東京ディズニーランド(TDL)および東京ディズニーシー(TDS)を運営するオリエンタルランド 〈4661〉の入場数は本年度過去最高となり、同じくUSJも過去最高をマークした。
オリエンタルランドは「アナ雪」による効果、一方USJは「ハリー・ポッター」による効果とみられる。
次なるトレンドを生み出せるのか、テーマパーク両雄の戦略を追う。
ディズニーの「2016中期経営計画」
まずは、両者の中期戦略についてみていこう。オリエンタルランドは、2014年4月に「2016中期経営計画」を発表している。その中で「2023ありたい姿」として、今後10年間にテーマパーク事業に対して5,000億円レベルもの巨額投資を実行する計画を明らかにした。「2016中期経営計画」は、「2023ありたい姿」に向けた重要な最初の3年間という位置付けとして、「コア事業の長期持続的成長」と「新規事業による更なる成長」の2本柱から構成される。
コア事業の成長に関しては、ファミリー層をメインターゲットに据え、特に子供連れファミリーおよびニューエイジング(子供が手を離れた中高年層)の集客強化と、海外顧客の受入体制強化がテーマとして掲げられている。
その中で、戦略の大きな柱となるのが「テーマパーク価値の向上」である。取り組み内容として大きくはTDLのエリア再開発(刷新・拡張)とTDSの新エリア開発の2つがある。詳しい内容については、今年4月末に公表されたリリースの内容も踏まえて後述しよう。
USJの「3段ロケット構想」
一方、これまで入場者数の低迷に苦しんでいたユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は、2011年頃から飛躍的成長に向けた中期戦略「3段ロケット構想」を推し進めてきた。会社の収益構造を大きく変革させる3つの経営方針を用意し、それらを段階的に展開することで設備投資の制約の中でもキャッシュフローをつなぎ、会社を成長させる構想だ。
具体的に、1段目のロケットはテーマパーク事業の最大のボリュームゾーンであるファミリー層を取り込むこと。2段目は、遠方からの集客が見込める強力なコンテンツを作ることで関西依存の集客構造から脱却すること。そして3段目が、1段目・2段目と蓄えたキャッシュをテコに、テーマパークの科学的管理手法を複数の場所に適用し、他エリアへと横展開して会社を大きく成長させるというものである。
実際には、1段目ロケットとして新ファミリーエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」を2012年に開業し、2段目ロケットとして、日本全国・アジアからも集客が可能な「ハリーポッターのテーマパーク誘致」を行い、2014年7月に総投資額450億円に上る「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッター」をオープンしている。
以上が両テーマパークのこれまでの大まかな施策である。次に、詳しい取り組みや今後の動きについて見てみたい。