
こんな経験はありませんか? 玄関の鍵がなかなか見つからず、友人に「またか」と苦笑いされる。先方はもう名刺を出して待っているのに、自分の名刺が見つからなくてオロオロする。クリーニング屋さんで、ポイントカードがすぐに出せなくて、後ろで並ぶ人たちの視線が気になる。これらはすべて、過去の私の実体験です。
解決策は簡単でした。収納場所を決めるだけでいいのです。定位置が決まっていないから、物がすぐに見つからないのです。
今では、鍵は必ずスーツ(か上着)の右ポケットに入れると決めています。自宅の玄関で鍵を探すことはもうありません。
名刺入れも、カバンの取り出しやすい内ポケットに入れておき、挨拶前にはスーツの内ポケットに移動させています。会社に戻ったら、いただいた名刺を整理し、配った分の名刺を補充するようにしています。
クリーニングのカードは、財布のカード入れの上から2番目に収納しています。財布には、クレジットカードやクリーニング、整骨院のカードが順番に入っていますが、配置が決まっているので、すぐに見つけられます。カードを使うときは、まるでテレビコマーシャルに出てくるタレントのように、「ピッ」とスマートに取り出せます。
どこに何を収納するか決めているからこそ、いつでもすぐに必要なものを見つけられるのです。

会社でも、一番上の引き出しの収納ボックスには、毎日使う筆記用具しか入れないと決めています。
私は、4色ペン、シャープペン、消しゴム、黄色の蛍光ペン、18センチの定規しか入っていません。決めておけば探さなくても、いつでも、そこにあるのです。
チームの共有スペースでも、どこに何を置くか決めておくと便利です。そして、使った人は必ず元の場所に戻すことをルールにしましょう。

私が働いていた専門学校では、ハサミ、ホチキス、朱肉など、講師が共有して使う文房具類は、すべて置く場所が決まっていました。
また、共有スペースでは、誰にでもわかるように収納場所を表示しておくことが重要です。ある牛丼屋さんでは、醤油や唐辛子、ドレッシングなどの調味料の置き場所が、テプラのシールで明確に表示されています。お客様はそのシールを見て、使った調味料を元の場所に戻してくれるので、店員が調味料を整理する手間が減ります。
これは、置き場所が決まっているからこそできることです。もし置き場所が決まっていなければ、お客様はどこに戻していいかわからず、適当に置いてしまうでしょう。整理整頓された共有スペースでは、誰もがわかるように収納場所を決めておくことが大事です。

整理整頓は、ただの「片づけ」ではなく、ビジネスにおける効率や生産性を高めるための重要な方法なのです。

要領がいい人が見えないところでやっている50のこと
石川 和男(いしかわ・かずお)
建設会社総務経理担当役員を本業に、税理士、明治大学客員研究員、ビジネス書著者、人材開発支援会社役員COO、一般社団法人 国際キャリア教育協会理事、時間管理コンサルタント、セミナー講師、オンラインサロン石川塾主宰(受講者数250名)と9つの肩書で複数の仕事を同時にこなすスーパーサラリーマン。
とはいっても仕事漬けではなく、パーティーなど会合の参加、家族との休息などプライベートも充実させている。しかし元々は三流大学を留年して卒業。社会人になってから一念発起し、年100冊ペースでビジネス書を読み漁り、ビジネスセミナーに参加し、いいと思ったコンテンツやノウハウはノートに書きとめ、実践し、習慣化。
自身と同じく元々は仕事も勉強も苦手だった人に寄り添った個人コンサルティングやセミナーを多数手がけ、絶大な支持を得ている。
著書は累計35万部突破で、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)、『Outlook最強の仕事術』(SBクリエイティブ)など。

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