ディズニーの新プロダクトと開発構想

「テーマパーク価値の向上」に向けて2015年にオープンする新プロダクトとしては、TDLでは東京ディズニーランド・エレクトリカルパレード・ドリームライツのリニューアル(7月9日予定)と新アトラクション「スティッチ・エンカウンター(主人公と会話が楽しめるシアタータイプのアトラクション)」(7月17日オープン予定)の2つがある。

また、TDSにおいてはメディテレーニアンハーバー新鑑賞エリア(3月1日使用開始)とキング・トリトンのコンサート(映画「リトルマーメイド」の世界を舞台にした新ミュージカルショー)(4月24日開始)の2つがある。これら新プロダクトが快適なテーマパーク環境として家族連れ含む幅広い顧客に受け入れられるか否かが、2015年の1つの鍵といえよう。

4月28日、TDL新たな開発構想の一部テーマを明らかにした。同社は「ファンタジーランドの再開発」をコンセプトにファンタジーランドの面積を約2倍へと拡張する大規模エリア開発を開始する。

複数の大型アトラクション、レストラン、ショップ等から成るファンタジーランド全体の再開発は、ディズニー映画「美女と野獣」、「ふしぎの国のアリス」などをテーマに複数のエリアで構成される。また、TDSではロストリバーデルタの南側に隣接する拡張用エリアに北欧をテーマとする8つ目の新テーマポートの開発を検討する。

これは既存の「アラビアンコースト」とほぼ同規模で大規模な開発であり、ディズニー映画「アナと雪の女王」の世界を体験できるエリアが含まれるという。導入時期はいずれも2017年以降とされているが、エリアの詳細に関しては2015年中に公表予定となっており、大きな注目が期待される。


USJ3段目ロケット発射にむけた日本発コンテンツの強化

2015年5月現在、USJにおけるこれまでのハリーポッター関連プロダクトの成果は非常に大きい。ハリーポッターエリアの収益への貢献は入場者数の増加にとどまらず、入場者1人あたり売上高の増加にも寄与している。

ハリーポッターに登場する「バタービール」と「魔法の杖」といった飲食・物販コンテンツの強化にも成功している。ハリーポッターエリアが順調に成果を上げることで入場料値上げの環境も整った。USJは1月30日から大人の一日券を6,980円から7,200円に引き上げた。今後も追加投資を行いながら値上げを続けていく可能性が高いとされている。

こうした中、次なる課題となるのが、ハリーポッターが生み出した強力なキャッシュによる攻めの投資ということになろう。USJは昨年より「脱・映画だけの専門店」を掲げて、日本の人気アニメを取り入れたイベントやショーを強化してきた。

今年の1月からは世界的に評価されている日本のマンガ、アニメ、ゲームなどをテーマに、新しいアトラクションを実現させるとして進撃の巨人、モンスターハンター、バイオハザード、エヴァンゲリオンの4つのコンテンツから成る「ユニバーサル・クールジャパン」構想をスタートさせている。

さらに4月7日には、期間限定アトラクションとして今夏「妖怪ウォッチ・ザ・リアル」を開催することが発表された。本物の妖怪と出会える未だかつてないアトラクションにする予定であり、数々の魅力的なアトラクションを生み出してきたUSJのクオリティに期待される。またクールジャパン・コンテンツ強化の取り組みはUSJにとって今後の鍵といえる。つまり、クールジャパンで培った能力・ノウハウを3段目ロケットとして、沖縄やアジアなど広範囲のエリアに展開させようとする中長期戦略である。

チーフマーケティングオフィサーの森岡毅氏によると「現状、ディズニーはUSJの数倍の売り上げがある。関西に留まっているだけでは永遠にディズニーには勝てない。アジアのリーディングカンパニーになるためには攻めるしかない」という。


勢いではUSJに軍配か?

以上、両者の取り組みと今後について見てきた。規模の違いもあることから両者を一概に比較することは難しいが、ディズニーに関しては、昨年から初期需要が特に高かった「ワンス・アポン・ア・タイム」や「アナとエルサのフローズンファンタジーイベント」が2年目に突入することから、本年度の入園者数は若干の減少が考えられる。

一方、「ハリーポッター」効果で勢いに乗るUSJは「ユニバーサル・クールジャパン」の開催期間延長や、注目の新アトラクション「妖怪ウォッチ・ザ・リアル」オープンがあることから目先の勢いではUSJが勝るといえるのではないか。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、 投資勧誘を目的としたものではありません。(ZUU online 編集部)

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