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韓国側の要望があれば延長するとしているものの、23日の期限を迎え、日韓の通貨スワップ協定が終了した。名目的には、1997年のアジア通貨危機を踏まえ、金融市場の安定のため日韓における金融協力の強化の観点から行われているものであるが、円とウォンの国際金融市場での流通量を考えれば、韓国に対する経済支援の側面が強い。では、韓国経済はそれほど安定しているのであろうか。
韓国は景気減速傾向
韓国銀行(中央銀行)が発表した、2014年の実質GDP(速報値)は前年比3.3%増となり、前年の3.0%増から高まったが、2014年第4四半期GDP(速報値)は前期比0.4%増にとどまるなど、年後半にかけての減速が明らかとなっており、景気は悪化しつつある。原因の一つとして考えられるのは、輸出環境の悪化で、輸出比率の高い韓国経済において、急激なウォン高、日米等の高機能製品や中国の低価格帯製品のシェア拡大、欧州の景気悪化など、マイナス要素が多々ある。
ウォン高だけが減速の原因ではない
ウォン高に関しては、昨年の10月に日本銀行が追加の量的金融緩和を行い、今年1月にECBも量的金融緩和を行ったことで、対ドルでのウォン高で輸出競争力が低下していた中、対円および対ユーロでも厳しい状況に陥っている。韓国のパク・クネ大統領も、昨年11月のG20首脳会議で、「主要先進国の通貨価値の偏りは一部新興国の経済の負担になる可能性がある」と発言し、懸念を示したものの、その後の先進国の金融政策を考えれば、影響を与えることはできなかったと言える。そして、当然ながら企業業績にも影響は出ており、サムスン電子の2014年通期の決算は、減収減益となっていた。
サムスン電子の業績悪化はウォン高だけではなく、技術レベルでの競争力低下も大きい。スマートフォンひとつとってみても、高機能高価格帯機種では、アップルのiPhoneが強いうえ、ガラケーからの転換に時間を要した日本勢も追い上げてきている。また、新興国中心の低価格帯機種では、中国企業のシェア拡大が著しく、この傾向は、スマートフォン市場に限らない。