本記事は、石川 和男氏の著書『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

要領がいい人が見えないところでやっている50のこと
(画像=everythingpossible/stock.adobe.com)

優先順位の高い仕事からやってはいけない

タバコは吸わないほうがいい、メタボなら痩せたほうがいい。
わかっていても、タバコはつい吸いたくなるし、食事制限もつらいものです。
それなら最初から無理をせず、タバコの本数を少しずつ減らしたり、炭水化物や糖質を徐々に控えたりするのが効果的です。出だしから無理をしてしまうと、精神的にも肉体的にも負担が大きくなり、三日坊主で終わってしまう可能性が高くなります。

私は、20年前まで1日2箱吸うヘビースモーカーでした。当時は事務所や駅のホーム、飛行機や電車内でもタバコが吸える時代でした。そんな環境で禁煙をするのは本当に難しかったものです。禁煙を決意した日にお酒を飲みに行って、ついもらいタバコをしてしまったり、年末に「来年こそ禁煙する!」と誓ったものの、3時間後には正月の深夜特番をタバコをくわえながら見ていたり。
しかし、今では禁煙して20年が経ちます。
何度も挑戦しては挫折してきた中で、どうやって禁煙に成功できたのか?
実は、ニコチン量を少しずつ減らすパイプを使い、徐々に減らしたのです。
31本のパイプが用意されていて、このパイプをタバコに装着して吸うと、毎日ニコチンが3%ずつ減っていく仕組みです。ニコチン0.1mgの愛用者なら最終日の31日目には、ニコチン量がわずか0.005mgにまで減ります。この方法で徐々にニコチンを減らしていったことで、無理なく禁煙に成功できたのです。

優先順位の高い仕事から先に行うのも同じです。
様々なビジネス書に優先順位の高い仕事から行うのがいいと書いてあります。しかし、優先順位の高い仕事は、難易度が高く、手間がかかるものや、あまり気が進まないものが多いもの。朝一番に取り組もうとしても、なかなかやる気が出ず、リズムに乗れずに、その後もダラダラと過ごしてしまう危険性があります。

スポーツ競技では、ウォーミングアップから始め、徐々に身体を慣らしていきますよね。
仕事も同じです。まずは簡単な仕事から取りかかることが大切です。
私も会社に着いたら、まずルーティンワークから始めます。スケジュールを確認し、計画を立て、当社が扱っている株価動向をチェックし、メールの返信を行う。これらは難しい作業ではないので、テンポよくこなしていけます。そして、終わったタスクに赤丸をつけると、達成感が湧いてきます。つまり好きな仕事、ラクな仕事、円滑にすすむ仕事から行い、ウォーミングアップをすることで徐々に仕事モードに入っていくのです。

注意が必要なのは、たとえひとつのタスクが3分で終わるとしても、50個あれば合計で150分、つまり2時間30分もかかってしまい、午前中がそれで終わってしまうことです。
そこで、ウォーミングアップとして行うタスクは「10個まで」とか「15分間」といった具合にタスク数や時間に制限を設けて取り組むことが重要です。
仕事のリズムが整ったら、優先順位の高い仕事に取りかかる。
要領がいい人は、自分で自分の気分を整えることが得意です。リズムよく仕事をするのもそのひとつです。
もちろん、客先へ提出する企画書の期限があと1時間に迫っているなど、切羽詰まった状況なら、優先順位の高い仕事に真っ先に取りかかる必要があります。しかし、いつもそんな状況ばかりではないし、毎回乗り気で仕事ができるわけではありません。
要領がいい人は、まずはルーティンワークなど簡単な仕事から始めます。徐々に仕事モードに入り、リズムよく効率的に仕事を進めているのです。

緊急なことに惑わされない!
大きな成功を手に入れる時間の使い方

要領がいい人が、劇的な成功をする理由のひとつ。それは、資格取得、転職、独立などの「緊急ではないけれど重要なこと」をする時間を確保しているからなのです。
大きな目標は、実現できれば人生を大きく変えられます。しかし、資格を取らなくても、転職、独立をしなくても、今の会社にいることができれば現時点では困りません。
さらに、毎日、次々と緊急な仕事が舞い込んできます。緊急な仕事に追われていると、気がつけば1日、1か月、1年があっという間に過ぎ、大きな目標に向けた行動は取れないままになります。もちろん、「緊急でかつ重要な仕事」は、すぐに取り組むべきですが、問題は「緊急だけれど重要ではない」業務です。これに時間を奪われると、本来達成したい長期的な目標を後回しにしてしまいます。
例えば、飛び込み営業への対応やセールス電話のやり取り、あまり重要ではないメールの返信、テーマのない定例会議、部下に任せられるのに抱え込んで離さない仕事など、「緊急だけれど重要ではない」仕事に時間を取られる。これらは何もしていないよりタチが悪いのです。なぜなら、これらの業務をしていると、仕事をしている気になるからです。
仕事をしている感覚はあるので、罪悪感もなく時間を過ごし、気がつけば定時になり、ときには残業までしてしまう。そして独立、転職などの「緊急ではないけれど重要なこと」に手がつけられずに1日が過ぎ、1年が過ぎ、10年が過ぎ、一生を終えるのです。

要領がいい人は、スキルアップのための資格取得や、夢だった会社への転職、勝負をかけた独立といった「緊急ではないけれど重要なこと」に時間を使います。今すぐやらなくても現時点では困らないため、後回しにしがちですが、これが人生を変える大切な行動だと知っているのです。
例えば、「司法書士になって独立する」という目標は、現在の仕事を続けていればすぐに困るわけではないため、緊急性はありません。しかし、要領がいい人は、この目標に向かうための時間を確保しています。

人は未来には時間ができると思いがちです。「今は仕事が忙しいから」「子どもが小学校に入学したら」「親の介護が終わったら」といった理由(言い訳)で、何かが終わった後に大きな目標に取り組めると考えています。しかし、何かが終わったその先にはできるんだと思い続け、気づいたときには、夢をあきらめて人生が終わるのです。

要領がいい人は、「緊急ではないけれど重要なこと」を毎日やり続ける時間を決め、その時間に他の予定を入れません。スケジュールに自分の目標を先に入れ、確実に実行する仕組みを作っています。
例えば、外資系企業への転職を目指していた後輩は、毎朝1時間早起きして英語の勉強をしていました。通勤時間は片道1時間半、満員電車で音声アプリの英語を聞き続けました。会社の飲み会はすべて断り、その時間を外国人との交流会に充てると決めていました。
その結果、1年後にTOEICで900点以上を取得し、無事に第一志望の企業に転職することができました。彼が目標を達成できたのは、毎日「緊急ではないけれど重要なこと」をやり続ける時間を決め、そのルールを守り続けたからです。

要領がいい人は、どれだけ忙しくても、自分の人生において重要な目標に向けた時間を確保し、それを継続させます。緊急な用事が入っても、決めた時間だけはそれを守ります。
目標を実現するためには、この「緊急ではないけれど重要なこと」を毎日やり続ける時間を作り、それを守り続けることが成功のカギなのです。

要領がいい人が見えないところでやっている50のこと
石川 和男(いしかわ・かずお)
建設会社総務経理担当役員を本業に、税理士、明治大学客員研究員、ビジネス書著者、人材開発支援会社役員COO、一般社団法人 国際キャリア教育協会理事、時間管理コンサルタント、セミナー講師、オンラインサロン石川塾主宰(受講者数250名)と9つの肩書で複数の仕事を同時にこなすスーパーサラリーマン。
とはいっても仕事漬けではなく、パーティーなど会合の参加、家族との休息などプライベートも充実させている。しかし元々は三流大学を留年して卒業。社会人になってから一念発起し、年100冊ペースでビジネス書を読み漁り、ビジネスセミナーに参加し、いいと思ったコンテンツやノウハウはノートに書きとめ、実践し、習慣化。
自身と同じく元々は仕事も勉強も苦手だった人に寄り添った個人コンサルティングやセミナーを多数手がけ、絶大な支持を得ている。
著書は累計35万部突破で、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)、『Outlook最強の仕事術』(SBクリエイティブ)など。

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要領がいい人が見えないところでやっている50のこと
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