この記事は2026年7月29日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:消費減税はバラマキではなくコペルニクス的転回をした財政政策の投資戦略の一環」を一部編集し、転載したものです。

アンダースロー
(画像=years/stock.adobe.com)

目次

  1. 消費減税はバラマキではなくコペルニクス的転回をした財政政策の投資戦略の一環

消費減税はバラマキではなくコペルニクス的転回をした財政政策の投資戦略の一環

  • 高市政権では、企業と政府の支出する力であるネットの資金需要0%と、需給ギャップ0%の、緊縮志向のリミッターを外す。投資需要の拡大で、需給ギャップ2%の「高圧経済」とし、景気を十分に強くすることで、民間の投資の誘発力を強くする。ネットの資金需要は-5%がターゲットで、官民の支出する力を強くし、投資による生産性向上で、家計に所得を力強く回す。

  • 高市政権の2026年の骨太の方針では、財政収支は黒字でなければならないという緊縮志向の呪縛による財政再建優先の天動説から、投資拡大によって国力を回復する積極財政の地動説へ、「経済財政運営の在り方そのものに関するコペルニクス的転回」をし、予算編成の方針を抜本的に改革する。日本経済停滞の原因であった国内投資を拡大させるため、責任ある積極財政の考え方の下、経済政策と政府予算を総動員する。

  • 投資の拡大から家計に景気回復の果実が回るまでには時間がかかるため、その間の家計支援策として、食料品の消費税率を0%近傍に引き下げる決断を政府が下すことはほぼ確実だろう。消費税の減税は、バラマキではなく、コペルニクス的転回をした財政政策の投資戦略の一環だと考えているからだ。消費減税ショックと呼ぶことは、これまで財政政策の「コペルニクス的転回」をしっかりウォッチできていなかったことになる。

  • 追加財政支出の額は、想定する官民投資額を実現するための省庁の積極的な概算要求と財務省査定を経て、年末の予算編成で決まる。省庁の消極的な概算要求と財務省の査定で、追加財政支出が過小で、想定する官民投資額が実現できない場合は責任が発生する。石破政権の緊縮的な骨太の方針の予算である2026年度の新規国債発行額の32.7兆が予算の上限となってはならず、参考にもならない。政府予算の概算要求は、骨太の方針に基づいて戦略投資と補正から当初に移行する恒常的支出で膨らむことは既に明らかであるため、概算要求ショックと呼ぶことも、政治をしっかりウォッチできていなかったことになる。

  • 日銀には、「強い経済成長」と「安定的な物価上昇」のデュアル・マンデートを課し、政府と日銀の連携で国内投資の拡大を目指す。デュアル・マンデートは日銀の独立性を毀損するものではない。政府と日銀の連携の下、ECB型から、FRB型に、政策運営を変える試みだからだ。「2%の物価安定目標の実現の下で、できるだけ早期に、実質で1%を上回る、名目で3%を上回る経済成長を定着させ、更に引き上げていく」とする高圧経済の方針で、「強い経済成長」の水準が示された。


日本成長戦略で、日本経済の再生のために望まれる官民連携の投資額が決まったことで、企業と政府の支出する力のターゲットが事前に決定された。政府が投資をしても、企業がどれだけ投資をするのか分からないという無責任な考え方は、高市政権の成長戦略の方針と矛盾する。企業と政府の支出する力であるネットの資金需要0%と、需給ギャップ0%の、緊縮志向のリミッターを外すことが必要だ。投資需要の拡大で、需給ギャップ2%の「高圧経済」とし、景気を十分に強くすることで、民間の投資の誘発力を強くする。ネットの資金需要は-5%がターゲットで、官民の支出する力を強くし、投資による生産性向上で、家計に所得を力強く回す。国内設備投資サイクルが上昇を続け、賃金上昇をともない企業貯蓄率が低下することが、成長戦略の進捗の尺度となる。現在、ネットの資金需要の消滅でも、経済に縮小の力がかからないのは、円安によって、海外から所得を回すことができているからだ。しかし、この形は持続的ではない。官民連携の投資拡大によって、ネットの資金需要を自立的に-5%のターゲットに回復させることが、成長戦略の要となる。

高市政権の2026年の骨太の方針では、財政収支は黒字でなければならないという緊縮志向の呪縛による財政再建優先の天動説から、投資拡大によって国力を回復する積極財政の地動説へ、「経済財政運営の在り方そのものに関するコペルニクス的転回」をし、予算編成の方針を抜本的に改革する。日本経済停滞の原因であった国内投資を拡大させるため、責任ある積極財政の考え方の下、経済政策と政府予算を総動員する。効率重視の新自由主義から、官民連携の大規模かつ長期的な財政支出を伴う産業政策のグローバルな大競争の時代への転換に対応する。「危機管理投資」と「成長投資」の戦略投資を官民連携で進め、企業を貯蓄超過から投資超過に回復させ、新たな成長型経済へ移行する。17分野を中心に戦略投資をポートフォリオとして拡大し、経済の成長力と国民の安全と安心を確保し、経済規模と供給能力を持続的に拡大し、所得を増やし、企業収益を上げ、税収が自然増に向かう「強い経済」の好循環を実現し、結果として持続可能な財政とする。緊縮志向を脱し、国民の力を成長の原動力に変えることで、実質で1%超、名目で3%超の経済成長率を早期に定着させ、更に引き上げる。投資の拡大から家計に景気回復の果実が回るまでには時間がかかるため、その間の家計支援策として、食料品の消費税率を0%近傍に引き下げる決断を政府が下すことはほぼ確実だろう。消費税の減税は、バラマキではなく、コペルニクス的転回をした財政政策の投資戦略の一環だと考えているからだ。消費減税ショックと呼ぶことはこれまで財政政策の「コペルニクス的転回」をしっかりウォッチできていなかったことになる。

通常歳出とは別の大規模な「強く豊かな日本投資枠」の創設、補正から当初予算への恒常支出の移行など、予算編成を抜本的に見直す。戦略分野の2040年度までの累計370兆円超の官民投資を実現するため、安定的な債務残高GDP比の下で可能な最大限の財政支出を行う。国債の利払い負担を上回る将来の便益(高すぎる社会的割引率は見直し)がある投資の予算は、複数年度で予見可能とし、要求上限を設けない。PB黒字化目標を事実上無効化し、成長力強化と経済規模の拡大にふさわしい財政支出の拡大を実現するための予算編成へ転換する。追加財政支出の額は、想定する官民投資額を実現するための省庁の積極的な概算要求と財務省査定を経て、年末の予算編成で決まる。省庁の消極的な概算要求と財務省の査定で、追加財政支出が過小で、想定する官民投資額が実現できない場合は責任が発生する。石破政権の緊縮的な骨太の方針の予算である2026年度の新規国債発行額の32.7兆が予算の上限となってはならず、参考にもならない。政府予算の概算要求は、骨太の方針に基づいて戦略投資と補正から当初に移行する恒常的支出で膨らむことは既に明らかであるため、概算要求ショックと呼ぶことも政治をしっかりウォッチできていなかったことになる。

日銀には、「強い経済成長」と「安定的な物価上昇」のデュアル・マンデートを課し、政府と日銀の連携で国内投資の拡大を目指す。デュアル・マンデートは日銀の独立性を毀損するものではない。政府と日銀の連携の下、ECB型から、FRB型に、政策運営を変える試みだからだ。「経済財政運営は「強い経済」の実現を目指しており、そのためにも「安定的な物価上昇」の実現に資する適切な金融政策運営を伴うことが非常に重要である。日本銀行法第4条及び政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携することを期待する。 」「2%の物価安定目標の実現の下で、できるだけ早期に、実質で1%を上回る、名目で3%を上回る経済成長を定着させ、更に引き上げていく」とする高圧経済の方針で、「強い経済成長」の水準が示された。

図1:ネットの資金需要(企業貯蓄率+財政収支)

ネットの資金需要(企業貯蓄率+財政収支)
(出所:内閣府、日銀、クレディ・アグリコル証券)

図2:企業貯蓄率と国内設備投資サイクル

企業貯蓄率と国内設備投資サイクル
(出所:内閣府、日銀、クレディ・アグリコル証券)

図3:政府予算の抜本的改革のイメージ

政府予算の抜本的改革のイメージ
(出所:クレディ・アグリコル証券)

会田 卓司
クレディ・アグリコル証券 東京支店 チーフエコノミスト
松本 賢
クレディ・アグリコル証券 マクロストラテジスト

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