⑩東証、MBOルールを厳格化

2025年のMBO(経営陣による買収)は30件(12月25時点)と前年を11件上回るハイペースで推移し、2011年(21件)以来14年ぶりに最多を更新した。東証改革やアクティビスト(物言う株主)の台頭で上場維持コストや株主対応に伴う負担が増す中、自ら株式市場から「退場」する動きが広がりを見せている。

東証がMBOに関するルールを厳格化したのは7月のこと。創業家などの大株主が不当に安い価格で非公開化することを防ぎ、少数株主の権利を保護するのが目的だ。

M&A Online

(画像=東京証券取引所(東京・日本橋兜町)、「M&A Online」より引用)

新ルールでは利害関係のない社外取締役などでつくる特別委員会を設置し、少数株主にとって不利益でないことの意見書の提出を義務付けた。これまで支配株主による完全子会社化(親子上場解消)の場合に義務化されていたが、MBOやその他関係会社(持ち分法適用関連会社)による完全子会社化にも対象を拡大した。また、買付価格の算定根拠などについて必要かつ十分な適時開示を義務付けた。

ところが、新ルールの運用直後、「買付価格が低すぎる」として太平洋工業(買付開始、7月末)、ソフト99コーポレーション(8月初め)、マンダム(9月末)などのMBOがアクティビストの標的となった。ソフト99のMBOは不成立に終わり、太平洋工業とマンダムのMBOは越年が確定している。

ルールの厳格化でMBOの勢いが弱まる可能性も取りざたされたが、今年の全30件のうち16件は新ルール運用後の届け出となっており、ペースは落ちていない。

◎2025年M&A10大ニュース:M&A Online独自選定

1最多件数を更新、金額は初の20兆円超え
2 TOBも空前のラッシュに沸く
3 豊田自動織機、4.7兆円で非公開化へ(6月)
4 日本製鉄、米鉄鋼大手のUSスチール買収を成就(6月)
5 ホンダ・日産、1カ月半でスピード破談(2月)
6 セブン&アイ・ホールディングス、カナダ社が買収提案を撤回(7月)
7 ドラッグストア再編、「ウエルシア・ツルハ連合」が始動(12月)
8 アクティビストが猛威を振るう
9 “M&A巧者”ニデック、連勝ストップ(5月)
10 東証、MBOルールを厳格化(7月)

※「2025年のM&A10大ニュースはこれだ!」㊤はこちらです。

文:M&A Online